少々バリ経由石尾根〜鷹ノ巣山
- GPS
- 06:40
- 距離
- 19.1km
- 登り
- 1,756m
- 下り
- 1,550m
コースタイム
- 山行
- 5:39
- 休憩
- 0:51
- 合計
- 6:30
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
復路:熱海バス停 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・往路の林道から石尾根に乗る部分は、訳あって全く道なき道の直登〜バリルート。 ・榧ノ木尾根の標高1300〜1200m付近は広い平地状で、特に落ち葉の季節は道が分かりません。最難所はロープでルートが示してありますが、前後も地図と高度計と磁石を見ていないとロストします。 ・1月に工事中だった奥多摩駅のトイレはきれいに仕上がっていました。ただ、ホリ快到着直後は男性の方も大混雑となるのは相変わらずです。 |
写真
装備
個人装備 |
ヘッドランプ
予備電池
1/25000地形図
ガイド地図
コンパス
筆記具
保険証
飲料
ティッシュ
バンドエイド
タオル
携帯電話
計画書
雨具
防寒着
ストック
水筒
時計
非常食
緊急保温シート
着替え
ツェルト
ファーストエイドキット
医薬品
カメラ
GPS
|
---|
感想
天気予報があまりに良いものだから、急に思い立ってしばしご無沙汰の奥多摩に向かった。立川から乗ったホリデー快速は、御岳でやっと座ることができた。人出はコロナ前に戻った気がする。
石尾根から鷹ノ巣山に登り、榧ノ木尾根で湖畔に降りる計画。同じく石尾根へ向かうらしい3、4人と前後しながら羽黒三田神社参道へ至り、上着を脱いでいる間に後で声を掛けることになる単独女性らが抜いて行った。
いったん林道に戻って坂を上っていく。ほぼ同じ速度で前を行くのは、大きめのリュックを背負った若くて大柄なくだんの女性のみ。雲取1泊かな?などと考えながらゆっくり追い抜き、そして間もなく一向に登山道分岐が現れない”異変”に気づいた。通り過ぎてしまったのか。
女性に尋ねてみたが、「私、わかりません。失礼します」とつれない。地図を見ると、仮に林道伝いでも三ノ木戸山の先へつながる破線ルートがある。それならそれでもいいやと後を追うと、瀟洒なロッジ風の家のあるヘアピンカーブの先で女性がわき道に入った。地図だと林道の尽きる所から山道のはずだが、分岐にはかすかに「六ツ石山」と読める指導標もある。
女性についていこうと決めて後を追った。舗装路から右に戻るように登る階段を行くのが見えたが、すぐ先の山道に入ると姿が見えない。独りで歩きたいとスピードを上げたのだろうが、道なき道を歩く場合は後を追う方が各段に速い。踏み跡もなくなった急斜面で息を継いでいる女性に間もなく追いつき、ここまで来たので先導してほしい、と頼んでみた。
結果は、ダメ、だった。「ここは登山ルートではありません。一緒に来られても困ります。石を落としたらいけないので先に行ってください」。要は一人でバリエーションのルートファインディングでも楽しみにきたのだろう。声を掛けた時にそう言ってくれれば良いのにと思ったが、山にはいろいろな人が来る。うっかり登山口を見逃したのは自己責任なので、こちらもバリルート踏破を楽しむことに切り替えた。
「じゃ、お先に。尾根に見えるところを登ればいいんだよね」と一応声を掛けて先発する。植林から二次林に遷移する45度ほどの斜面で、北へ150mも登れば石尾根に乗れる。地形図によれば付近に支尾根も崖もないから、体力を使うこと以外に問題はなさそうだ。その予想通り、10分余りで標高約840mのピークに達した。頂上に登山道がないのであれ?と思ったが、やや北側にすぐ見つかった。後で地図を調べると、「城」と字名のある所から真北にある小ピークへ直登したらしい。
さて、多少タイムと体力はロスしたが、いい変化がついたと思うことにした。少々暑いくらいの中をマイペースで進み、40分ほどで防火帯の尾根道に。いったん森に入り、予定よりやや遅れて六ツ石山に到着した。
いまだ雲一つない空が気持ちいい。西の方には軽く雪をかぶった南アルプス。富士山は?と見回すと、南西側の樹林の向こうに頭だけが透かし見えた。ここで昼食とする。頂上では7、8人が同じく気持ちよさげに食事したり休憩したりしていた。
