【三河の山】寧比曽岳 香嵐渓〜伊勢神峠 27キロ
- GPS
- 08:36
- 距離
- 27.2km
- 登り
- 1,551m
- 下り
- 1,033m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
千種駅6:26-6:28鶴舞駅6:33-7:12豊田市駅7:18-8:00香嵐渓 国鉄 地下鉄鶴舞線豊田市行 豊田おいでんバス 帰り 伊勢神峠17:10-17:30足助BT17:34-18:35浄水駅18:42-19:22千種駅 とよたおいでんバス とよたおいでんバス 名鉄+名古屋地下鉄 |
その他周辺情報 | 伊勢神ドライブイン最高 |
写真
装備
個人装備 |
地下足袋+脚絆
焚き火セット
ノコギリ
弁当
水筒
軍手
ラテルネ
地図磁石
防寒具
雨具
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共同装備 |
ツエルト
|
感想
徒歩時代の人の移動行程はだいたい1日30キロ弱で、その間隔に地方の中核都市はできている。今回は27キロ。バス利用で短い日のなか、ぎりぎりの長距離縦走で三河の段戸山山塊・第二峰の寧比曽岳を。クルマで行く最寄りの道からではなく、わざわざ足助から山里を縫って。車だとすぐ行けてしまう寧比曽岳に深みを盛り込んだ。
《電車+バスで》
暗いうちから家を出て、国鉄、市営地下鉄〜名鉄乗り入れ線、豊田おいでんバスを乗り継いで、紅葉の名所、足助の香嵐渓へ。バスの運転手が若くてかわいい人で、密かにウキウキした。山間地の手呂団地(テロだんち)、酒呑(シャチのみ)といった名前のバス停に心躍る。時間がキツキツなので、足助神社ではゆっくりせず出発。舗装道路をテケテケ歩く。まだ紅葉の残党が赤々と萌えている。前半は舗装道路が多いので、10年前のジョグシューズを履いている。硬い路面にふわふわして具合が良い。地下足袋で舗装路歩きは1時間が限度だ。
《山麓の佇まい》
安実京(あじきょう)、有洞(うとう)、綾渡(あやど)と、山間の集落を縫って歩く。凄いサワラの大木や坂から見下ろす集落の佇まいなどが良い。炭焼を現役でやっている人もいた。
平勝寺は時間を考え迷ったけど、ここで寄らねば後悔すると思い立ち寄る。聖徳太子が開いたとの古刹で、1159(平治元年)作の観音菩薩坐像や重要無形民俗文化財の夜念仏も伝わる。キヨモリの時代だよ!
住職の奥様と延々立ち話で、この地域の宝と知る。小さな盆地がいくつか集まる山間だが、確かに過疎だけど減り幅はかなり緩やからしい。誇りに満ちた暮らしをしていることが伺える。何人か通りがかりの人と挨拶も交わした。ここの住職と奥様は30年前、静かな寺で座禅に没頭したいと京都から希望してやってきたが、思いがけず豊かな伝統文化の里だったと。それまで7年間無住の寺だったという。この地域の魅力は、やはり歩かなければ見えない。車の速度では何も見えない。コロナ無縁の日常だった。
《東海自然歩道》
寺を出てようやく道は山道に。地下足袋にエクスチェンジしておにぎりも食べる。
愛知県や静岡県で見かける東海自然歩道とは何か。この後調べてみたいけれど、おそらく30年ほど前に行政が中山間地を縫う道を整備したようだ。既存の低山登山道と、こうした山間集落の庭先を通る、なかなか今回のような山行を好む向きにはぴったりの企画だが、どうもその後整備は行き届いていないようだ。長大であり、無理だと思う。時々交錯する防火帯や林道や作業道との分かれ目は、結構レベルが高い。低山だが、地図と磁石を持ち(あるいはGPS)、チェックしないと道を外す。また、車で入山した人は戻って来なければならないけど、バス路線も本数もかなり少ない。相当バス研究しないと計画ができない。オーバースペックで30年前風の看板や案内も時間が経ちいい感じに寂れている。これはもっと風化しても良い。ベンチや灰皿が完備されているが、これももう少し風化すると良い感じになるだろう。でも今回はとても世話になった。831ピークで自転車の3人に会った。自転車派の人にもちょうどよいみたいだ。馬のトレッキングにもいいかもしれない。
《寧比曽岳山頂》
平勝寺を出た頃は「寧比曽岳まで〇〇時間」などと看板に書いてある。こりゃ、17:10のバス最終に間に合わないワ。急ぐとギリギリだけど、そういうことをすると碌なことにならない。せっかく一期一会の山行、トレランみたいに急ぎたくない。寧比曽岳で15時半までに出られなかったら、その辺で野宿しようと決める。そう決めたらすごく心が楽になった。おにぎりは3つもある。魔法瓶のお茶も今日はなぜか二本もある。防寒着やシュラフカバーも、ツエルトもある。ノコもある。無いのはストーブと寝袋だけだ。全然問題なし。明日も休日だし、実はこれが一番。人は日程がありゆっくり歩けば遭難などしないのだ。慌てると何でもないところで間違え、転び、怪我をする。
