小川山 涸沢2峰正面ルート
天候 | 晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2015年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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写真
感想
先々週雨で行けなかった小川山の涸沢2峰正面ルート(5.9)に行ってきました。
このルートに興味を持ったのは、ストマジでよくお見かけする廣瀬ガイドが小川山の初期に開拓したルートであることを知ったのがきっかけで、実際に行ってみるとかなり遠くて、踏みあともない時代に岩場に行くだけでもたいへんだったということが想像できました。
ギアも今とは違ってプアだったでしょうし、先人の開拓精神に敬意の念を抱きました。
涸沢岩峰群に行くのは初めてだったので辿りつけるかしら?とやや不安もありましたが、思ったよりしっかりした踏みあとがあり、ケルンや赤テープに加え標識まであったりして、迷うことはありませんでした。
途中踏みあとのない涸れ沢を通るところがあり、そこから再び踏みあとに入るところを見逃さないことがポイントでしょうか。
ところが、岩峰群には辿り着いたものの、どれが目指すルートの取りつきか分からず、1峰と2峰の間のルンゼに入り込んだりして、しばしウロウロ。
始めに辿り着いた岩峰はやたらと切り立っていたので、これは違うよねということで、お隣の2峰らしき岩峰に下部から回り込み、取りつきっぽいところを発見。
(帰りに分かったのですが、下部から回り込まなくても、岩峰の基部を辿ればよかったようです。)
違ってたら違ってたで、別のルートを登るってことでもいいんじゃない?よく分かんないし。
ということで、1P目(5.9)cherroさんリードでスタート。
出だしは簡単そうに見えたのですが、その先のスラブに乗り込むところで意外に苦戦している様子。
丁度懸垂下降してきた方がいたので、これが涸沢2峰正面ルートですか?と聞いてみると、そうですよ。今登っているのはダイレクトルート(5.10a)ですねーとのこと。
ん?5.10a? どうりで難しいわけだーと納得していたら、それを聞いていたcherroさんが一気に戦意喪失。
クライムダウンして、自分にリード交代することに。
左から回り込むのが5.9のラインなのかーと納得したものの、残置されたカムを回収しなければならないので、とりあえず同じラインを登ってみる。
いざ登ってみると、スラブに乗り込むところには立てるダイクがあるものの、その後少しスラブを登らないとハンガーボルトに手が届きそうにない。そして一旦乗り込んだら、クライムダウンはできそうにない。
かなり傾斜が強くスタンスのないスラブを途中までノープロで登るのは恐ろしかったので、そこからトラバースして、左から回り込みました(本当は登り始めから左を登るのが、オリジナルルートみたいです)。
スラブの左から回り込んだ方が明らかに簡単そうなのですが、そこにもやはり乗り込むところがあって、プロテクションが今いちなので、あれこれ躊躇。
違うラインを探ったりして、かなり時間をかけてしまいました。
そして乗り込んだら乗り込んだで、その先はほとんどプロテクションが取れずにランナウトするので、階段状のところに着いたときはほっとしました。
5.9とは言え、恐ろしかったなー。朝一でこんな目に合うとはねー。
2P目は傾斜の緩いワイドハンドクラック(5.7)。cherroさんリード。
フォローしてみると、広すぎてハンドジャムはほとんど効かず、見た目やグレードほど簡単ではなかったです。
3P目は右から回り込む階段状のライン(5.6)を選択。自分リード。
簡単だけれど、空中に体を曝すようなパートがあったりして、高度感があって楽しかったです。
そして登っていくと、下からは見えなかったかっちょいいヘッドウォールが見えて、テンションアップ。
ラインがいくつかあるようですが、一番左のハンドクラック(5.9)が見事だったので、その基部でピッチを切る。
グレード的には一番難しいラインだけれど、やはりこれだよね、ということで。
(当日は勘違いしていたのですが、このハンドクラックが廣瀬ダイレクトというルートのようです。)
そして、フォローで登ってきたcherroさんに、めっちゃ簡単そうですよー。プロテクションもばっちり決まりそうだし、リードしなきゃ損ですよーとオススメする。
