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〔その春、あさましくおそろしく聞こえしことどもに、近く見し人々むなしくなりたる、数おほくて、あらぬ姿にて渡さるる、なにかと心憂く、いはむかたなく聞えて、「たれたれ」など、人のいひしもためしなくて、〕
〈あはれされば これはまことか なほもただ 夢にやあらむ とこそおぼゆれ〉
(なんと、現実だったのか。それでも、悪夢に違いないと思うばかりです)
*[その春]=寿永3年(1184年)
*[渡さるる]=都大路を引き回された
(重衡捕われ)
〈朝夕に 見なれすぐしし そのむかし かかるべしとは 思ひてもみず〉
二月七日、一の谷合戦で捕虜になり、十四日都に送られ、三月十日鎌倉に護送された
〔また、「維盛の三位中将、熊野にて身を投げて」とて、・・〕
〈かなしくも かかるうきめを み熊野の 浦わの波に 身をしずめける〉
*[浦わ]=海岸線の曲がった所(熊野灘)
建礼門院徳子の女房だったことのある作者(右京大夫)、身近だった人々が・・・
【写真】オニノゲシ?
(照るあいだ黄色く咲いたオニノゲシ、帰る頃には姿は変わり)居彷人
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