北村薫の『八月の六日間』を読んだ。
内容はアラフォーの編集者(女性)が単独で山を登り、そこで出会った人と関わったり、景色に触発された思いがつづられている。
5つの短編から成り、通して読むと主人公の過去や山を始めたきっかけなどが浮かび上がってくる。というと大げさか、総じて大きな事件は起こらない。
ちょっとしたアクシデント(道に迷いそうになる。山行中風邪をひく)はあってもヒドイ事にはならずに無事下山する。
北村薫はいくつか読んでいるが、特に好きな作家というわけではなく、山を題材にしているということで読んでみた。
違和感の第一はまず装備。
体力ないくせにあれこれ持ちすぎ!
入山前の準備としていろいろ装備が書き連ねてあるんだけど、余計な物が多い割に大切な物が入っていない。いくら小屋泊まりとはいえ、単独で6日間も北アに入るくらいならもっと装備に対して真摯になっているはずではと思う。
GWに雪山(北八つ)に入って下山日にバスがないって???
単独で公共交通機関を使って山に入るならきちんと帰りのバスぐらい調べてくるでしょ?主人公は世間知らずのお嬢さんじゃなくてばりばりの社会人でしょ?
あまりに迂闊…
都内から上高地に行くのに新幹線で長野に行ってそこからバスって普通?
松本から電鉄かバスで行くのが一般的だよね。
で蝶ヶ岳ヒュッテで会った人が「夜行バスで、関西から来たんですよ。―軽井沢から、登ってきました。」ってあり得ない!!どうやったら軽井沢から来られるんでしょう?
出発数時間も小屋に入る時間も遅いし、自分のペースとコースの時間を勘案してどこまで行くかどういうコースをとるかなどを考えていない。
これでは遭難予備軍だと思う。
もちろん登山案内書じゃないんだからそれは枝葉末節なのかもしれないが、細かいところを押さえてこそ『小説』なんじゃないかなあ。
とにかくいろいろ気になって楽しんで読むことができなかった。
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