【薮山レコ】湯の平〜実川山〜大日岳〜北股岳 (飯豊川源流域環状縦走)
- GPS
- 56:00
- 距離
- 31.1km
- 登り
- 2,903m
- 下り
- 2,907m
コースタイム
- 山行
- 10:10
- 休憩
- 0:30
- 合計
- 10:40
- 山行
- 10:40
- 休憩
- 0:50
- 合計
- 11:30
- 山行
- 4:50
- 休憩
- 0:45
- 合計
- 5:35
「岳神 第12号」新潟峡彩山岳会
〜飯豊山系地域研究 烏帽子山周辺夏山合宿
「越後の山旅」藤島玄著
「秘境の山旅」大内尚樹 編
烏帽子山 〜主稜線から離れた密薮の城塞〜 若林岩雄 著
天候 | 晴れのち雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2007年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
飯豊川〜オーサンカイ尾根〜西大日岳は登山道の無い区間 |
写真
感想
無雪期にこだわり湯の平温泉から烏帽子山東方稜線を経由して大日岳、北股岳、湯の平と環状縦走を行った。烏帽子山は過去に踏破済みなので今回はパスした。
加治川ダムの先から山の神平にかけて水位観測ケーブルの取替え工事中で登山道脇が掘り返されていた。ブナ林の岩越平を過ぎるとガレた斜面になり、適当な岩溝から下降し飯豊川の河原に立つ。靴を脱いで膝程度の水量で渡渉する。水中の石ころはヌメリがあってバランスを崩しやすく、水は足が痛くなるほどの冷たさだった。オーサンカイ尾根末端(450m)に取り付くため、枝につかまり急な岩壁を這い上がった。
尾根上には以前と変わらぬ踏み跡が残っていて意外だった。670m付近の ブナの大木には古い切り付けが目を引いた。1070m付近は北五葉松の痩せた尾根で展望が良い。前方に目指す稜線、振り向けば北股岳へ続くオウイン尾根、二つ峰〜赤津山の尾根が望まれる。「岳神」によると烏帽子山の北方1212m付近の岩場を貫通する穴の記述があり、ここで実際に確認することが出来た。二ツ倉(1188m)の小ピークから先は潅木薮が優勢となり踏み跡は頼りなくなる。左下方にはホウジョウ沢の流れが上がってくるのを確認。
薮から早く解放されたく二ツ倉を下った鞍部よりホウジョウ沢へ入渓した。幅2mほどの水量の少ない沢で、一見穏やかに見えるが進むにつれて深く抉れた釜や小滝が現れるようになり飯豊の沢の本性を現す。1150m付近の屈曲部は本格的な連瀑帯となり、巻くのに少し手間取った。その先も沢が蛇行する度に小滝が現れるが、1230mあたりからようやく優しい雰囲気となり、黒々としたドーム型の烏帽子山が樹林の上から頭を出していた。1240mで左股に入ると水量はかなり減り、源頭部のジャングルのような薮のトンネルを抜けるとマグソ穴峰の北の肩(1450m)に飛び出した。ここで初めて大日岳方面の展望が広がったが、まだ気の遠くなるほどの遠さに見えた。
1520m峰までは腰以下の笹薮であったが最低鞍部からキンカ穴峰、さらに実川山にかけては断続的に背丈を越える根曲り竹の密薮に行く手を阻まれた。何度も気が滅入りそうになるが亀足で進み続けた。靴とスパッツは既にボロボロになっている気にする余裕はない。1日目は大して距離を稼げずキンカ穴峰の少し先(1640m地点)で日没のため行動中止とした。目標の実川山まで遠く及ばず、笹原でのビバークとなった。畳1枚ほどの広さに笹を刈り払い、上に刈った笹を敷き詰め天然のベッドとした。その上にツェルト張り潅木から支点をとったロープで固定した。見上げると、茜色の空に烏帽子山のシルエット、そして新潟平野に沈む夕日が印象的だった。やがて周囲は漆黒の闇に包まれていった。夜中は風は穏やかで新潟市街地の夜景と満天の星がきれいだった。
