『堤中納言物語』終わり

なんか、爽やかな読み物でした。


ユニークな一編
［虫愛ずる姫君］

「烏毛虫（かわむし）とよばれる毛虫の、軽薄な気配がなく思慮深げで動きも重厚なのが、特に奥ゆかしい」と、おっしゃる。

女房に「・・これをそっちの箱に移して」などと命じられる。

後じさりする女房に
「・・・このかわいい目を見てごらん」
と、虫を掌にのせて突きつけられる。

女房達の歌の中から
〈うらやまし　花や蝶やと　いふめれど　烏毛虫くさき　世をも見るかな〉

（世間並みの姫君にお仕えしていたら、蝶よ花よと楽しいことだろうに。なんの因果か。毛虫臭い日々を送るなんて。ホントに情けない）

〔映画『風の谷のナウシカ』はこのお話をヒントにしたようです〕