将門馬場に向けては、なだらかな道が尾根の北側から南側へと遷移し、ほどなく尾根通しと巻き道の分岐に至る。今日はバリをやったので巻き道と決め、落ち葉で滑って斜面に落っこちないようにしながら先を急いだ。六ツ石山から1時間弱で榧ノ木尾根との合流点へ。息子とお握りを食べていたお父さんに榧ノ木尾根の道が通れることを確認し、水根山の先で尾根道に移った。
北西に登る道を目線で辿ると、頂点に白い標柱が見える。鷹ノ巣山に違いない。ゴールが見えて気持ちも楽になり、広がった山々の眺望を楽しみながら15分ほどで山頂に辿り着いた。広々とした山頂では20人ほどが思い思いにくつろいでいる。風もなく、日差しが心地よい。方角的に逆光のシルエットととなるが、富士山を中心に右は大菩薩嶺への山稜、左には丹沢山塊が一望のもと。東には順光で奥多摩の山々が波打っている。
短い時間だがたっぷり景色を楽しんで下山の途に就く。8年前に一度降りた経験から、熱海バス停まで2時間ちょっととみており、3時23分のバスに乗るにはそろそろ出発しなくてはならない。急坂を一気に下って水根山の連絡口から巻き道に入り、次いで榧ノ木尾根へ。3人ほど前を行く姿が見え、1462mピークの先で靴ひもを直す黄色いウエアの男性に追いついた。挨拶すると、「下りるのがもったいないくらいの天気ですね。頂上に2時間もいてしまいました」と、問わず語りに話しかけてきたので、しばし歓談する。朝の女性とは好対照だ。
長尾根上の榧ノ木山を過ぎ、1344mピークへと下る間、男性の鈴の音がほぼ一定間隔でついてくるのが分かる。話しながら一緒に下るのも楽しいが、バスの時間が気になるのでとりあえずマイペースを維持した。
時々思い出したように真新しい指導標が現れるが、落ち葉の乗った道はトレースが分からない。その指導標も景観に配慮したつもりか焦げ茶色で目立たず、本来の道しるべの役割を考えると首をかしげるデザインだ。などと考えながら、尾根というより広場のようになった雑木林を周囲に目印を探しながら慎重に進む。たまに木にテープもあるが、とにかく分かりづらい。ちょっとコンパスを見ないでいたら、境界杭につられて西へルートを外してしまった。
いったん戻るか考えたが、平らな尾根なので東へ踏み跡を探ってみると、前方に白い看板が見えて道に戻ることができた。この先はロープ伝いに歩くようにとのこと。芝生を囲うロープ柵のようなものが延々と付けられている。急斜面のロープ場ではなく、道しるべとしてのロープというのは初めてだ。
この「お助けロープ」はもう1、2か所あり、いずれも大変助かった。さて、後続の男性は正しくついてきているだろうかと耳を澄ますと、遠く鈴の音が聞こえてきた。大丈夫のようだ。1250mピークを過ぎて、ようやく尾根が尾根らしくなって道迷いの恐れがなくなり、ほっと一息。わずかな登り返しで倉戸山に着いた。
バスの時間は十分間に合いそうなので、座って一休み。先行した男女が記念撮影している。ほどなく黄色いウエアの男性も無事到着した。「速いですね。道が分かりづらいし、遠くに見えたリュックを必死に追ってきました」とのこと。どうやら同じ思いだったらしい。水根の駐車場に車があるというので方角は一緒だし、時間もあるのでややペースダウンして一緒に下ることにした。
ちょっと下ると、先発した男女がうろうろしている。我々の姿を見て「猿がいるんです。近づいて大丈夫でしょうか」と、半ば助けを求めるように聞いてきた。大集団は剣呑だが、2,3頭とのこと。こちらも4人いるし、「大丈夫ですよ」と先導すると、大人になったかどうかの小柄な猿が道端10mほどの所でこちらを見ていた。反対側の斜面の下には子猿を背負った母猿が一頭。何事もなく通過することができた。
連れになった男性は川越在住で奥多摩にもよく来るそうだが、このルートは初めてという。「奥多摩はマイナーなルートでももう少し整備がいいのが普通ですが、ここは難しい」。男性の言葉に相槌を打ちつつ、それぞれ訪れた山やコロナ禍での山歩きの体験などの山談義に花を咲かせた。やや逆行となるが熱海バス停まで付き合ってもらい、楽しい気分で一期一会の別れを告げた。終わり良ければでいい山行になった。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する