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Yamareco

記録ID: 6623908
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山滑走
甲信越

中ノ岳未遂 クマ

2024年04月06日(土) [日帰り]
 - 拍手
GPS
02:38
距離
7.9km
登り
279m
下り
261m

コースタイム

日帰り
山行
2:14
休憩
0:22
合計
2:36
3:37
3:53
50
4:43
4:49
43
5:32
5:32
0
5:32
ゴール地点
過去天気図(気象庁) 2024年04月の天気図
アクセス
コース状況/
危険箇所等
しゃくなげ湖右岸道路は雪解けで、舗装の出た区間が断続的に続いている。デブリは所々あるが小さい。4/6時点で自転車利用によるダム〜十字峡の所要時間は約40分。
3時前、この時は気合いマンマンで出発。
2024年04月06日 02:58撮影 by  DSC-RX100M6, SONY
4
4/6 2:58
3時前、この時は気合いマンマンで出発。
登山口についた。さぁ、登るぞー!
2024年04月06日 03:40撮影 by  DSC-RX100M6, SONY
4
4/6 3:40
登山口についた。さぁ、登るぞー!
わずか40分後、唸り声にビビって後ずさり中。
2024年04月06日 04:21撮影 by  DSC-RX100M6, SONY
5
4/6 4:21
わずか40分後、唸り声にビビって後ずさり中。
空が白む。
2024年04月06日 04:59撮影 by  DSC-RX100M6, SONY
4
4/6 4:59
空が白む。
そして、十字峡に帰ってきた。
2024年04月06日 04:59撮影 by  DSC-RX100M6, SONY
3
4/6 4:59
そして、十字峡に帰ってきた。
敗退。自転車を押し歩く。
2024年04月06日 05:23撮影 by  DSC-RX100M6, SONY
4
4/6 5:23
敗退。自転車を押し歩く。
雪解けが進み、自転車に乗れる区間も結構あった。
2024年04月06日 05:23撮影 by  DSC-RX100M6, SONY
3
4/6 5:23
雪解けが進み、自転車に乗れる区間も結構あった。
日向山。この尾根を登って引き返した。
2024年04月06日 05:33撮影 by  DSC-RX100M6, SONY
5
4/6 5:33
日向山。この尾根を登って引き返した。

感想

午前3時半。
中ノ岳登山道は取付きから人の足跡がなかった。まっ暗闇の森でヘッデンを灯し、所々グサグサ雪だったり夏道だったりの急斜面を2人で黙々と登って行く。板とブーツはザックに固定し担ぎ、足元は登山靴。

次第に川音が遠ざかり、残雪を靴で踏む際のグググ…という鈍い音だけが聞こえる。雪のない尾根に登り上げて進んでいく。グググ…と例の音が何度も聞こえる。「いやあー、こんなんじゃ下りスキー出来ない訳だ。」murphyさん。その時だった。音源はどこだか分からない。低周波で暗闇の山を揺るがすような、しかしそれは音ではない。紛れもなく「声」であった。

グルルルルル

「バウ!!!」「アーーウ!!」
これが条件反射というものか。2人とも、身体は硬直したように動かない。でも瞬時に吠えた。そして、静寂と暗闇に包まれた。早鐘を打つ鼓動。ヘッデンは前方を明るく照らし出している。声の主の姿はシルエットすらない。

1分後、頭は冴えきっていた。なぜか冷静だった。
「murphyさん。クマです」
「待ちましょう」
手は1本のウィペットを斜めに保持して、身体は身構えている。緊迫した時が1秒、また1秒とスローモーションのように過ぎる。
「バウ」

……
唸り声はしない。
少し前に歩いてみる。その次の瞬間、登山道の前方から身の毛のよだつ大きな唸り声が
グルルルルルル
「バウバウ!!!」「うりゃああーー」「ガーーー」「デュウリャアーーー」
グルルルルルルルルルルル
「わあーーーー」「ワンワンワンワン」「ダーーー」
グルルルルルルルルルルルルルルルルル

近づいてきた。
前方にはクマ、両サイドは崖、後方は急坂の四面楚歌。
「ゆっくり降りよう。」
「ヘッデンで前ずっと照らし続けて。背中見せたら死ぬ。」
唸り声のする漆黒の闇にヘッデンを照射し続けながら、バックステップで一歩一歩、後ろ歩きで。

