庄部谷山周回
- GPS
- 07:25
- 距離
- 13.2km
- 登り
- 981m
- 下り
- 969m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
登山口からの急斜面だけがシンドイが、後はほぼ赤布や踏み跡がそれなりにあるので安心して歩けた。 |
その他周辺情報 | 野坂岳南尾根806mピークから庄部谷山への稜線に風力発電調査用の風速計の塔(60m位あるらしい)が建設されている。調査結果によって、風力発電機が55基も建設されるらしい。多くの山毛欅が伐採されることだろう。 この素晴らしい自然林を傷つけずにできないのだろうか? |
写真
感想
山毛欅林が沢山ある山で行きにくい山が美浜の滋賀側にあるとのことで、新芽と新緑の山毛欅を見に行こうと行ってきた。この周辺は強い風が吹くとも言われているらしいが、その影響で風力発電の計画が持ち上がっていて、その調査が始まり風力測定機なる60mもの高さの塔が設置されたと聞いた。そしてそれらの関連らしいが、大きな山毛欅が伐採されているとのことであった。そんなことも含めてどのような状況なのか?見てみようと言う気持ちも大きかった。
美浜の新庄変電所奥の松屋集落の東に黒谷という庄部谷山からの谷があるが、その東西に尾根があって庄部谷山を通ってぐるっと取り巻いている。4/20にもこの地に登りに来たが、到着した時に前輪左がパンクしているのに気が付いて、松屋に戻ってJAFを読んでパンク修理をしてすごすごと帰宅を強いられたので、今回はリベンジである。前回と同じ位置に車を止めて、黒谷の橋を渡って谷沿いにほんの少し進んでから左の尾根に取り付いた。昨日の雨でグズグズの急斜面は足場が定まらず、必死の思いで上を目指すも枝なしでは登れないほどだ。それでもどうにか、稜線に出て少し歩き易くなると、紫の花弁が落ちているので上をると藤の花がぶら下がっている。樹林の中を進むと386mピークに達してホッとする。このすぐ先に人工物があるので何だろうかとそばに近づくと、何かの資材で広く伐採されている。どうも鉄塔を建設する準備のようだ。すぐ先に送電線の鉄塔が見える。
しばらく登ると、左に踏み跡があるので進むと、西側が良く見える展望地のような場所に出た。此処にも何かを建設するつもりなのか?敷地にひもなどで印のようだ。本来のコースは真っすぐであったようなので寄り道をしたようだ。そこから上は樹林限界のように木々が急になくなり草地で複雑な地形である。上に登り着くと草原である。風衝草原とか呼ばれる場所のようで、何時もなら凄い風が吹く場所らしいが、今日は無風である。周囲が全て見渡せる素晴らしい展望地で、大御影山、大日などが目の前に見えるほどだ。すぐ先が583mの黒谷山であった。
その後も小灌木群と砂地の中を進むと、そこにキランソウが咲いているだけの何もない尾根をゆるやかに登った後に僅かに下ると送電線の鉄塔があった。677mのポイントである。この先に新庄の『どんぐりクラブ』付近からの登山道が合流するはずであるが、合流点は確認できなかった。
その後尾根は山毛欅や杉の木々が増えだして、予定通リの12時に庄部谷山に到着した。何度この山に行こうと考えたことか!秋の夕刻が早い時期は困難ではないか?と考えすぎたきらいがあるが、それだけ行きにくい山と敬遠していたのかもしれない。それ分だけ、今日の登頂は格別な気持ちである。
昼食後稜線を南東に進むと山毛欅を中心とした落葉樹の新緑が目に眩しいほどである。踏み跡もそれなりにあるので、ルートファインデイングを楽しみつつ進むと850mピークに13時過ぎに達した。このピークの直前に東の方向に細く高い塔が見えたこともあって、当初はこのまま東尾根を下山であったが、時間的に余裕があるので野坂南尾根へ続く尾根に足を踏み入れて途中で戻ることにした。
東北東に進む踏み跡は今までに比べるとかなり明確で、行き先を案ずることはないような感じで進む方向を示している。山毛欅の巨木や雑木林風の尾根を歩くのも楽しい。北には野坂岳の雄姿が気高く見えるが、昨年三国から野坂への縦走が思い出された。そうこうしていると、目の前に先ほど見た塔が突如現れた。そこは山毛欅林の中が広場となっていて、空に向かって塔が立ち上がっているのだ。四方にワイヤがしっかり張られて、その屹立する60mの塔を支えているのだ。そばには大きな山毛欅の伐採跡が、横倒しの山毛欅もそのままにあった。今この時点でこの山毛欅を伐採する必要があるものなのか?大きな疑問が湧くと共に山毛欅の天然林の大木を伐採しなければならないことなのか?もっと自然に優しい場所に風力発電所を設置する工夫は出来ないのか?などいろんなことが頭をよぎりながら、まだ時間的余裕があるので野坂南尾根分岐を目指した。
この先のコースは急に踏み跡が乏しく、藪も少しであるが出て来て歩きにくくなった。風速計設置工事で庄部谷山側は作業員が行き来していることで踏み跡が鮮明になっていたものと推定された。それでも緩やかな尾根を辿ると、赤布と踏み跡が出て来て大きなヌタバか池のある野坂南尾根稜線に出た。昨年この稜線を歩いてきて、庄部谷への分岐であることを確認したことを懐かしく思いだした。本日はここまで来る予定は全くなかったので来られたことに感激だ。この分岐周辺も山毛欅の大木や変形木が多数で時間をかけて散策することもまた楽しいだろうなと思いつつ、この地を離れ庄部谷・東尾根に戻った。
