サンティアゴ巡礼ポルトガルの道_15 : Camino Portugués


- GPS
- 07:07
- 距離
- 23.2km
- 登り
- 303m
- 下り
- 152m
コースタイム
- 山行
- 7:07
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 7:07
過去天気図(気象庁) | 2023年04月の天気図 |
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アクセス |
写真
感想
Day15、Águeda から Albergaria-a-Nova まで。
魔の毎日30km越えの1週間を乗り越え、今週はずっと25km程度の余裕のある行程で進んでいる。
一昨日25kmちょい、昨日は24kmちょいと来て、今日は順調にまた1km短くなって23kmちょいだった。
ただ毎日の生活のリズムは崩したくないので、いつもと同じように6時起床。荷物をまとめて部屋を片付け、チェックアウトして歩き出したのもいつもの同じ7時半過ぎだった。
今日の行程の最初の3分の1は比較的大きな街であるÁguedaの街の中心部から端の方に向かって進んでいく。「ポルトガルの道」のルート沿いここまでのところ、特別高い山は無い代わりにずっと標高100〜200m、高くても300m程度の緩やかな傾斜の丘が延々と連なっている。街や集落はだいたいそんな丘の上にあるので、毎日何度も登って住宅地を通り抜けてまた下るの繰り返しが、もう何日も果てしなく続いている。
今日も、出発してすぐに通勤の車が忙しく狭い通りを走り抜ける間をぬうように川沿いに進むとすぐに今日一番きつい角度の坂をぐっと登った。標高一気に0ちかくから70mアップ。そこからは工業団地のような工場や倉庫、大型店舗が並ぶ地域だ。どうも昨日一昨日からこんな工業団地ばかり歩いている気がする。
大型スーパーの近所にあった新しくて大きなペストリーカフェで、今日の朝食をゆっくり取った。
幸いこの辺りは台地が続いているようで、そのまま平坦な道を進む。閑静な住宅街は、新しくてモダンなデザインの住宅が多く、古い家があったような場所も綺麗に改築したり、更地にして新築していたりと開発がどんどん進んでいるようだった。押し並べてどの家でも庭や建物の手入れが行き届いていて、暮らしぶりの良さそうなのが伝わってくる。そして結構な頻度で「邸宅」レベルの巨大な家屋と敷地がどんっと建っていた。邸宅の半分は空き家か、廃墟化し始めてホーンテッドマンションのようになっているが、残りの半分は今もきちんと人が住んでいるのがわかる。これらの富を作ったのは何かの産業だろうか、いやあたりには農地も多いのでやっぱりワインだろうかと、思いを巡らせながら舗装道路を進んだ。
ポルトガルの住宅地にはとにかく犬を飼っている家が多い。しかも一件につき複数飼っている。
そして、どの犬も、まぁよく吠える。
自分の家への来訪者でもなく、ただ道を通っている人にも何十メートルも向こうからワンワンギャンギャンとものすごい勢いで吠えたてる。吠えるだけでは飽き足らず、扉やフェンスに向かってドカドカと体当たりを繰り返す暴れっぷりだ。
最初はとても人懐こいのかと思ったが、どの犬も吠えると同時にウ〜グルグルと明らかにフレンドリーとはかけ離れた唸り声をあげ、尻尾も体勢も顔つきも間違いなく「警戒・威嚇」を表している。
わりと新しめで大きな家でこのワンワン大パーティーの傾向が強く、これがいっそ超大邸宅になると、とてもしつけの良さそうな大型犬が行儀良くお座りしていて、ワンともすんとも吠えない。また、のどかな古くからの農村っぽい村でも、わんこ達は放し飼いになっていることが多く、そして吠えなかった。
いわゆる普通の住宅街ではもう日中ずっとわんわんぎゃんぎゃんで、これが日本なら確実にご近所迷惑の大問題だが、ここではどこもかしこもこんな感じなので、こっちの人達の犬の鳴き声に対する感じ方はどう考えても日本人とは違うのだろう。むしろなんでもかんでもとにかく吠えるように躾けているのではないかとすら思う。
そんな住宅街で、ごく稀に吠えて威嚇するようなのが放し飼いになっていたりするので、犬嫌いや犬が怖い人は絶対にこの「ポルトガルの道」歩きはお勧めできない。
なぜなら、少しでも「きゃぁ」とか怖がったりましてや走って逃げたりしたら間違いなく追ってくる。とにかく知らんふりでどんなに足元でう〜う〜唸ろうとも、平気なふりで普通の歩みで通り過ぎることが重要だ。
でも、犬が怖い人なら家のフェンスの中からでもワンワンギャンギャン、ドカンドカンっとやられるだけで十分恐怖ではないかと思うので、ポルトガルはやめておきましょう。
これがオランダやドイツだと、犬の数は負けていない一方で、絶対に何がなんでも吠えない。散歩時も街中でほぼリーシュなしでみんなどんどん歩いているが、絶対に他人にも自転車にも近寄らない。牧場や森の中の遊歩道をウォーキングしていると、そういう散歩中の犬がひょこっと前方から現れることがあるが、常にこっちのことは我関せずで脇をすり抜けてとことこ歩いて行ってしまい、ほどなく飼い主さんも歩いてきて「やぁやぁ」とすれ違いながら挨拶するというパターンだ。
