根ノ平峠界隈

天候 | 西、風力3→風弱し/快晴/8℃ |
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過去天気図(気象庁) | 2025年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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感想
山行記録689 令和7年3月1日 (土)
風 温む 〜根ノ平峠界隈
単独 地図:御在所山
ここ数年、2月になると一気に気温が上がるパターンが続いていたが、今年は寒い2月となった。
竜に登った後の約1週間は再び寒波に包まれ、風向きが北西から北寄りで、鈴鹿の山に雪が降り積もる条件となった。
こうなると、雪遊びの虫が騒ぎ立てる。3/1・2の天気を気にして見ていたが、両日ともに気温が上がり、さらに2日は次第に雨になる予報が動かない。どうやら山へ行くとしたら1日(土)の1択らしい。
たとえ1択でも天気図の確認ぐらいはするが、今回は忙しくてそのヒマもなく、「山行くんや〜」というニンジンを目の前にぶら下げて乗り切って、出たとこ勝負で臨むことになった。
行先は、冬の定番。根ノ平峠を越えて行けるところまで…。あわよくば、雨乞岳まで行けたらな〜、などと言ってみるものの、そこまで行けるとは考えていない。
金曜日は遅くなったので、朝、起きれるかと思ったが、ナントカ4時過ぎに起床。いつの間にか明け方に南中するサソリ座を見上げながら朝明に向かう。
松尾尾根口辺りまで来ると雪が出てくる。それでも、庵座谷出合まではそれほどでもなかった雪が、駐車場までの坂を登る間に急に増え、駐車場は道路沿いの2割ぐらいの除雪でほぼ真っ白。山から風が吹き下ろしているが、大した冷たさでもなく、足ごしらえで手がかじかむこともない。
6:25出発。ちょうど森の向にから太陽が昇ってきた。今日の名古屋の日の出は6:22である。
伊勢谷小屋の脇を抜けて千草街道に入る。今日から3月。キブシの花かんざしを見上げながら歩くことも多いが、寒波が続いた直後だけに、まだマンサクにすらお目にかかっていない。
堰堤の上の徒渉点で小休止。ピッケルを雪に突き刺してみると首根っこまで入る。ここで70cm近くあると言うことは、上がっていくと1mを軽く越えているかもしれない。
それにしても全然寒くない。雪も緩み始めていて、踏みしめた雪がベシャッとつぶれる感触がある。先々週、竜の下りでシッカリ水を吸った革靴が、すでに水を吸い始めている。玄関で乾かしただけでワックスを塗るのを忘れていた。塗りすぎるのも良くないが、手入れを怠るとまた傷みを早めてしまう。今日帰ったら、今度はキチンと手入れしよう。
伊勢谷の流れを離れて崖状を登ると根ノ平峠が見えてくる。その斜面に陽が射し込んで、まぶしい暖色系と沈んだ感じの寒色系が文字通り明暗を分け、その境目近くで雪粒がキラキラ光っている。
「この光景を見に来たんや・・・」。立ち止まって、しばらく見上げる。
うず高く積もった雪庇のナレの果てもズブズブになりつつある。ハデにハマることがあるから、そっと立ち込みながら登っていくと、風が吹き抜けて雪が浅い鞍部に道標が現れる。8:08根の平峠到着。深い青空の下に、イブネ、クラシが横たわる。
千草街道を西へ歩き、タケ谷から離れる地点にさしかかる。細流に渡された橋を渡って振り返ると、今でこそ森が茂っているが、昔は田んぼだったのではないかと思われる段々に立ち並ぶ冬枯れの森の向こうにまばゆい太陽。雪の上に森の影を伸ばす。ザラメの氷と化した粒を通り抜けた光がキラキラ輝く。この光景も雪深い森でしか味わうことができない。
大杉を過ぎたところで一休み。雪に映し出される森の影を楽しみながらヨウカンなどついばむ。気温は3℃。陽が高くなると雪がユルユルになることが想像にたやすい。それでもこの先、北向きの斜面を歩くところも多いから、始末に負えない場所は限られると見るが…、さあて!。
乗越を越えて谷間を抜けると、若干深めの徒渉点にさしかかる。先行した人が思いっきりハマった痕がある。ルートが雪に閉ざされいるから無理もない。「もう少し上(かみ)に回り込むんやはな〜」と斜面の雪を踏み固めながらできるだけ夏道を辿って行くと、雪の上に長さ1cm、幅1mmぐらいの黒いものが動いている。セッケイカワゲラ。「お久しぶりです」。
ところがカメラを取り出している間に雪に潜り込んでいったようで、尻尾の2本のツノ?だけがのぞいている。一見してスキマのない雪にも見えるが、虫の立場になってみると、大岩が積み重なったようにスキマだらけなんだろう。
歩き始めてすぐ、別のセッケイカワゲラを見つけたので、今度はモデルになっていただいた。ちなみに、この間の竜ヶ岳はでは圧倒的にトビムシが多かったが、今日はトビムシをそれほど見ない。
乗越を越えて北斜面を横切る所にさしかかる。いつも足場に困る場所は積雪が十分。明らかに谷側に外れたトレースも安定して通過できた。岩に雪が載って手を焼くこともある上水晶谷の渡渉点も、何のこともなく通過する。
