オートルート2015(後半3日 プラフェリからツェルマットまで 2/3)
コースタイム
6:30 プラフェリ小屋出発
7:00 コル・ドゥ・ルー
9:30 パ・ドゥ・シャ
12:00 ディス小屋到着
4/8
5:20 ディス小屋出発
7:30 サーペンタン到着
9:30 ピーニュ・ダローラ到着(オートルート中の最高度地点 3890m)
12:30 コル・ド・レベック到着
13:40 ナカムリ小屋到着
4/9
5:20 ナカムリ小屋出発
9:00 コル・ドゥ・モン・ブルレ
10:40 コル・ドゥ・バルペリーヌ
13:40 ツェルマット到着
18:00 シャモニに帰着
天候 | 4/7-9 快晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2015年04月の天気図 |
写真
感想
4月7日 快晴 (Prafleuri小屋 からDix小屋)
今日はDix小屋までなので、かなり楽な行程である。昼には到着する見通し。朝6:30出発、Col des Roux までの短い登りの後はDix湖(Lac de Dix)の脇をひたすらトラバースである。始めのうちは傾斜を利用して滑ることができたが、途中からはシールを付けての歩行になる。オートルートの中では変化の少ない単調な歩きである。湖岸斜面の雪は完全にクラストしていて雪崩の危険はかなり低いと思われたが、場所によってはかなりの距離を確保して歩行する場所もあり時間がかかる。Pas du Chatには9:40到着。なぜここの場所を猫の足跡(1歩?)と呼ぶのか、聞き忘れた。
Pas du ChatからはDix小屋へ向けての登りである。そこから徐々に見えてくるのはMont Blanc de Cheilonの威容である。分厚いセラックを背負った鋭角的な山容はいくら見ても見飽きない格好良さだ。ちょうど正午にDix小屋に到着。石造りの立派な小屋でこの小屋からの景色もただただ感動ものである。雰囲気は立山に少し似ていると思った。小屋の西側の斜面は十分に滑りに行けると思ったが、明日はPigne d’Arollaへの登りもあるので自重した。お天気もよく暖かいので午後ずっと景色を眺めていた。
4月8日 快晴 (Dix小屋からNacamuli小屋)
今日はオートルートの中で最高到達点であるPigne d’Arolla (3790m)頂上を経由しイタリアのNacamuli小屋までである。予定されていたルートはVignnets小屋宿泊、Glacier d’Arollaを下りBertolへ登り返すルートだったのだが、この時点で丸1日遅れていたので、予定されていたルートの南側のCol du Mont BruléとCol de Valpellineを越えるルートに変更された。こちらの方が標高を下げない分だけ登りも少なくなり時間を短縮できる。
5時過ぎに出発。Mont Blanc de Cheilonが朝日に輝くなかSerpentineに向けて登る。この部分はツアーの中ので気に入った部分である。Serpentineとは「蛇のような」という意味だが、確かに蛇のようにルートが曲がりくねっている。Serpentineはやや急な登りの上、氷結していたのと、抜け口にクレバスがある。途中でクランポンに履き替えロープで確保されながら、クレバス部分を通過する。そこからPigne d’Arollaまでは緩やかな登りである。
Pigne d’Arollaに9:30に到着。頂上にいる皆で誰彼構わず祝福である。頂上は広くなだらかで見晴らしが素晴らしい、Dent Blanche, Dent d'Hérens, Matterhornが圧倒的な存在感を示し、眼下にはDix湖, Glacier d’Arolla, Col de l’Evequeが見える。
Pigne d’ArollaからはVignnets小屋方面へ向けて下降する。この斜面は適度な斜度とかなりの距離があるが、残念ながら雪はクラストしていた。Vignnets小屋はリッジの上に建っている立派な小屋である。この小屋には是非宿泊してみたかったのだが、これをを横目に見ながらCol de l’Evequeへ向うGlacier de Mont Collon上部を横断する。この横断部分はかなり長いので、わざとパーティから遅れ前後にほとんど人影が見えない状況を作り出し白銀の氷河の独占感を満喫する。Col de l’Evequeに12:30到着。
Col de l’EvequeからGlacier d’Arollaを少し下り、Col de Collonを北に回り込むとイタリア国境を越え約250mほど下った所にNacamuli小屋がある。Nacamuli小屋に13:40到着。Nacamuli小屋はこれまで宿泊したスイスの小屋よりもやや小振りの小屋であるが、お手洗い以外は快適で食事も美味しい。宿泊者も比較的多かった。ここまでのフランス、スイスの小屋のお手洗いはバイオトイレ、一部水洗トイレもあったが、Nacamuliのそれは「農鳥小屋」のもっとワイルドなやつである。
4月9日 快晴 (Nacamuli小屋からZermatt)
5:20出発。Col de Collonへ登り返しGlacier d’Arollaをわずかに下り、すぐに東へGlacier d’Arollaから離れると、Col du Mont Bruléが見える。このコルもやや急なのでクランポンに履き替えて登る。このコルからGlacier de Tsa de Tsanの緩やかで長い登りをCol de Valpellineへ向けて登って行く。Col de Valpellineが近づくにつれてDent d’Hérens, Matterhornの頂が見え始める。10:40にCol de Valpelline到着。ゆっくり景色を堪能し、ここまでついに来た達成感を噛みしめる。
11:40最後の滑走開始。Col de ValpellineからZermattまでは標高差約1900mの滑走である。この区間は滑りというよりもMatterhornとDent d’Hérensの姿を堪能しながらの移動になる。特にDent d’Hérens中腹とMatterhorn下部の巨大なセラックは圧巻、息をのむ美しさである。スイス人が「これがスイス・マジックだ」と誇らしげに言う。ルートはこれらのセラックの下部を通過するため、こうした場所では完全に1人ずつ氷のくずが散らばる中を大急ぎで通過することになる。本当は立ち止まって間近で見上げてみたいのだけれど。
こうした景色に後ろ髪を引かれる思いで、Zermattまでスキー場を経由して下降し13:40にオートルートの全行程を完了した。終了点では全メンバーと抱き合い、無事オートルートを完走できたことを祝福しお礼の言葉を交わす。9ヶ月あまりの準備をかけた旅が最高の形で成就したことに、天候という運に恵まれたとは言え、100%満足した。
メンバーと祝杯をあげた後、Zermattからは車を置いてあるGrands Montetsまでガイド組合の手配したタクシーで戻りガイド組合オフィスに預けた荷物を回収し、オートルートの旅は完結した。
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