とはいえ、防火帯の無表情な植林直登の道で、イソイソと歩いていたらいつのまにかスピードアップしたのか、看板の示す時間読みがなんだか進むに連れ余裕たっぷりに変わってきて、山頂についたのは14:30。なんでだろう。1時間も余裕だ。山頂北西面の草地に寝転んで、この前登った猿投山を眺める。ヤブの右には御嶽山、遠く中アも見えている。陽があり、上着を着れば温かい。おにぎりも好きなだけ食べる。
山頂に居た若い三人組と僕の履いていた地下足袋の話に。女性二名が、私も履いてみたいというので、いろいろ良い点を話してお勧めした。猿投山には裸足で毎週登る人がいるとのこと。興味深い。
下山で尾根の途中から100mほど間違えて戻る。下山は間違えやすい。時間に追われると更に危うい。
《伊勢神峠》
伊勢神峠の手前の広い場所は湿地があり、多少整備もされていた。が、野宿に最適なポイントでもある。バスを諦めたらここで泊まればいい。水もある。少し離れて大きな工場施設がある。平地を抜け、伊勢神峠には遥拝所(神社風の門)が設けてある。昭和9年建立の碑もあり。現存のは再建のものみたい。この峠は信濃への飯田街道で、今は下にトンネルが二本通っているが以前旅人はここまで登り、澄んだ日には海の彼方に伊勢神宮を拝んだのだ。御嶽山でみたのと同じ。聖地だ。
ここでハタと気づく。伊勢神峠までの時間読みでこれまで歩いてきたが、バス停はこの峠から更に30分下ったトンネル脇の「峠」じゃないか。ぎりぎりだったらアウトだったな。新旧2つのトンネルを路傍に見てバス停へ。まだ30分ばかりあるから「ドライブイン伊勢神」でカツ丼を食べた。おじさんに峠のことを聞く。古いトンネルは明治30年、新しい方は伊勢湾台風の年・昭和35年、お店はその時からなので60年。ここからも名古屋駅の高層ビルが5つよく見えると。きょうは少し霞んでいた。
ここを通る飯田街道は足助を通り、名古屋の東桜の富士中学校脇の斜め通りに通じている。河内長野で拾われた仏様が延々信州飯田街道を通って飯田へ、その後長野に運ばれ善光寺になった。ここも通ったということだ。
おじさんによると峠の湿地の横にあったのはトヨタ自動車の秘密工場で、空飛ぶクルマ、有人ドローンの開発をしているとのこと。「出来上がったらここから伊勢神宮までひとっ飛びだよ」。草餅や五平餅なんかもテイクアウトしていたけど、ぐっとこらえて失敬する。ドライブイン大好きだ。
《バスで帰る》
バスは定刻に来てくれた。この瞬間がとても好きだ。朝の出発点の足助まで24分。足助バスセンターに豊田行きが停まっていたので、ここで乗り換えようと降りて運転手に聞くと、名古屋へ帰るならこの1分後に来る豊田厚生病院行きに乗って浄水駅で名鉄豊田線に乗るといい、と教えてくれた。全然頭に入っていない地名ばっかだけど、豊田行くより近回りで300円安いって。グーグル下調べではこの時間、足助から豊田行きは無くて岡崎回りしかなく、もっと時間も料金もかかると思っていたのでラッキー。19時台には名古屋の自宅へ帰宅できた。近所の銭湯に直行。きょうも金太郎と鯉のイレズミおじさんに会う。
コメント
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Yoneyamaさん、こんにちは。
良い感じの里山歩きですね。
東海地方には伊勢神社の遥拝所があるんですね。初めて知りました。
四国の小山や瀬戸内海の島々、さらに瀬戸内海を挟んだ広島県等には、「石鎚山遥拝所」をあちこちで見かけます。
簡単には遠方の神社に行けなかった時代には、そういう遥拝所で神社のほうを向いて、お祈りしていた庶民が居たんでしょうね。
僕も初めて知りました。ここは信濃から名古屋へ抜ける重要な街道で、ここは信州人にとって生まれて始めて海を見るポイントだったのではないでしょうか。生まれて始めて海が遠望できるのに、更にあの伊勢神宮まで見えるという、奇跡の峠と言えましょう。伊勢神宮の引力は今では想像できないパワーだったと思います。前山が多くてなかなか御嶽山が見えない木曽でも、御嶽山が見える峠などは念入りな遥拝所跡があちこちにありますから。
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