地図読み術は山歩きを楽しくする
登山道を、標識に従って進んでも山は登れますが、地図が読めると、
(ガイドブックではなく)自分で計画を作れるようになり、
(誰かほかの人についていくのではなく)自分がどこを歩いているか分かるようになり、
(救助隊ではなく)自分の力でどのくらいの目途で帰ってこられるのかわかるようになります。
地図読みは、自立した登山家になるために必要な技術です。自立した登山こそ、登山の大きな喜びの一つです。
雪山や道の無い山や沢登りの場合、道に迷うとは言いません。道に迷うのは道歩きをしている人です。地図を見なければ、道があっても迷う事があると云う事です。
(ガイドブックではなく)自分で計画を作れるようになり、
(誰かほかの人についていくのではなく)自分がどこを歩いているか分かるようになり、
(救助隊ではなく)自分の力でどのくらいの目途で帰ってこられるのかわかるようになります。
地図読みは、自立した登山家になるために必要な技術です。自立した登山こそ、登山の大きな喜びの一つです。
雪山や道の無い山や沢登りの場合、道に迷うとは言いません。道に迷うのは道歩きをしている人です。地図を見なければ、道があっても迷う事があると云う事です。
携帯方法/地図と磁石は出し易いところに入れておき、5分に一回見る。
100枚入りで500〜700円台です。三つ買えば送料無料。アマゾンなら二つ買えば送料無料。TP22.5-31で検索し、ほか安いところあれば研究してください。包装用品専門店など、近所にあれば売っています。
ヤマレコで計画書を作り地図プリで印刷するとA4紙になりますから、このシートに入ります。ただし縮尺は1万2千5百分の一くらいの微妙な感じになるので、一センチ何キロなのか一キロ何センチなのか地図の端に直線で書きこんでおきます。
おぼえておくべき数字/標高差300mは1時間 歩行の速度は時速4キロ
常識的な傾斜で標高差300m登るのに一時間、下りなら×2/3くらいです。水平歩きなら4キロ進むのに1時間かかります。これを尺度にだいたいの計画が立てられます。
五万分の一地図なら林道歩き1センチ500m、だから一時間で8センチです。
距離を測るのに、40複歩(左右の足一歩づつで1複歩といいます、数える時半分で済んで楽)で50米。1複歩1m25センチ。人によって違うので、自分は50mを何複歩で歩くか測っておくとよい。松浦武四郎、伊能忠敬もこれで日本地図を作図しました。
五万分の一地図なら林道歩き1センチ500m、だから一時間で8センチです。
距離を測るのに、40複歩(左右の足一歩づつで1複歩といいます、数える時半分で済んで楽)で50米。1複歩1m25センチ。人によって違うので、自分は50mを何複歩で歩くか測っておくとよい。松浦武四郎、伊能忠敬もこれで日本地図を作図しました。
尾根と沢/沢は下りが楽で登りが難、尾根は下りが難で登りが楽
尾根は上から下に向かって別れて行くので、下山の時に分かれ道が増え、まちがえやすくなる。逆に沢は登るにつれ二股が現れ選択肢を迫られるから登りの方が間違えやすい。道はたいてい尾根上についていますから、下山は迷いやすいと見て、気をつけてかかりましょう。
移動しながら答え合わせ
道の無い雪山などで地図を見ながら進んでいる時、現在地が常にGPSのように鮮明なわけではありません。実際には移動してきたその変化で、現在地がだいたいわかると云う事も少なくありません。明確に分からないからと立ち止まって考えていると時間がどんどん流れます。何か意味のある地形の様に思えても、その後に出てきた地形のほうが本命だったりして、わずか数十米移動することによってあっているのか間違っているのかの情報が集まることも多いので、多少位置不明になってもあせらず移動するのもコツです。
地図読みの達人といっても連続的に現在地が分かっているわけではありません。以下のわかりやすいポイントで答え合わせをしながら前進するのです。もちろん間違っていたら(違うという証拠を見つけたら)確かなところまで戻るのです。
地図読みの達人といっても連続的に現在地が分かっているわけではありません。以下のわかりやすいポイントで答え合わせをしながら前進するのです。もちろん間違っていたら(違うという証拠を見つけたら)確かなところまで戻るのです。
地図読みを助けるわかりやすいポイント
以下は現在地を確定する有力なヒントです。
●登りや下りが変わるところ・・登りルートなのに一時的に下るところ、またその逆、これはホワイトアウトでも密林帯でもわかりやすいサインです。地形図の中で明確に分かります。
●傾斜が変わるところ・・これもわかりやすいヒントです。
●尾根の太さが変わるところ、分岐するところ・・・急に細くなったり広くなったりしたら地図で確認答え合わせします。
