スティープ体験記・Col des Cristaux

- GPS
- 06:52
- 距離
- 22.4km
- 登り
- 1,316m
- 下り
- 2,812m
コースタイム
- 山行
- 7:07
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 7:07
過去天気図(気象庁) | 2025年03月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
写真
感想
前日、Danielから状態がいいという情報をもらっていた「Col des Cristaux」にTomaとふたりで行くことに。今回の旅では、エリアの概念把握に努め、安全なツーリングに終始する予定だったが、せっかくシャモニーにいるので少しくらいは本場のスティープをかじっておきたいという気持ちもあった。トマはまだ若く、そこまで急斜面の経験はなさそうだったが、彼も同じようなモチベーションがあったため、話はトントン拍子に進んだ。一日しか一緒に行動していなかったが、お互いによく意思疎通できるし、パートナーとして不安はなかった。
当日、2回目となるアルジェンティエール氷河への通勤をこなす。今回はリフト下りてすぐにハイトラバースを仕掛け、他の人よりも一段高いスタートとなった。時間的なマージンがあるので、トマを待ちつつゆっくりめのペースで歩く。肩から滑走となるが、今回は前回よりも手前から滑り始め、岩塔の下に出た。トマはスプリットボードなので、トラバースでは少し下に出るし、モードチェンジでは少し時間がかかる。高度のせいかイマイチ調子がよくなさそうでもあった。
氷河上はガスが濃かったが、予報とライブカメラの情報から晴れることを信じて歩みを進めた。最初は左岸のセラックを避けつつ、そのうちに右岸の方に移る。次第にトレースが薄くなり、先行は2人一組だけとなる。氷河上ではロープを出さなかったが、取付きのベルクシュルンドで念のためロープを出した。先行者のトレースに沿ってスノーブリッジを渡り、スタンディングアックスでビレイ。トマがブリッジに差し掛かると、ブリッジが崩れて、"Shit!"という叫びとともにトマがちょっと落ちた。スタンディングアックスで墜落を止めるのは初めてであり、普段ほとんど使わないのでほとんど忘れていたが、先日の剱でゲンキ氏に指導されていたフレッシュな技術が活きてよかった。クラックは傾斜していたが、底は見えなかったらしい。
北面のため、しばらく降雪がなくても雪はやわらかく、キックステップで脛あたりまで入るため、50度程度の斜度でも十分休めるし、怖さはあまりない。上部残りちょっとのところで、先行の2人が下りて来て挨拶をした。スラフやちょっとした氷塊は落ちてくるが、登るのにそこまで支障はなかった。14時半頃に稜線に出て、そこからクライムダウン。この辺りはやや氷化しており、ここのクライムダウンが一番緊張した。そして、板を履けばこわくない。ピッチを切りながら下り、シュルンドはちょっとした段差を飛んでいなした。
トマとグータッチをしてから、氷河まで下りるところの5ターンくらいが、今回の旅で一番いい雪だった。あとはひたすら氷河をゆくが、ここもよく滑るし大きな景色を移動していくので、とても気持ちがいい。Grandes Montesが近づくと、これから小屋に向かう登山者が多くいて、氷河の末端ではクレバスレスキュー?の訓練も行われていた。ゲレンデに戻ってから、ボトムまでノンストップで滑り、脚はパンパンに。下山後はふたりでハンバーガーを食して、宿に戻ってからジェノベーゼも食べた。標高差のわりに疲れた気がしたのはなぜだったのか。
Lionel TassanのMont-Blancスキートポ(2010年版)によると、今回行ったルートの滑降グレードは5.1で、トポだと1.2から最高5.5まである。4番台も滑って、グレードの肌感覚を得たいところだったが、滑りに関しては特に問題ではないと感じた。問題は登りでも下りでも転んだら死ぬという点で、リスク許容度と露出感への耐性という面において(あとは体力と好奇心も)、シャモニーの人たち(ローカルにせよビジターにせよここで滑ってきた人たち)には凄まじいものがあると感じた。
今の自分にとっては、リスクをとって誰かのスティープラインをなぞることにそこまでの意欲はもてないが、とりあえずここでの経験をもって、また日本のフィールドで気の向くままに山を楽しめればいい。
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