その先の道標から、本来のルートに踏跡がなくなった。最近は、まっすぐ浅い谷を下る人も見かけるが、尾根の先を谷側から巻いているのか、いわゆる「鈴鹿の上高地」の周回ルートなのかは知らない。今日もトレースがそっちに続いているが、行き先を知らない以上、辿る気にもならない。まだ足跡がついていない雪の斜面を水平に歩き出す。
雪は浅くはないが、ザラメ雪にスネほどの深さの穴を空けていく作業に等しく、ラッセルのようなキツさがない。まずは尾根の先まで1/4ぐらいの所の斜面に立つ大木を目指す。その先は少し傾斜もキツくなるが、ピッケルを首根っこまで突き刺して確保しながら不安定感もなく通過した。
尾根を回り込むと日当たりのいい南斜面。所々地肌が見えているところもある。雪の下の根っこに乗ったりして足払いを食わないように慎重に通過する。
水平ルートがエチ川本流に近づくと、少しばかり平坦なところにたどり着く。目の前には、雪の状態によっては通過できなくなる急斜面。踏跡は…、ルートの上の斜面を巻いている。ともかく辿ってみる。積雪が多いから足場がシッカリ確保でき、高巻きの上り下りさえ注意すれば難しいことはない。そこを抜けると、よく大岩の隙間を踏み抜く小沢。用心深く横切り、悪場を抜け出す。
9:55、問題のコクイ谷出合に到着。
今日は渡れるのか…。そのままトレースを辿ると、出合のすぐ下流を石飛で渡っている。流れの中の岩が安定しているのかどうか、見た目だけで判断は難しいが、ピッケルを川に突き立てて渡ってみると、まあまあ安定して渡ることができた。
次はどこで渡り返すかである。トレースは夏道のある岸に上がらずに伸びている。渡り返しの徒渉点は、本流が広くなりかける場所。そこまで行ってみると、徒渉点に倒木が被さって足場がない。仕方がないので少し戻って踏跡を確かめると、流れの狭い区間のほぼ中間で、昔、対岸のルートにロープが張ってあった場所のやや上流。石飛で渡渉して、対岸の細流を無理矢理登っている。まあここは、昔から無理矢理感のある場所だったが…。
少し無理をすれば渡り返すことはできなくはないが、時刻は10時を回り、12時まで歩いてもどこかの頂上にはたどり着けないだろう。「今日はここまでにしよか!」。相変わらずの軟弱山屋である。
それなら…。思いついたのが小峠尾根末端の裾にほんの少し広がりを見せる森。前から気にはなっていたが、千草街道から外れた場所だから、わざわざ踏み込んだこともなかった。
小峠に登るには、上水晶谷出合あたりでエチ川本流を渡り、昔は千草街道の脇道が通っていたという足場の悪いドロドロの谷をよじ登っていた。もっと歩きやすいルートはないかと思って地図を眺めていたとき、小峠の東側で尾根の末端がエチ川に没するあたりで上流に向かってとぐろを巻いているように見えた。そこには少しばかり平坦地があって、「いっぺん行きたいな〜」と思っていた場所である。
川岸の段を上がって平坦な場所に踏み込んでみた。斜向かいの箱庭と違って、周囲も開けっぱなしで明るく開放的である。陽当たりも抜群なので、小峠尾根南面に立ち並ぶ樹々の根元は根開きも始まっている。
陽射しが熱いので、杉の木陰で雪を踏み固めてベンチを作って腰を下ろす。気温は8℃もある。サッサと下山しないと雪がズブズブになってしまいそう…。
メシを済ませたあと、せっかくなので尾根の末端へ行ってみることにする。奥へ進んでいくと、平坦に積もった雪に大きな窪みがあり、中は雪が融けている。そこは湧水。いくつもの湧出口があって、染み出した水が緩やかに集まり、本流に向かって流れ出している。
とぐろを巻いた尾根の末端はその向こうにある。末端から尾根通しと言うのもどうかと思うぐらい、見るからにキツい尾根。思っていたようなとぐろではなかった。「どう登る?」。尾根の末端から上の方へ目を移していく。小ピークの西側のちょっとした鞍部状へなら登りやすいのかな?。
11時になった。雪が緩くなる。そろそろ退散しよう。
来た道を引き返す。陽当たりのいい場所は雪が明らかに緩んで、来たときよりも深くはまることが多くなった。特に南向きの斜面は積雪が下層まで緩んで足払いを食うから、注意しながら通過する。
さすがは3月、陽が高くなって来ると、陽射しもキツい。ジワジワと暑さが応えてくる。根ノ平峠に近づくにつれ、半分バテたようになってきた。これはたまらない。
12:23根ノ平峠に到着。気温は12℃。あとは下るだけなので水を多めに補給して下り始める。
雪がクッションになり、ヒザにかかる負担が少ないので、深い雪に足を食わせてガンガン下れる。
30分ほどで小屋が見え始めた。それにしても…、暑い!。キャンプ場に戻ると、舗装された道路に積もった雪は逆に歩きにくく、暑さも手伝ってペースがガクンと落ちる。駐車場までがやたらに遠い。13:19駐車場に帰還。
結局、コクイ谷出合までに終わったが、ソレナリの収穫もあった。下り坂の天気。午後になってすじ雲が広がり始めている。
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