台地の端まで来て下り坂を終えると、少しだけ森と湿地帯の脇を通り、道標はいきなり大きな幹線道路の路肩を行くように示していた。
ほとんど高速道路のような様相の交通量と車のスピードのその道がルートになっている意味が最初はわからず、Google マップでちぇっくすると脇道があるように見えた。すこし遠回りになっても今日はそもそも20kmちょいなのでとその道を歩きかけた時、マップの衛生写真地図をチェックしていた巨神兵があるものを発見した。
その脇道は程なくして大きな川を渡るのだが、衛生写真でその橋が川の中心部分でぼこっと陥落していたのだった。
Google マップの衛生写真には古いものも多い。今はもう橋が復旧しているかダメか賭けに出るよりは、結局カミーノ公式標識のお導きを信じよう、と高速幹線道路の広い路側帯を進んだ。
川を渡る橋では歩車分離がしっかりとされていて、歩道があった。そして例の脇道の橋の崩落部分はどうか?と見ると。。。
今もしっかりと崩落していた。たぶん直すつもりもなさそうだ。
Google マップさんごめん、最初信じてあげなくて。
橋を渡ってすぐに、ルートは幹線道路から左に外れて再び住宅街の中へ入っていく。
その入り口のところのカフェが二度目の休憩点だった。
時刻はまだ11時少し前、でもなんと今日の行程の半分まですでにきていた。
コーヒーを飲んでいると、昨日会ったベルギー人の女性がリンゴをかじりながら歩いて追いついてきた。お互い手を振って挨拶したが、彼女はまだ休憩の予定ではなかったようで、そのまま先に進んで行った。
昨晩私たちは普通のホテルに泊まり、Águedaの街には宿泊場所も多かったので、朝から見かけたのは結局このベルギー人の彼女と、他には一昨日のアルベルゲに泊まっていたとても年季の入った姿と荷物の、四国でいうところの職業遍路プロ遍路まさにそのまんまな風貌のポルトガル人だけだった。
今日の後半はポルトガルお決まりの広大なユーカリ植林地の中を抜けていく白い砂の道のリピートで、その合間に大きなお屋敷のある住宅地が挟み込まれていた。
そして今日の目的地であるAlbergaria-a-Novaの街に到達。
街の名前にアルベルゲと入っているぐらいなので、古い小さな村で巡礼者用の宿が数件集まっているのかと勝手に思い描いていたのは大違いのモダンな家やアパートが並ぶ大きな街だった。最初に通り抜けた住宅地は道のサイズといい立ち並ぶ家の様子といい、ほとんど西宮か宝塚を歩いているのかと思ったぐらい、日本のよくある住宅街っぽかった。
今日予約しているアルベルゲは住所上はこの街だが、所在地はもう6kmほど北に行った街外れにある。
中心部にはカフェやフードコートがいくつもあり、学生らしき若い人たちでにぎわっているのを横目に足早に黄色の矢印を追っていくと、住宅地の裏に出現したユーカリ植林地の森の中の道を再び黙々と歩いて行った。
午後2時半には宿泊場所に到着。
そこで、あのカミーノ18回踏破のドイツ人・ハインリッヒがいた。他に見知った人達はおらず、客自体も私たちを含めて数人しかいないようだった。
これまでのアルベルゲやホテルと違って、幹線道路沿いのこの宿の近所には店やカフェがいっさいない。ただ、HPによると宿の食堂で夕食を注文できるということだったので、だったら大丈夫と何も持たずにやってきたのだ。
なのに。
「夕食?あ、今日はやってないわ、ごめんね〜」と悪びれもせずに一言で終了。
もちろん、予約時にも夕食が出来ないことなど一切言われず、「近くのレストランはここね、800m先」と地図を示しておしまい。
またやられた。
こういう「予約意味なし」な宿の対応で、計画していた宿泊環境をさらっとひっくり返されるのはこれで三度目だ。文化の違いと行ってしまえばそれまでだが、予約や注文をそっちの気分や忘れてたで無しにされるのは、ビジネス・モラルとしてどうなんだろうか。
このロケーションなので、冷蔵庫や棚に購入できるお菓子や飲み物が置いてあり、カップラーメンや冷凍食品も少しあったが、Google マップ様によると、歩いて5分のところにパン屋があるようだった。今日のこの時間は普通に営業中のはずだった。
行ってみると、閉まっていた。
その少し向こうにあるはずだった小さなスーパーも、行ってみたらどう見ても閉業していた。
結局、一応開いていたちいさなカフェでトーストサンドを頼んで、それが夕食となった。
宿の口コミは当てにならない。少なくとも時期によって大違いのようだ。
私たちは、カミーノ歩きの繁忙期を避けて少し早めに歩いているし、そもそも「ポルトガルの道」を歩くハイカーの大多数は私たちが明後日到着予定の大都市Portoからスタートするのだ。
これが「オフシーズンに歩くこと」の、厳しい現実なのだった。
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