白馬岳 主稜
- GPS
- 29:30
- 距離
- 10.6km
- 登り
- 1,699m
- 下り
- 1,699m
コースタイム
30日 白馬尻4:10 - 8峰5:30 - 6峰6:20 - 3峰8:45 - 山頂10:00 - 白馬山荘10:15 11:20 - 白馬尻12:00 - 猿倉14:00
天候 | 29日:曇り 30日:晴れのち吹雪 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
何年も前から行ってみたかった白馬の主稜に北鎌のメンバーでアタックした。
1日目は取り付き点の白馬尻まで。
昼前に着いてしまったので、明日に備えて、ロープワークの練習をする。
その後はテントで昼寝したり、まったりと過ごす。私は夜寝れなくなるので、地図
を眺めたりしていた。すると上の方から「ドン!」と地響きのような音がした。ブ
ロックが落ちたのかな、くらいに思っていたらヘリが飛んできて旋回を繰り返し、
物々しい雰囲気となる。これは雪崩に巻き込まれたなと思ったら、あの事故だっ
た。この日は気温が高いものの、雪の層の密着度は悪くなかったので驚いた。
やはりこの時期の大雪渓は何が起こるか分からない。
2日は夜明け前にヘッテンを着けて出発。
主稜の末端に取り付いて登り始める。まずは下から見えている8峰まで登るが、結構
斜度がきつい。朝一から大変だ。息を切らせながら登っていくと、朝陽が差し込ん
でくる。朝陽を受ける杓子岳がきれいだ。
8峰まで登るとこれから辿るルートが一望できる。本峰(1峰)は遥か彼方だ。
7峰までは緩やかなルートだが、その先はナイフリッジが現れる。結構、恐い。しか
も8峰に出た辺りから風が強くなってきた。気を付けないとバランスを崩しかねな
い。時折吹く突風は立っていられないほどだ。稜線は雪煙が派手に上がっている。
この状態でのナイフリッジの通過は恐い。
慎重に通過し、6峰の登りにかかる。これも結構な斜度だ。ピッケルだけでなく、バ
イルを持ってダブルアックスで行きたくなるくらいのところも多い。この先はナイ
フリッジ、ピーク直下の急傾斜が交互に現れ、気が抜けないところが続く。
終始風が強く、バランスを崩さないように気を使うこと、雪質が良くなく、急傾斜
のところではグズグズの雪であるため、しっかり足場を作って立ちこまなければな
らないこと、新雪が積もって脛〜膝くらいのラッセルであることなどの悪条件が重
なって、結構きつい。快適な雪稜歩きくらいに舐めていたので、精神的にもきつい。
3峰を過ぎた辺りから急速に視界が悪くなってきて、10m程度しか視界が利かなくな
ってしまう。どこら辺を登っているのか判然としなくなる。
それでもやっと2峰に到着。このあとに核心部である、頂上直下の60度の雪壁が待っ
ている。雪壁の下でビレイ出来そうな場所を探しながら進むと、すぐに急傾斜にな
ってしまう。しかもなかなか傾斜が緩まない。振り返ると恐ろしいまでの傾斜。体
感的にはほぼ垂直。滑ったら、というか落ちたらどうなるか分からない。え!と思
ったが、どうやら既に雪壁に取り付いてしまったらしい。視界が極めて悪く、そん
なことも分からなかった。ピッケルでは少々心もとないが何とかするしかなく、シ
ャフトを打ち込みながら慎重に登っていくと、雪壁がガスの中に消えた。ついに頂
上である。慎重に乗り越すとほぼ山頂にダイレクトに出た。感動の瞬間。仲間と握
手を交わす。
下山は昨日の事故の件もあるので、杓子尾根か小蓮華尾根で下りることも考えた
が、気温が低いこととと冷たい風がかなり強く吹いていることから雪質は安定して
いると判断して大雪渓を駆け下った。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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yoshi629さん、こんにちは。
読んでいてじんわり汗がにじむような感じ。。。緊張感
が伝わってきます。
山頂から見下ろしたことはありますが、あの斜面を登る
のですから、なかなか想像も出来ません
山頂での達成感は、言葉にならないくらいでしょうね
秩父から帰る車の中で、雪崩のニュースを聞いて、
ちょっと心配していました。
駆け下れて、良かったです。
ガスの中で良く分からなかったのですが、振り返ると恐
ろしいことになっていました
結果的にノーザイルだったのですが、出した方が無難で
した
雪崩の跡を見ましたが、結構大規模に崩れていまし
た。白馬尻でピットチェック(雪の断面を観察したりす
ること)した感じでは雪の層自体による雪崩は無いだろ
うと考えていましたが、それでも起きたので、びっくり