東尾根850m分岐からは東方向と同じく踏み跡は鮮明で歩き易い道だ、795mピークで右折して緩やかに下りながら進むとイワカガミの群落があって、無数の可愛い花びらが一杯であった。別の場所にはイワウチワもあって、新緑と春の花に今日は満足させられた。708mピークに達すると鉄塔もあって周囲の景色が見えて、江若国境が手に取るように見える。
708mピークからの下りは急にコースに木々が覆いかぶさる状況となって、歩きにくくなった。時に踏み跡が不明となったり、藪が出て来てGPSの確認を頻繁にするようになった。コル状の場所に出ると前に岩が出て来て、コースは稜線の右か左かが判らなくなり、右を覗いてから左の斜面の藪を漕いで登ると何とか薄い踏み跡が現れた。これは工事作業者は林道経由での行き来なので、もうこの東尾根は歩いていないものと思わるので踏み跡が少ないのだろうと思った。
674mピークの西を進んでいると林道に合流した。しばらく進んでから、林道を離れて右の斜面を下るのはGPSの軌跡をそのまま踏襲するためだ。林道を進んでも駐車地に戻れるが、ルートファインデイングの楽しみの方が嬉しい上に距離も短くなるので尾根筋に忠実は快適なのだ。この林道間のショートパスは山毛欅の疎林で下りの広い斜面で何処でも歩ける状態なのであるが、反面何処を歩けば良いのかが判らない困った場所だ。GPSに頼りきりの下山にうんざりしていると、こんな場所にも小さな花が咲いている。ハルリンドウ(フデリンドウとも)であるように思われるが、確認しないと確定は出来ない。
長い斜面を下っていると広場に鉄塔があった。この鉄塔は西尾根の384mピーク上の鉄塔に通じているようだ。その鉄塔を越えて最後の斜面になると沢の音が大きくなってきて、もうすぐ下山だという認識が高まるが、最後の斜面は一筋縄ではいかないことが多いので慎重に尾根筋を辿って藪の中を進むと下の林道が見えた。最後は木を伝って斜面を降りると舗装された林道であった。予定していた時間より30分くらい遅れたが、野坂南尾根分岐までの往復が特別なご褒美なのでこれ以上を望むものは何もないくらい、今日のハイクは最高であった。
”八”、”竹”、 L
コメント
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庄部谷山を愛する者として興味深く読ませていただきました。福井県の山々にはいくつもの風力発電計画があります。中でも銀杏峰〜部子山は積雪期の人気コースで、さすがに反対運動が起こって一部中止となりました。そんな中、とうとう庄部谷山にも計画が持ち上がり、この山を愛する仲間の間で衝撃が走りました。この貴重なブナの森を壊されるのはとても悲しいことです。しかしこの山を訪れる人は少なく、登山愛好家が反対運動を起こすまでには至っておりません。そんな中、滋賀山友会メンバーが建設阻止に向けて動き始めました。しかしいちばんの問題はいかに地権者を説得するかです。風車建設が観光に繋がると期待する地元民に、この森の大切さを説き、壊すことはいかに危険な行為であるかをわかっていただく必要がありますが、これが一筋縄でいかないんですよね。そもそも私たち県外の者が言っても聞き入れてもらえそうにないし。美浜町民が動いてくれるとありがたいけれど、原発で大金を貰ってきた住民は原発がなくなることに不安を感じており、原発に替わる風力発電への期待感があってとても難しい問題です。洋上発電など自然を壊さない方法で進めてもらいたいものです。
長々と失礼しました。
調査とは、どのような調査かわかりませんが、環境影響評価であれば、開発は決定事項です。仮に絶滅危惧種が発見されたとしても、余程の事情が発生しない限り、計画が覆される事はないでしょう。
豊かな自然が少ない福井県で、このような事業が横行しる事は、ただただ悲しく虚しいです。私は、直接県の自然環境調査に関わってきましたが、今では何のためだったのかと、悔しい思いです。
昨年6月にnaojiroさんのヤマレコを読んでこの計画を知りまして、勝手ながらコメントを出させて戴きました。それから、この庄部谷山周辺が気になっていたのですが、踏み入れたことのない山域なので(三国〜野坂のみ)中々行動に移らずに冬が来てしまいました。春になったので、山毛欅の芽吹きと新緑を見がてら庄部谷山へ登ろうと思ったわけであります。60mの塔のことはヤマレコなどで設置されていることは知っていましたが、やはり見てみないととの思いで何とか現場まで足を鉾ぶことが出来ました。そして、無残にも、現時点では不要な大木の山毛欅を伐採してあるのを確認しました。やるせない思いが強くなりました。反対運動など、山毛欅林の保護に向けた動きなどが起きるのであれば是非とも参加や支援などをしたいと思って居ります。何かそのような動きがあれば、ヤマレコででも情報をだして戴けるとありがたいです。 ss43m
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