![]() |
ずぶ濡れになる。
案内人の猟師が
「心配するなッ、犢鼻褌(ふんどし)を焚いたッても、お前方を殺すことじゃねえぞ。」と鉈で杖を裂き(芯まで雨が通っていない)粗朶を作り、どうにか火がついた。
更に、農鳥の南で野営。
間ノ岳を越えて、
雪田に沿って北岳へ向かう。
〔石の草原には、深山薄雪草、深山金梅、トウヤク竜胆、岩梅、姫鍬形、苔桃などが多いが、その中で、誰の目にもつくのは長之助草である。〕
長之助草?
(この[チョウノスケソウ]について12行にわたって書いてあります)
そして、
(北岳に登頂、頂上三角点で)〔それから上は無限の空ばかりだ〕と。
大樺池を過ぎ、針葉樹林帯を駆け下りる。
「水、水、水だ」と、一同驚喜する。
大樺沢を右に左に。
やがて、羊歯や木賊の生えている湿地帯をおりる。
北岳をふり仰いで
〔「あの山の頂を踏んだ」という誇りが、人々の顔にまざまざと読まれた。〕
(明治41年7月の登山紀行)
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する