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室堂から入山2日目、昼過ぎから徐々に天候が悪化し視界も無くミゾレ混じりの荒れた天気と疲労の中やっとの思いで薬師岳を越えて薬師岳山荘の影に逃げるようにテントを張った。既に時刻は18時を回り悪天候も手伝って夜の帳が下りようとしていた。
ガスが薄くなりふと辺りを見回すと、一つのヘッドライトの光が動くのが見えた。えっ？こんな天気のこんな時間に？とその時思ったが水作りに濡れ物の乾かしにと忙しかったのでその時は特に気にはしなかった。
悪天候は夜通し続き、風向きが変わり風下に張ったはずのテントが風に煽られ雪は吹き溜まりえらい目に遭った。翌朝、風が収まったのを見て太郎平小屋に逃げ込んだのだった。小屋はほぼ貸し切りだった。
濡れ物を乾かしたり粗方用事が済むと、一気に暇になった。暇だと登山中の緊張感の中では考えないような色々な事が頭を巡る。そこで思い出したのが昨日のヘッドライトの光。小屋に先に入ってる人はいないし、小屋の主人に尋ねても今朝出発した人もいないという。そして行動が被りほぼ同時に太郎平小屋に入ったソロの登山者も昨晩は薬師岳手前でビバークしたというのだ。あの悪天候の夜、太郎平小屋をスルーして先に進むだろうか？あのヘッドライトの光はなんだったんだろうか？
思えば、あの光が動いていたのは主稜線ではなく東南尾根ではなかったか。
東南尾根と言って思い出すのは13人の命が奪われた遭難事故。その霊たちが今も彷徨っているのか…そう考えると少し怖くなってきたのでその時は意識してこれ以上考えない事にした。
翌日は完全停滞。
翌々日は待ってましたの快晴。あまりの嬉しさにそんな事はどうでも良くなり完全に忘れてしまって新穂高温泉まで素晴らしい旅を続ける事ができた。
そして先日滑り納めに向かった薬師岳。
なんと、あれだけ注意しろと言われている東南尾根にミスコースしてしまったのだ。何も疑う事なく吸い寄せられるように。
もうほとんど忘れかけていた去年のヘッドライトの光を思い出してしまったので忘れないうちに、変な脚色がつかないうちに文字に起こしておく事にする。
写真�＼萋�東南尾根にミスコースした軌跡
写真�∨面�師岳
写真�Ｌ�師岳
先日お会いした翌日に折立に同時刻に下山した方と慰霊碑のお話をしたところだったのでドキっとしました。同じ大学の年の近い方々だったようです。
私は避難小屋で板を外し山頂まで夏道を歩いたため南東尾根には入りませんでしたが、そのかわりに太郎小屋から下でミスコースしました（大汗）
オートルートと黒部横断 私の夢です。
なんと…慰霊の意味を込めての山行なんでしょうか。スキーはコースミスすると復帰が大変！
オートルート、是非挑戦を！黒部横断は自分も憧れます。
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