【白山】マイナーピーク探訪「猿ヶ浄土」
- GPS
- --:--
- 距離
- 14.2km
- 登り
- 1,190m
- 下り
- 1,317m
コースタイム
天候 | 晴れのち小雪 |
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過去天気図(気象庁) | 2023年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
【白山白川郷ホワイトロード(アプローチ)】 ・ もちろん現在は冬季閉鎖中。今回歩いた中宮温泉までの区間であれば、数か所雪崩による片斜面になっている箇所があるくらいで特に問題なく通過できる(中宮温泉より奥は地形が険しくなり雪崩斜面の連続となるため危険度が格段に増す)。なお、ホワイトロードの開通期間中は歩行者進入禁止なので注意。 【猿ヶ浄土(P1402m。猿ヶ浄土山とも)】 ・ 猿ヶ浄土の南面は帯状の岩壁に幾重にも取り巻かれた急傾斜地で、ルート選択は慎重に行う必要がある。今回登路とした途中谷の左岸尾根は、ホワイトロードから簡単に取り付けるものの、地形図で等高線が狭まり岩記号が食い込むあたりで断続的に小規模な岩場や雪壁区間が出てきて、若干登攀的な要素が交じる。ノーロープで登れる程度なのでそれほど難しくはないが、アイゼンとピッケルは必須(同ルート下降する場合はロープ必須)。雪の付き方によってはやや難渋するかもしれない。なお、登りながら観察した印象では、他の尾根は岩壁帯にまともに突き当たっており、上部に抜けるのが難しそうに見えた。 ・ スノーシューで常時スネから膝程度のラッセルあり。雪が腐っていて非常に重く、疲労度大。 【その他】 ・ 下山路とした山毛欅尾山経由のルートは残雪期の笈ヶ岳の一般ルートなので説明は割愛するが、注意点として、下降の場合(特に今回のようにトレースがない場合)は山毛欅尾山からの下りで尾根を外しやすいことと、尾添川にかかる中宮発電所の吊り橋は数年前に壊れてから復旧されておらず使用できないことが挙げられる。近年では旧吊り橋から少し上流側にある堰堤が代替ルートとなっているが、この時期は堰堤上に雪が乗っていてやや危険が伴う。堰堤からわずかに下流側に灌木頼りに川床に降りられる箇所があるので、そこから尾添川を渡渉したほうがやりやすいと思う。 |
写真
装備
備考 | ・ スノーシュー使用。 ・ 猿ヶ浄土への登りでは、雪壁部分でアイゼン・ピッケル使用。ロープ(40m)は携行したが使用せず。 |
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感想
「猿ヶ浄土」といっても、どこそれ? という方がほとんどだろう。白山白川郷ホワイトロードの白山自然保護センター中宮展示館の真裏にそびえる山で、山毛欅尾山と冬瓜山の間の稜線から少し南に逸れたところにあるP1402m峰である。山というよりは、この急峻な山域全体の呼称と言ったほうがいいのかもしれない。「猿ヶ浄土山」と呼ばれることもあるらしいが、この場合は同ピークを直接指す呼称と考えていいのだろう。
どうしてこの山に登ったのかというと、まずはその珍妙な山名が気になった、という安直な理由です…すみません。藩政時代に「おとめ山」として立ち入りが禁じられており、それで猿を始めとした獣たちの楽園となったのでこの名が付いたという。ということは、伐採も入っていないだろうし、良い森が残っているのではないか。ひとつ如何ほどのおサルさんの楽園なのか見てこよう、というのももう一つの理由。
このピークに登るだけなら、山毛欅尾山伝いの稜線から回り込むのが最も簡便(といっても、それとて十分ロングルートだが)ではあるのだが、やはりこの山の魅力は何と言ってもその急峻な南斜面である。帯状の岩壁が幾重にも露出しているのが眺められ、本当はサルくらいしか登れない峻険な山なので猿ヶ浄土というのでは、と思いたくなるくらいだ。せっかく猿ヶ浄土に登るなら、この「猿ヶ浄土南壁」から突き上げておサル浄土に至りたい。ということで、少しでも岩の張り出しがマシそうな途中谷の左岸尾根をルートに選び、今回の山行となった。
猿ヶ浄土の南面はやはり急峻で、雰囲気としては昨年登った岩底谷の左岸尾根の下部に似ており、小規模な岩場と雪壁の連続といった感じ。アイゼンを雪の下の岩に引っ掛けながら、雪ヤブを掴んでグイグイと高度を上げていくのが楽しい。ノーロープで登れる程度なので、笈ヶ岳方面を目指す際の手頃な冬季バリエーションとしてもいいかもしれない。
猿ヶ浄土の山頂は、そこだけブナの大木が立ち並んでおり明らかにそれまでの斜面と雰囲気が違った。これならおサルさんも大喜びだろう。南方には堂々たる白山、そして冬瓜山の鋭鋒の向こうには純白の笈ヶ岳。今年最後の山行はよく晴れた素敵なマイナーピークで締めくくりとなった。
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