冬季の八ヶ岳 赤岳 阿弥陀岳

過去天気図(気象庁) | 2024年01月の天気図 |
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写真
感想
2022年の夏、初めて八ヶ岳連峰の主峰である赤岳に登頂した。
新宿からの夜行バスで初めての八ヶ岳に降り立ち、美濃戸口から初日で阿弥陀岳と赤岳のダブルピークハントを果たして赤岳展望荘へ宿泊できた。
その経験値が自信となって、翌年2023年1月、初の雪山デビューで厳冬期の八ヶ岳の主峰赤岳に挑み、無事単独で登頂できた。
あの達成感と雪化粧した荘厳な赤岳の絶景を拝みたく、今年2024年の雪山登山も赤岳に決めた。
八ヶ岳山荘のある登山口までの緩い傾斜の雪道は、チェーン未装着の夏用タイヤでは上がれなかった。
路肩に軽トラックを停めて、ザックを背負って車道を30分ほど歩く。
八ヶ岳山荘から静寂の林道を1時間楽しく歩き、赤岳山荘のある美濃戸登山口へ
赤岳鉱泉へ道行く北沢と行者小屋へ向かう南沢の分岐点で、赤岳鉱泉へ宿泊予約したので北沢ルートを選ぶ。
北沢コースでゆるらかな傾斜の坂で、ダムの堰堤広場まで関係車両は走れる程に道幅もあって歩きやすい。
ここでアイゼンをつけると、爪が地面の土や石まで届いて衝撃がきて歩きにくいのでチェーンスパイクの小さな刃がちょうど良い。
でもチェーンスパイクは軽量化のため持って来てなので、SALOMONのトレッキングシューズの深いみぞの靴底グリップ力に頼る。
晴れた日の樹林歩きは、本当に気持ち良い。
木漏れ日が降りそそぐ空間があると立ち止まり、冷えた身体を温めてくれたり、光の演出で美しい風景を写真や映像で撮って心まで満たされる。
休憩は日向の暖かい場所でとる。
山歩きでこの休む見極めポイントを定めると、寒い日陰の坂道も一気に息を切らしながら登れて、寒さで体力を消費せずに暖かい目的地まで目標を持って前向きに歩ける。
夕暮れが迫ると寒さも増して気持ちが焦ってくる。
コースタイム3時間ほどで今夜の宿の赤岳鉱泉へ到着。
大部屋に案内されると先客は年配の女性わずか1名で、1月平日火曜日の閑散期は山小屋にとって休業日のようなもののようだ。
個室には3名と2名の2組のみで、広い食堂でのんびり夕食をいただいた。
名物ステーキは厚い牛肉で美味く、温かいご飯と味噌汁が何よりごちそうの冬の山小屋の夕食だ。
極寒の地での星空撮影は堪えるが、すぐに温かいストーブのある建物へ駆け込めるから助かる。
翌日9日火曜日の南八ヶ岳は快晴で、日の出の撮影を終えて6時の朝食を美味しくいただき、朝の澄んだ散歩を味わってのんびり8時スタートで赤岳へ向かう。
雪化粧された白銀の世界は、静寂に包まれていた。
ひとり静かに真っ白な雪を踏みしめ、木漏れ日のシラビソや栂の森を歩く。
森林限界を超えて強風が吹き荒れる文三郎尾根の稜線に出る前に軽く休憩とエネルギー補給で甘い紅茶を飲み、ここから先の標高2500メートル以上は過酷な環境だ。
先行者2名と会えて安心感を得てさらに高く登る。
文三郎尾根の分岐の道標まで着くと、息も荒く手もかじかんで痛い。
ただ、ここからの冬の赤岳の勇姿が素晴らしく、強風で舞う粉雪が太陽光で輝いて、なんとも荘厳な景色に出会えた。
かじかんだ手を首筋や足の体温で温めて、最大の危険である極寒を克服しながら岩稜をよじ登る。
晴れ渡る空と雄大な富士の風景に励まされて、無事に標高2899メートルの赤岳山頂へ立つ。
この爽快な達成感とパノラマの雄大な風景を味わえるから、何時間も氷点下の雪山を歩けるんだ。
無事に帰るためにも吹き荒れる山頂には長居せず、体力を削られる前に下山開始。
赤岳鉱泉に連泊予約していて時間と体力に余裕があったので、冬の阿弥陀岳まで行く。
先行の足跡が全くなく、中岳からは軽いラッセルとなるも乾いた軽い新雪パウダースノーなので楽しく歩ける。
中岳分岐の道標からいよいよ阿弥陀岳への急登だ。
夏の阿弥陀岳には登りきれたとはいえ、厳冬期はこの氷点下の強風が恐怖だ。
この南八ヶ岳エリアに登山者がわずか数人しかいない平日の閑散した日の単独行も心細い。
ただ、冬の谷川岳や爆風の西穂独標も無事に登れた経験が自信になって、平常心で挑めた。
なかなかの急登の岩場を滑落せずに登りきり、阿弥陀岳の山頂とその景色をひとり独占できた。
振り返ると先ほどまで立っていた赤岳がはるか遠くに見えて、これだけの距離の稜線歩きをしたのかと達成感を味わえる。
赤岳から硫黄岳へ続く稜線も憧れの眼差しで眺める。
夏山で歩いて経験値を得てから雪山の硫黄岳と赤岳縦走に挑もう。
夏山の急登の下りは危険だが、雪で岩や土が覆われて柔らかい冬山ではむしろ楽に安全に下りられる。
滑落すれば危ない狭い切り立った道幅だけ慎重に歩けば、あとは跳ねるように駆け下りていける。
視線の先の白い雪原に黒いかたまりが動いていた。
うわっ熊だ!八ヶ岳にも熊でるのかと驚きとひとりきりの不安で身体がこわばる。
カメラに収めたい欲求もあり、ゆっくりと近づいていくも黒い毛の動物は雪の下の草を食むのに夢中だ。
熊との距離50メートルほどまで接近すると、角のあるカモシカだった!
一気に力が抜けてホッとした。
それでも怒らせて突進攻撃されたら怖いので、刺激しないよう静かに歩く。
道標のそばでみかんを食べて休憩していても、じっとこちらを見つめるカモシカが面白くて、阿弥陀岳の稜線で野生の無口なカモシカとふたりでなんとも奇妙で楽しい時間を過ごせた。
中岳分岐から行者小屋までの下りは、しっかり先人たちの踏み跡トレースがあってラッセルせずに安心して道しるべのトレースを駆け下りる。
稜線上は強風が吹くので前日の踏み跡は1日で消えてしまうが、谷間の登山道は風も弱いので正月連休の登山者たちの踏み跡がまだ残っていてありがたい。
おかげでかなり早く駆け下りて、阿弥陀岳の稜線から行者小屋までわずか30分ほどで帰って来られて驚いた。
ほんとに今日は登山者のいない雪山歩きで、心細さよりも開放感のほうが勝って、たっぷり景色も味わえ、赤岳と阿弥陀岳のダブルピークハントも達成し、カモシカにも遭遇できて大満足の赤岳登山だった。
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