●沢の二股、その方向
●隣の尾根などに見える顕著な地形や人造物とその方角
●景色が開けるところ・・・樹林帯の中で崩壊地や伐採地で周りの景色が見えたら、またホワイトアウトの時でもじっと目を凝らして見ていると5分に一回くらいは視界が一瞬利く時があります。こういう時に地形と、遠くの尾根などにある顕著な地形をヒントに答え合わせします。
●登りや下りが変わるところ・・登りルートなのに一時的に下るところ、またその逆、これはホワイトアウトでも密林帯でもわかりやすいサインです。地形図の中で明確に分かります。
●傾斜が変わるところ・・これもわかりやすいヒントです。
●尾根の太さが変わるところ、分岐するところ・・・急に細くなったり広くなったりしたら地図で確認答え合わせします。
●沢の二股、その方向
●隣の尾根などに見える顕著な地形や人造物とその方角
●景色が開けるところ・・・樹林帯の中で崩壊地や伐採地で周りの景色が見えたら、またホワイトアウトの時でもじっと目を凝らして見ていると5分に一回くらいは視界が一瞬利く時があります。こういう時に地形と、遠くの尾根などにある顕著な地形をヒントに答え合わせします。
間違え易い地形を地図から予習しておく
【下りなら】尾根上を漫然と下って行くと、うっかり分岐を見過ごすようなところ。広い広場から複数ある尾根を選択して下るようなところ、あるいは下る尾根の始まりが顕著ではなく少し下ってみなければはっきりしない地形など。
【上りなら】沢の分岐が分かりにくく、支流がほとんど谷の形をせずに合流するところ。
また、登山道が小沢を横切るところも要注意。道よりも沢のほうが道らしく見えるところあります。
地形図見て、現場で困りそうなところは事前に注意を払っておき、心して望みます。こういう地図上登山をする事は山登りの楽しみのひとつになると思います。
【上りなら】沢の分岐が分かりにくく、支流がほとんど谷の形をせずに合流するところ。
また、登山道が小沢を横切るところも要注意。道よりも沢のほうが道らしく見えるところあります。
地形図見て、現場で困りそうなところは事前に注意を払っておき、心して望みます。こういう地図上登山をする事は山登りの楽しみのひとつになると思います。
GPSはやめましょう
GPSは過程抜きの正解を持っています。これを持っていてはいつまでも地図が読めるようになりません。何よりも深刻なのはGPSを持つことによって、「僕は今、迷っているかもしれない」、という良質な不安感を味わえなくなります。「今どこだか分からないかもしれない」という孤独感は、安心安全便利な下界ではおよそ感じることのできない、山歩きならではの畏怖です。GPSを持つことによって、「山への畏怖」を感じるという、山で最も肝心な部分が台無しになってしまいます。借り物の先端技術で偽りの全能感を以て山に臨んでも、無力な自分を自覚できません。成長はないと云う事です。電池はいつか無くなります。
自宅から見える山で地図読み登りを始めよう
地形図を手に入れて、自分の家から見える気になる山に登ってみましょう。家から歩いて麓まで何時間かかるか、登りやすそうな尾根(尾根が激ヤブなら沢)を見つけて、山頂まで何時間かかるか。できれば山の向こう側に下山する計画にして、バス停の位置や時間を調べる。小さな山でも道があったり無かったり、地域に伝わる古い峠道や修験道の通り道かもしれません。地図にはないけど山仕事の作業道があるかもしれません。そういう発見を手作りの山行計画ですることができます。やり遂げるころ、地図読みが得意になっているのではないでしょうか。家から見える山並のほとんどを歩いてみたくなるのではないでしょうか。そうして歩いた山並は、普段暮らしの中で目にした時、前とは違って見える筈です。
追記・ヤマレコの地図プリからA3にコンビニのコピー機で出力する方法
以前日記にあったとても研究された方法です。A3を二つ折りにして、透明シートに入れています。
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※この記事はヤマレコの「ヤマノート」機能を利用して作られています。
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はじめまして。 昨年山登りを再開した者です。
昔、70年代80年代に、登山入門書や解説書に「地形図の読み」といった項目はあったかもしれませんが、それほど重要視されてなかったと思いますし、専門書籍なども目にした記憶がありません。
一体いつ頃から「地図読み」や「山岳ナビゲーション」が大きな話題になったのでしょうか?
yoneyamaさんはいつごろから「地図読み山行」を実行されたのでしょうか?