バックステップで雪に足元をすくわれた。転ぶ。スキー板がザックから外れる。反射的にウィペットを拾い身構える。

……
グルルルルル

クマは尾行してきている。
パニックになったら終わりだ、と2人とも本能的に理解していたと思う。
時々犬のように吠えて、山の上をずっと向いたまま、ゆっくりと後ろ歩きを続ける。

どのくらいの時間が経っただろうか。
空が白んできた。
あの唸り声は、もうしない。最後の激下りを慎重に。

そして4時43分。生きて十字峡に帰ってきた。

詳しい状況はtaksizmさん感想の通り。
人生でこれまでいろんなビビリ体験をしてきたが、今日の出来事はトップクラスだった。
自分も歩きながら常にググググーという音に気づいて、しばらくは、雪を踏む音と思っていたが、なにかおかしいと、二人静止すると、ヘッデン以外の明かりがない山の中から、定期的に聞こえる唯一の音が唸り声だと気づいた刹那、ヤバい、クマだ!と、二人で叫ぶ。
その後、撤退を決めて少しずつ後退するのだが、たまに静止すると、小さくなるはずの声がまた同じ音量で聞こえてくる。
北海道用に買ったクマスプレーやサバイバルナイフはすべて家のタンスの中。
そもそも暗闇からクマが全力で襲ってきたら、たぶん、そんなものを持っていても何も抵抗できないと思う。
生身の人間がいかにちっぽけな生き物か思い知りながら、ヒヤヒヤの撤退終了。まいったね。
中ノ岳は、雪解け後に来ようかな。
さて、どっか転進しましょかね。と、話し合って、越後駒ヶ岳も考えたが、自分が行ったことのない浅草岳も提案され、いいですね!と、あ浅草岳へ。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-6623903.html

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コメント

murphyさん、taksizmさん、恐怖体験したんだねー!しかもザックにスキー括り付けての遭遇だなんて考えたくもないです😅 私はクマに関しては結構ヤバい経験してます。秋山郷からの岩菅山までの区間で、まさに早朝、全く同じパターンで威嚇され続けられました。鼻を震わすようなブルブルグルグル、地鳴りみたいな音を出すんだよね。その時は襲われませんでしたが、その後別の山行で燕岳の近くで1-2mの距離で真横から牙剥き出しで吠えられて、死んだと思った体験をしました💧 2度と嫌ですよ、クマとの遭遇〜(・・;) でもそんな体験後もしっかり滑って帰るあたりがさすがお二人さん😊お疲れさまでした!
2024/4/7 8:11
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2
ハルボーさん
あれはこわい。マジでヤバいわ。
今回は、真っ暗だし、二人でスキーとブーツをザックにくくりつけて荷物はめちゃおもだし、さらに、登山道には雪があって、すごい急斜面で、ここでクマが出てきたら一貫の終わりって感じでした。
あの状態でさらに進むのは、自殺行為で、逃げ帰ってきました。
所在がわからない暗闇から威嚇されるのも相当おっかないですが、リアルに牙むき出しでガウー!ってのもハンパないですね😱。餓鬼から燕でしょ?
ちなみに、浅草岳は、結構お気軽な山だったので、ハルボさんにもピッタリかと。ぜひ、おすすめしますよ!
2024/4/7 9:10
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1
ハルボーさん
山に何度も行ってると不思議体験、恐怖体験は色々遭遇しますよね。私も残雪期平ヶ岳でテント徘徊された事はあり、クマの足跡くっきりで脅威を味わいました。
明け方のハイクアップで至近距離から威嚇され尾行されたのは今回初体験で、murphyさん居てくれてホント良かったです(先週の鳥甲山だったら…)。
実はヤマドリだったってオチが付けば面白レコになったのですが(笑)ヤブの中に身近に潜む正体不明の動物こそ、登山で最大の恐怖の気がしてます。
2024/4/7 10:16
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1
taksizmさん、murphyさん、今日は。
中ノ岳南西尾根にもしっかり熊はいるのですね!? これまで何度かほぼソロで登っていますが、まだ熊にはお目にかかったことがありません。昨日の鳥海山の中島台レクリエーションの森から少し登った辺りで暗がりで熊棚を見たり爪痕を見たりして少々ビビりましたが結局何事も無くて良かったです。でも、ソロだと恐怖は何倍にもなりますね。連れがいるだけで安心感が大きくなることは確かです。どうもお疲れ様でした。
hareharawaiより
2024/4/13 17:44
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1
hareharawaiさん
まぁ、今回のクマがどうかわかりませんが、暗がりでの絶え間ない唸り声?みたいなものは、本当に不気味でしたね。
2024/4/14 11:18
プロフィール画像
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