![]() |
[都遷][月見]と始まります。
📖[都遷(みやこうつり)]
〔治承四年六月三日の日、福原(神戸)へ御幸なるべしと聞ゆ。〕
が、一日早く二日に。
鳥羽殿に幽閉されていた後白河法皇、一度は解放され、都に戻りましたが、高倉宮(以仁王/後白河法皇の息子)の謀叛により、
〔又福原へ御幸なし奉り、四面に端板して、口一つ開きたる内に、三間の板屋を作って、押籠奉る〕
〔旧都は既にうかれぬ。新都は未だ事いかず。
ありとしある人は、皆身を浮雲の思ひをなし・・・〕
📖[月見]
〔やうやう秋もなかばになりゆけば、福原の新都にまします人々、名所の月をみんとて、或は源氏の大将の昔話(源氏物語のこと)の跡をしのびつつ、須磨より明石のうらづたひ・・・〕
〔旧都にのこる人々は伏見、広沢の月を見る。〕
旧都で和歌
蔵人〈物かはと 君がいひけん 鳥のねの けさしもなどか かなしかるらん〉
(あなたは「物の数ではない」とおっしゃていましたが、別れの時を告げる鶏の鳴き声が悲しくてなりません)
*参考(「物かは」と詠った歌)
〈待つ宵に 更けゆく鐘の 声聞けば 飽かぬ別れの 鳥はものかは〉小侍従/新古今和歌集1191
待宵の小侍従〈またばこそ ふけゆく鐘も 物ならめ あかぬわかれの 鳥のねぞうき〉
(恋人なら、待つときの鐘の音も辛いですが、今の私にとっては、名残尽きないのに、別れを告げる鶏の声は辛いです)
(明日はもう返却する日なんだよな。どうしようかな、そのあとしばし)居彷人
【写真】神戸(六甲ケーブル駅から)
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する