cherroさんが、じゃあ、やってみまーすということで準備しているとき、壁を真下から見上げてみると、やや前傾していることに気づき、あ、リードじゃなくてよかったカモと思ったとか思わなかったとか^^。
ところが、このクラックは出だしが核心で、リーチがないとボルダーチックなムーブを起こすためのプロテクションが取れないのでした。
色々試した末にやっぱりやめときまーす、ということで、自分にリード交代。
地上で2個固め取りしてありましたが、もう一つ上にカムを決められない限り、墜ちたらグラウンド。自分でも止めたと思いますので、よい判断だったと思います。
自分はリーチを活かし、固め取りした2本に加え、ちょいと登ってからさらにカムを決めて、ムーブを起こす。
ネタバレになるので詳しくは書きませんが、立てるところや思わぬ幸せがあったりして休めるものの、ハンドジャムが決まるポイントが限られていて、出だし以外もなかなか厳しかったですねー(自分はね)。
フェイスのホールドなども遠慮なく使わせていただきつつ、何とかフリーで抜けることができましたが、クラックの5.9オンサイトは、やはりギリギリでした。
フォローのcherroさんは、回収しようとしたカムがスタックしたりして大苦戦。
結果的に自分が美味しいところをいただいてしまったようで、申し訳ないことをしました。
ともあれ、1P目でボルトのあるラインを回避したおかげで、図らずも全て残置無視で登れました。そしてチームフリー。
気づいた限りの残置支点は、1P目ダイレクトルートのハンガーボルトの他に、1P目終了点の立派なラペル支点(何のためにあるのか分かりませんでしたが、懸垂敗退用かしら?)、簡単なところにあった古びたピトン(使えるような代物ではない)、それに最終ピッチ終了点の大岩に巻かれた捨て縄。最後の捨て縄は全くの不要物だった(懸垂用の支点は別にある)ので、撤去してくればよかった。
あっ、そうそう。後から他の方の記録を読んで、しまった!と思ったのですが、最終4P目終了点のすぐ上にある頂上にも立てばよかったなー。
涸沢岩峰群はアプローチが遠いからか人気がないようで、2峰正面ルートも我々が登り始めたときに下りてきた方以外は誰も登っていませんでした。
我々レベルがあれこれ時間をかけても怒られずに、じっくりとオンサイトトライできる貴重なルートですね。
1P目は怖いだけで何だか冴えないルートだなーと思いましたが、4P目はなかなかのものですヨ。
時間があれば、4P目で色々なラインを登ってみるのも面白そうです。
今回は思った以上に厳しいピッチもありましたが、これに懲りずに、またよろしくお願いします。5.9以下でね^^。
小川山にはまだいくつか5.9以下のマルチがあるみたいですし。
あみだくじルートとか、エレクトリック・レディランドとか。
ただ、今後さらに色々なルートにチャレンジするには、ワイドクラックを避けて通ることはできなさそう。
挟まり隊の2軍をつくるか?
それにしても、短いマルチを一本登っただけで、よくこんなに長い感想を書けるものだな。
我ながら、感心してしまう(笑)。
たった4ピッチだったのにものすごい時間がかかりましたよね。私がああでもないこうでもないと悩んだ結果なので理由は明白。すみませんでした〜。
廣瀬ガイドはすごい方だったんですね。今度からアップに四股を踏んでみようかな。
一番時間がかかったのは、私の1P目だと思いますよ。
だって、怖かったんだもーん。
ゲレンデだし、誰にも迷惑かけてないので、核心ピッチのクライミングには時間をかけていいんじゃないかなあ。
あれこれ悩むのが楽しみで、やってるようなものですし。
四股ね〜。ストレッチ効果があるのかしら?
近頃は、運動前の静的ストレッチは否定されてるんですけどね〜。
意外と、こういう短いマルチで時間を掛けることで、経験値が積めていると思いますよ。
マルチピッチリード講習で、3ピッチとか4ピッチしか1日でこなしていないのに、卒業生がいきなり本チャンで10ピッチとかをこなすということもありますので。
手際は重要でも、ピッチ数は練習の本質ではないのかも。
言われてみると、確かにいい経験になったと思います。
今回のルートはどこ登ってもいいような感じでしたので、色々と判断することがありました。
残置支点もほとんどありませんし、空いていますので、講習にいかがでしょうか?
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