【だが、そうやって現代人だけが得る豊かさや安定は、見せかけの豊かさであり安定だ。
そもそも、戦後から高度成長期に、日本という国はどのような未来のビジョンを持っていたのだろう。当時夢見た平和で豊かで文化的な生活というのは、いますでに我々が手にしている生活そのものではないのか?もっともっと便利で物質にあふれ、楽して生きることができたとして、それは本当にいいことなのだろうか。
〜これから我々に必要なのは、景気がよくなる→物質的に豊かになる→幸せになる、という価値観を根本的に修正することだ。我々はもう充分に豊かで幸せなところにたどり着いている。
実のところ私は、人々の人生を充実させてきたのは、社会の経済的豊かさではなく、「社会が経済的に豊かになる過程」だったのではないかと疑っている。日々豊かになっている実感が欲しくて、人はより豊かな状態に向かって邁進したいのではないか。
そして我々が豊かさと考えているものの多くが、地球を消費し、環境を蝕んで得るものである。これ以上の利便性、豊かさ、繁栄を求めていては、もう、地球の方が追いつかない。
本当の生きる喜び(豊かさ)は、楽することや、便利で刺激的な物質に囲まれていることではない。一つの鼓動から一生まで、小さな循環代謝から大きな循環代謝までを、すべて楽しむことではないか】
『お金に頼らず生きたい君へ』服部文祥著(河出書房新社)
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