火山の景色と湿原のお花、お得感満載の夏の八甲田山


- GPS
- 03:54
- 距離
- 9.1km
- 登り
- 455m
- 下り
- 869m
コースタイム
- 山行
- 3:31
- 休憩
- 0:21
- 合計
- 3:52
天候 | 曇りのち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
https://www.konanbus.com/highway/panda.html JRバス:「みずうみ号」 青森駅ーロープウェイ駅 約54分 1290円 酸ヶ湯温泉ー新青森駅 約73分 1570円 https://www.jrbustohoku.co.jp/route/11/264/ |
コース状況/ 危険箇所等 |
危険個所は特にないが避難小屋から大岳の登りの階段は登山道が掘れていて階段というよりはハードルのようになっている。 |
その他周辺情報 | 酸ヶ湯温泉 日帰り入浴 1000円 |
写真
感想
秋田駒ヶ岳への遠征が決まった時、俺は地図を眺めながら考えた。「もう一つ山を加えられないか」と。最初に候補に挙がった岩手山は、噴火警戒レベル2で登山禁止。そこで目に留まったのが、本州最北の百名山、青森の八甲田山だった。
調べてみると、青森駅からロープウェイ乗り場までバスが出ている。アクセスは悪くない。タイミングよく早朝に青森駅に着く夜行バスも見つかった。こうして八甲田山、秋田駒ヶ岳、そして月山。公共交通機関だけを使い、三日間で三つの山を巡る計画が完成した。我ながら少し無茶な遠征だが、それがいい。
前夜、東京を出発した。上野を20時半に出る夜行バス「パンダ号」は、翌朝7時過ぎに青森駅に到着する。八甲田へ向かうJRバス「みずうみ号」の出発は8時10分。乗り換えには十分な時間があった。実際にはバスが予定より早く着いたおかげで、駅前の市場で新鮮な海の幸を使った朝食を楽しむ余裕まで生まれた。
バスは八甲田を越え、十和田湖まで向かう人気の路線だ。日曜日ということもあり満席で、臨時便も出ていた。残念ながら天気は曇り。高速バスの車窓から見えた雄大な岩木山も、これから目指す八甲田の山々も、厚い雲の中に隠れている。
八甲田山といえば、雪中行軍遭難事件のイメージから「厳しく恐ろしい山」と思われがちだが、夏は全く違う顔を見せる。登山道はよく整備され、ロープウェイを使えば標高1300m付近まで一気に上がれる。初心者からベテランまで楽しめる、間口の広い山なのだ。
今回はそのロープウェイを利用した。15分間隔で運行しているが、観光客で混雑しており一本見送ることになった。それでも、次の便には無事乗車できた。
今回のルートは、ロープウェイ山頂駅から田茂萢岳、赤倉岳、井戸岳を経て八甲田大岳へ。そこから上毛無岱の湿原を下り、酸ヶ湯温泉でゴールだ。
最初はガスで視界が悪く、どうなることかと思った。だが、歩き始めると次第に天候が回復し、雲が晴れて絶景が姿を現した。噴火で削れた断崖沿いを進む赤倉岳、井戸岳へと続く稜線は、まさに天空の散歩道。井戸岳の巨大な火口など、いくつかの噴火の痕跡を巡り、いよいよ最高峰の八甲田大岳(1585m)に到着した。
山頂からは360度のパノラマが広がる。晴れていれば岩木山や津軽半島、そして遥か北海道まで見渡せるという。この日はあいにく遠くの景色はお預けだったが、それでも向かいの井戸岳をはじめ雄大な景色が広がり、十分満足できた。
山頂からの景色を堪能した後は、このコースのもう一つのハイライト、毛無岱湿原へと下る。湿原といえば尾瀬が有名だが、この毛無岱湿原の広大さもなかなかのものだ。ワタスゲやチングルマが咲き、その向こうにある大岳と一緒に写真に収めようとして、なかなか先へ進めない。上毛無岱から下毛無岱を見下ろす光景は、この山行一番の絶景だったかもしれない。初めて八甲田山へ行くなら、このコースは外してほしくない。
最後は、300年以上の歴史を誇る名湯・酸ヶ湯温泉へ下山した。少し湯温は高めだが、総ヒバ造りの大浴場「ヒバ千人風呂」は圧巻の広さで、白濁した酸性の硫黄泉が登山の疲れを芯から癒してくれる。
ロープウェイで手軽に絶景へアクセスし、広大な湿原と荒々しい火山の両方の景色を楽しみ、最後は歴史ある温泉で締めくくる。こんなに贅沢なコースが、駅からバス一本で楽しめる。青森、恐るべし。たくさんの花々と美しい光景に出会えた、大満足の山行となった。
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