70年代は主要山岳は5万図ばかりで2万5千図は少ないので、近年言われてるような「積極的な地図読み」はちょっと難しかったのじゃないだろうか、と思ってます。
質問ありがとうございます。
物事の歴史的な移り変わりを確かめるのは私も好きです。久しぶりに山を再開した人は、皆が忘れていることを覚えていて、気づきがありますね。
私の場合は高校生のころから地形図を見て近所の山を選び、持って山に登っていましたが、北海道大学山岳部入部の1984年に五万分の一で不可欠なものとして始めました。北海道では当時でも登山道が広く整備されていなかったこともあり、山岳部の成り立ちが探検山行であるという伝統もあり、地形図無しの山行は考えられませんでした。ほかの大学山岳部なら谷川の岩場とか、北アルプスの縦走とか、地形図不要な山育ちになっていたかもしれません。
沢登り、積雪期を登る人は、昔も今も地形図無しでは無理と思います(海外の探検行は地図がないこともありますが、それには別の準備、たとえば日程が長いとかで対処し地図を作るつもりで行きます。)
道が整備されたところだけを登っている人には、昔も今も地形図はいらないかもしれません。でも地形図を読めたほうが山は面白いし、わけのわからない失敗は減ります。最近は地図読みをしたい人が増えているのは、山をもっと満喫したいという意欲の一つではないかな、と思います。
私は五万図だけでも積極的な地図読みは可能と思います。特に長距離の山行では、枚数が多くなるので今も昔も五万図中心です。
【以下私なりの答えですが、】
▼80年代までの登山者は人気ルートに集中し、人を頼りに歩く方法が主流だった。
▼90年代、中高年百名山ブームで、中高度の地味な山にもガイド本がたくさん出版され、ハイキング山も増えました。そういう山の整備は人気山域ほど丁寧ではなく道迷いなどの事故が増えました。
▼2000年代スノーボードやBCスキーが若い人に広がり、雪山で気軽に尾根を下りて帰れない人の事故が増えました。以前雪山は地図読みできない人は行くことができませんでした。
▼2010年代、若い人もたくさん山登りするようになりました。遭難で人に迷惑をかけるのはやめましょうという風潮が前にもまして強くなり、一方で地図読みできないのに山に登るなんてという風潮もあり、若い人は勉強熱心ですから、地図読み熱が上がっている。
というような流れではないかなと思います。地図読みはできたほうが楽しいけど、できなくてもくよくよすることはないと思います。標識の多い一般ルートでは。中高年になってから地図読み稽古したいという人は、若い人ほど多くないような気もします。
返信ありがとうございます。
◆ yoneyamaさんの山行を拝見して(沢山あって見きれません)、地図との関わりが分かりました。北海道の山、沢登り、積雪期登山などが主体なので、地図なしは到底無理ですね。
私は貴殿が北大へ行かれる10年以上前に大学山岳会の夏山合宿で大雪山を縦走したことがあります。北部中部は道・道標とも完備していて全く問題なしでしたが、東部の音更川上流は険岨ではないものの道がなく100%5万図頼りでした。といってもまだ新人ですからルートファインディングの主役は上級生ですが。
◆ 2000年代のスノーボードやスキーのBCへの広まりが、登山界外ではありますが、地図読み層の啓蒙・拡大に寄与したというのは、80年代末で山登りから足を洗った私には想像もできないことで、なるほどと思いました。
ただし、昨年再開した山登りでは、東京近郊でも北アルプスでも中高年が大半でしたので、「2010年代、若い人もたくさん山登りするようになりました」というところは、ちょっと首をかしげざるを得ません。
確かに「山ガ―ル」という昔は居なかった新しい人種が目立ってますが、
「山ボーイ」と云えるような若い男性登山者は昔より少ないと思います。
私が属していた大学山岳会も90年代から会員の減少が顕著となり、2000年代からは会の存続の危機が続いてます。近年は他大学生や外国人留学も会員になってもらい何とか命をつなげてるといったところです。
● ところで、「GPSはやめましょう」というご提案ですが、
これは地図読みをするしないに拘わらず大賛成です。
登山にはいろいろな形態・対象・目的があり、携行する装備・用具も選択は基本的に個人の自由でしょう。でも、私は「探検」や「非日常」という面を重視して、デジタル装備(GPS・高度計・携帯・スマホ・PC、など)は持たずに、「山勘」(=アナログ登山)で行きます。
ただし、近年は「もし遭難したら」ということで、携帯は必須携行の人が99%でしょうね。
「山ボーイ」、確かに若者がたくさん登っていた70年代、80年代ほどの盛況ではないですね。でも、90年代2000年代の若者全滅時代を経てみると、いまは山で若いオトコを時々見るだけでうれしい気分になります。ただし、山岳部や山岳会にはほとんど属していないみたいですね。
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