2日目の朝を迎え多少体力は回復したが、いきなりの強烈な笹薮こぎからスタートし気が重かった。しばらく薮との格闘で実川山(1880m)に辿りつく。山頂部は薮の丈が低く素晴らしい展望が広がり、薮こぎの苦労からひと時解放された。この先は笹と潅木の混合薮で背丈を越えるような激薮は見られなくなる。また稜線の南側で薮が薄くなる傾向があり少し楽が出来た。1900m付近からは草原状となりメッケ穴沢源頭部から踏み跡が上がってきていた。裏川を沢登りした詰めの地点であろうか。薬師岳直下はハイマツの混合薮で北側の草原から迂回し山頂に出た。このあたりから飯豊独特の鮮やかなパッチワーク紅葉が見られるようになる。西大日岳にかけても踏み跡は不明瞭だが尾根南側が草原斜面で歩きやすかった。
西大日岳からは、ようやく登山道を歩けるようになり薮から解放された。しかし昨日からの薮こぎで予想以上に水分消費量が激しく大日岳を目前にして水の残量が僅かになっていた。御西岳までは不安となり清水沢源頭の涸れ沢を下った。ゴーロ状の沢を標高差130m一気に下ると期待通り、花崗岩の隙間から清冽な水が湧きだしていた。ひと口飲むと冷たく身体に染み渡った。急に元気になり沢の登り返しは辛くなかった。大日岳山頂に来ると紅葉シーズンの休日ということで多くの登山者で賑わっていた。
大日岳の北東側斜面は鮮やかなパッチワーク紅葉が広がり何度も振り返りながら下った。御西小屋手前の南斜面にはチングルマの真紅の絨毯が広がり白い綿毛が風に揺れていた。御西小屋前で昼の休憩をとり北股岳を目指した。時々ガスに覆われるが天狗岳や烏帽子岳南西斜面の紅葉は鮮やかで励まされた。烏帽子岳の登りはきつかったが、治ニ清水で補給し梅花皮小屋で小休憩すると少し回復した。北股岳へ登る途中、小屋泊まりの大パーティーとすれ違った。既に誰もいない北股岳に着いた。翌日は悪天候の予報なのでオーイン尾根を出来るだけ進んでおきたい。
北股岳から下山を始めると幅2mくらいに刈り払われた快適な登山道が続いていた。夕日が北股岳〜烏帽子岳の稜線を赤く染めていたが、ゆっくり眺める余裕もなく下り続けた。日没と同時に中峰の雨量計にだどり着いた。早速、風よけとなりそうなカマボコ型の建物の脇にツェルトを張り2日目のビバークとなった。風がなく寝袋に入れば少し暑いくらいで夜は穏やかに更けていった。
翌日は午前3時前に目が覚めたので支度を始めた。出発とほぼ同時に雨がパラツキ始めた。ヘッドランプを点けて急いでオーイン尾根を下山した。寅清水から滝見場にかけては根っこが邪魔で歩きにくかった。鳥居峰(884m)の急な北斜面のトラバースは雨に濡れて一層滑りやすかった。鳥居峰からの下山中で土砂降りの雨となり雨具を着ても徐々に濡れてくるほどだった。鎖場を慎重に通過し湯の平山荘へ降り立った。
小屋裏の炊事場には缶ビールとジュースが冷やしてあった。山荘の人に顔を出してから、ずぶ濡れの身体を温めようと露天風呂へ向かった。天幕は無いがきれいに管理された浴槽からは源泉かけ流しの温泉が流れていた。少々ぬる目だが入ってみれば快適。増水した飯豊川を眺めながら雨足が弱くなるのを待った。20分ほどしても収まる気配はなく風呂から出た。着替えているうちにまた濡れになってしまったが、足の痛みは大分良くなり、足取り軽く登山口の加治川ダムへ向かった。
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