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空には綿雲が浮いている。鉛色の幕に覆われた冬の空には見られなかった、立体的な雲。
暦も３月に入り、生活空間には冬の名残も無くなってきた。
春の足音が山裾から残雪を解かしてはいるが、標高500ｍより上は、まだ冬と春が同居している。
明神の縦坑を少し上がったところで、ストックを着いたら、雪の塊がむっくり立ち上がった。ん？ ストックにより雪層のひびが入り、雪層の下の木の枝が雪の塊を押し返してきたもので、雪の圧迫から解放され、もう待ちきれないとばかりに勢いよく跳ね上がった。冬と春のせめぎ合い!？ 雪が大人で、枝が若者か。雪が圧制者で枝が民衆か。そんな例えは・・・無粋か。
登山道を途中横切る弥彦スカイラインはまだ通行止め。雪で覆われて黒いアスファルトが見えず、なんだかうれしい。積雪は30〜60�僂呂△蠅修Α�
多宝山の勝手に名付けた「多宝の一本松」も元気そう。
弥彦山奥宮を参拝して下山。
午前中はザラ目の雪面に太陽の光が反射し、ガラス片を散らしたようにキラキラ光っていたが、午後には反射面もすっかり解け、残雪も全体に丸みを帯びて柔らかな感じ。
冬と春の季節の変わり目は、せめぎ合っているのでなく、春に座をそっと譲っているような優しさがある。
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