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Yamareco

記録ID: 631832
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
蔵王・面白山・船形山

相ノ峰(二口林道から家形峰経由)

2015年05月05日(火) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
7.3km
登り
969m
下り
955m

コースタイム

日帰り
山行
7:50
休憩
0:20
合計
8:10
9:20
100
11:00
11:10
180
家形峰
14:10
14:20
190
相ノ峰
17:30
姉滝
天候 曇のち快晴
過去天気図(気象庁) 2015年05月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
姉滝入口
コース状況/
危険箇所等
主稜線は途中から藪
その他周辺情報 秋保温泉
シロヤシオ咲く支尾根から三方倉山をのぞむ
2015年05月05日 11:09撮影 by  COOLPIX S9500 , NIKON
2
5/5 11:09
シロヤシオ咲く支尾根から三方倉山をのぞむ
相ノ峰への主稜線から雁戸山をのぞむ
2015年05月05日 13:22撮影 by  COOLPIX S9500 , NIKON
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5/5 13:22
相ノ峰への主稜線から雁戸山をのぞむ
相ノ峰山頂付近の雪堤から盤司岩と大東岳をのぞむ
2015年05月05日 14:18撮影 by  COOLPIX S9500 , NIKON
4
5/5 14:18
相ノ峰山頂付近の雪堤から盤司岩と大東岳をのぞむ
撮影機器:

感想

ごつごつと岩の盛り上がったような神室岳から東に向かって、風ノ堂(カゼンド)の岩稜が延びる。その峻険な風貌には「いつか行かねば」と誘惑されるが、踏破には相当の覚悟が必要である。せめて手前の相ノ峰までなら、ということで、今回、二口林道姉滝から家形峰経由で登った。この道は地図には記載されておらず一般に紹介されてもいないが、三神歩道の名を持つ知る人ぞ知るルートである。二口遊歩道の西側入り口に車を止めて二口沢に降り、姉滝下まで行ってみるが、登り口などありそうにない悪場。こりゃ違うなと再び車道に戻ってわずかに上流方向にたどると、「天然記念物 姉滝」と書いた大きな案内板があり、こっちが正解!と納得して、遊歩道を下る。そこは先ほど下から見上げた姉滝の落ち口であり、目前には二口沢右岸から注ぎ込む三方倉沢に懸る妹滝がまっすぐに落下している。ここが渡河点である。川床は平坦な岩盤からなり、雪解け水を集めて3メートルほどの川幅いっぱいに清冽な流れが走る。渡渉を考えて、今日は膝丈のニッカを履いてきている。この3メートルのために持参した磯遊び用のサンダルをやおら取出し、それに履き替える。何といってもあの直瀑の落ち口である。念のためストックを出し、腰に通した細引きで同行のKINUASAに確保してもらって渡渉を開始する。水は膝下を越えることなく、簡単に渡渉を終える。それにしても水が冷たい。再び登山靴に履き替えて、姉滝右岸の斜面に取りつく。真下に見える姉滝では怒涛の勢いで水が落下している。取りつき付近はルートが今一つ曖昧であるが、次第に明瞭となり、尾根に乗る頃にはびっくりするほどしっかりと踏まれた道となる。ブナの大木が立ち並ぶ林からやがてヒバの交じる灌木帯にかわり、次第に幅を狭めるこの尾根はひたすら急である。秋田の神室山地のような雰囲気で、木の根、岩角をつかみながらガンガン高度を上げていく。右手に二口沢を隔てて磐司岩の絶壁が屏風のように連なっている。振り返ると、磐司尾根の背後に、昇る太陽のような大東岳の丸い山頂が姿を現す。こちらの急登のすさまじさのお蔭で、大東岳はあっという間に堂々たるその全容をさらけ出すようになる。白と紫のヤシオツツジが新緑に映え、紅色のシャクナゲが今を盛りと咲き誇る。足元には早くもイワカガミが可憐な花をつけている。ヒバや松の味わいある枝ぶりが、勇壮な磐司岩と雪をわずかの残した大東岳にあまりによくマッチしている。一旦傾斜が緩くなると、尾根は右手の鳴虫沢側が大きく切れ落ちて視界はさらに広がり、この沢の源頭を擁する相ノ峰が、雪をまとって大きく姿を現す。左手には、綺麗な三角形をした三方倉山が、不動の姿勢で座している。日差しのない涼しい空気のせいで、急登がさして苦にならない。11時頃、ようやく雲の切れ目が現れたかと思うと、見る見るうちに青空が天を支配していった。そして尾根は再び急となり、「松の展望」と書かれた地点に達する。さらにぐいぐい登ると、クマに叩き落された「三神林道―家形峰」の道標が主稜線に達したことを教えてくれる。渡渉終了から約1時間半(休憩を含まず)で家形峰、890メートルの山頂に至る。ここから、西に向きを変えて、さらに三神歩道を辿る。なだらかな地形もほどなく終わり、両側が切れ落ちた痩せ尾根を行くが、おおむね灌木に覆われているため、さしたる高度感はない。途中、むき出しの砂岩からなるナイフブリッジを二か所通過する。積雪期にはちょっと怖そうな尾根だなと思いながら、再びの急登を木の枝を掴みつつ登りきる。これを登りきったところが相ノ峰と思って頑張ってピークに乗ると、眼前に雪をたたえた立派な山がある。実はそれが相ノ峰であり、今自分のいるところは、通過点のコブなのであった。ここまで家形峰から1時間である。宮城里山文庫には、家形峰から相ノ峰まで60分で達するとあるが、いかな健脚と言え、それはいささか難しかろう。ここから先、傾斜は緩くなるが、そのかわり道型がはっきりしなくなる。踏み跡は尾根の北側の藪の中にあるが、途絶えがちである。この地点にきてやっと南側の展望が開ける。雁戸山、屏風岳、後烏帽子岳がずらりと居並び、左に遠く離れて青麻山の特徴ある双こぶのピークが目に入る。右側には相変わらず堂々たる大東岳が、終始変わらぬ存在感でそこにある。標高の低い支尾根ではイワカガミが咲いていたのに、ここまで来ると咲いているのはイワウチワである。ショウジョウバカマもまだやっと咲き始めたとところ。しかし、木々は緑に変わりつつあり、タムシバも白い花をつけている。ところどころにあるコシアブラを摘みながらゆるりゆるりと藪尾根の高度を上げていくと、随所に雪が現れ始め、山頂手前までくるとまだ立派な雪堤が残っていた。雲ひとつない青空に白い雪堤が鋭いコントラストをつくり、黄緑色に芽を吹いたブナがまぶしい。背後には大東岳が磐司岩をエプロンのようにまとって大きい。家形峰からほぼ2時間で、相ノ峰山頂に達した。三等三角点1195.1メートルの向こう側に回り込んで遠望すると、神室岳から南に伸びる尾根の裾が視野に入る。果たして、ここから神室岳まで踏破する日はいつか来るのだろうか。相ノ峰手前の藪はそれなりのものであったが、ここから先は手強そうである。雪を味方につけないと難しいかも、と思いめぐらすのもそこそこに、踵を返して急ぎ往路を戻った。下山して二口温泉で汗を流そうということになり、慣れ親しんだ温泉旅館「磐司山荘」に向かったが、あるはずのところに何もない! それは忽然と消えた! すぐ横の民家のおやじさんに尋ねると、磐司山荘は去年、営業をやめたという。三方倉山を窓から眺めつつ、湯の花浮く濃厚な温泉に浸かって山の疲れをいやした人々も多い筈だが、廃業とは実に残念である。
この山行記はASAKINUが執筆し、同行のKINUASAがアップしたものです。

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技術レベル
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3/5

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