でした
恐らくブロック崩壊による雪崩だと思いますが、判断
は難しいと感じました。
まあ、あの日は気温が高かったので、それだけで大雪渓
に入ること自体を避けるのが賢明だったんでしょうね。
yoshi629さん こんにちは
コメントありがとうございました
29日の下山時に、ちょうど近くを通ったようです。
アックスだったか何かを打ち込んでおられて、スタンディングアックスビレイで下の2名を確保する訓練中かなぁという場面をお見かけしました。
厳しい条件の中、主稜から登頂されたのはさすがです。
積雪期3千m峰完登の記録を楽しみにしています。
sht
yoshi629さん こんばんは。
白馬主稜は、昨年5月山頂から見ました。
youtaroさんのコメントと同様、そのルートを登るのは想像できませんでした。
緊迫の登攀の様子がどんどん伝わって来ました。
大雪渓での雪崩事故で亡くなられた、お二人のご冥福をお祈りいたします。
まさしくロープワークの練習中でした。
山頂直下の雪壁でのビレイの練習をしていたのです。
今回は天候・雪の状態ともにあまり良くなかったので大
変でした。特にナイフリッジ通過時の突風には手こずり
ました
kusmmkさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
主稜は思ったよりも大変でした。
職場の先輩や会の仲間から事前に聞いた話だと快適な雪
稜歩きかなと考えていました。
やっぱり雪山は状態次第で難易度がグッと上がりますね
yoshi629さん、こんにちは。
いつも、こっそりと山行記録を拝見させていただいており
ます。今回も凄い山行ですね。
私は、冬山を経験したことがなく、これから来年にむけて
ひとつずつ必要なことを学んでいきたいと思っております。
これからもyoshi629さんの記録を参考にさせていただきた
いと思います。宜しくお願いします。
tayukayuさん、こんばんは。
記録を見ていただいているとのこと、ありがとうござい
ます。
今回の主稜は久しぶりに緊張する山行となりました
tayukayuさんはクライマーさんですよね。いろいろと登
っておられて、北鎌の詳細な記録など覚えています。
それと茨城の人なので記憶に残っています(私は水戸出
身なので)
雪山は厳しくも美しいので、是非行ってみてください
クライミングのようにハマってしまうかもしれませんよ
結婚して間もないころ、ゴールデンウィークに行きました。写真を見ると私もとても若いです。テントを張りましたが日帰りで帰ったのを覚えています。
クライミングばかりで記録を書くのも面倒ですね^^
riekoさん、こんにちは。
白馬尻で一泊しましたが、かなり時間を持て余しました。
速攻日帰りの方がすっきりして良いですね
今回は眺めが良くなかったので、またその内に行こうと
思っています。
何度か記録読ませていただいてました。
白馬主稜あこがれのルートです^
もうちょい経験つんだ後、チャレンジしたいと思っているルートです。
それにしてもザイルなしで登りきってしまうあたり、さすがですね。
これからも見に来ますのでよろしく〜
stkさん、はじめまして。
私もstkさんの記録を幾つか拝見させて頂いています。
主稜は憧れのルートでした。なかなかダイナミックなル
ートです。風が強くなければ、難易度も高くないと思い
ます。
山頂直下60度の雪壁は恐かったですね。
2峰を過ぎたところでロープを出すつもりでしたが、視
界が悪く、良く分からない内に取り付いてしまっていた
というところです。
雪が無い状態だとテラスらしきスペースがあるのです
が、雪が付いているととそのまま雪壁になってしまうよ
うです
yoshi629 さん、はじめまして。
白馬岳主稜おつかれさまでした。
行きたかったルートだったので、興味深く拝見させていただきました。
昨年のGWに双子尾根を登り、今年はステップアップして主稜を、と思っていたのですが、前半モチベーションが上がらず行かず仕舞いでした。
レポートを拝見すると、主稜は思ったより厳しそうです。
でも、登り甲斐のありそうな尾根ですね。
来シーズン是非チャレンジ出来ればと思います。
taka4さん、こんにちは。
私も記録を拝見させていただいています。
今回はコンディションが良くなかったと思います。
話を聞くと、GWくらいなら快適な雪稜歩きとなるはずな
のですが、今年は4月なっても降雪が多かったようなの
で、ラッセルとなりましたし、足元も軟らかくて安定し
ていませんでした
素晴らしいルートなので、またその内に行きたいと考え
ています
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