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で、３日間で９か１０の美術館を回った。
歩いた距離（歩数）もそこそこのものだったが、館内をゆっくりとしたペースで歩き、鑑賞のために立ち止まる動作は、結構、腰にきた。山行よりハードだった。
六本木ヒルズの森美術館に向かうエレベータの中で
「美術館巡り、山よりキツイわ！」と娘に話すと、乗っていた若い男性（トレランかマラソンをやってる雰囲気の人）が、「うん！ うん！」という顔をしていた。
私は美術だの文学だのには造詣がまったくなく、音楽も著しく浅い。
美術館に関しては、自ら足を運ぶことはほぼないが、人から誘われたら勉強のために行くようにしている。
娘が行きたかった美術展のひとつに
東京国立美術館での特別展「蔦屋重三郎コンテンツビジネスの風雲児」があった。
正直なところ「蔦屋重三郎コンテンツビジネスの風雲児」は、私的にはいまひとつだった。娘も回るテンポからするとあまり高評価ではなかったように思える。その同じ東京国立美術館の階下の企画展示室で「新版画―世界を魅了する木版画―」が開かれていた。ここまで足を運んでいる人はかなり少なかったと思われる。新版画というのは、大正から昭和初期に伝統的な木版画の技法で浮世絵に代わる新しい芸術を生み出そうとした動き、あるいはその作品のことをいう。
その展示作品の中に、今回の六甲山系の浮世絵「神戸之宵月」（橋口五葉 1920年 作）はあった。
絵を見ただけで「神戸の山では？」と感じた。解説文には「五葉が慕っていたという次兄の住む神戸の宅からスケッチした風景」としかなく、詳しい場所はわからなかった。その時は「高取山」あたりだろうと推測。
次の日、府中市美術館の「橋口五葉のデザイン世界」展に出かけた。
樋口五葉は夏目漱石などの書籍の装丁を手掛けたことで有名。
その府中美術館にも「神戸之宵月」はあった。
そして、より詳細なキャプションがあった。場所は「夢野矢部町」（現、兵庫区矢部町）。実は撮影不可だったのかキャプションの写真は撮っておらず、また、ネット上を探しても「夢野矢部町」の情報はなく、私の記憶からも「矢部町」の情報は飛んでおり、府中市美術館に再確認をお願いした。
夢野あたりは同じ神戸市内でもあまり足を運ばないエリアだが、先日、肩のリハビリに行ったあと次の用事まで時間が余ったので酷暑の中、兵庫区矢部町に足を運んでみた。
矢部町は正確なことは断言できないが、戦災地図を見るとギリギリ戦火を免れたエリアのように思える。実際、わずかだが古い家も残っている。（神戸市内でも戦火を逃れた庶民の木造建築物（長屋など）はそれなりにあったが、阪神大震災でその多くは消えた）。「神戸之宵月」に出てくる柳の木はなかったが、それらしい雰囲気の場所は残っていた。
どうにかそれらしい景色に出会えることができた。
左に見える山は「高取山」で間違いはなさそうだ。
ただ、その奥に見える山は私は淡路島のように思っていたが、どうも写真を拡大してみると旗振山（鉢伏山）のようだ。
そして、中央から右手の山は、浮世絵（絵画）独特のデフォルメされているようにも思う。（３枚目の写真は中央部の山を切り取り右の山の写真と結合させてみた）
昔の景色を探す旅も悪くないな。
余談になるが、
東京国立美術館の階下の企画展示室で「新版画―世界を魅了する木版画―」で印象に残った作品２作。
「旅みやげ第二集 越中氷見光照寺」
「増上寺之雪」
※検索してみてください。
いずれも 川瀬巴水の作品。
「旅みやげ第二集 越中氷見光照寺」は、氷見にある取引先の近くにあるお寺。今度、行ってみよう〜
「増上寺之雪」は１９５３年の比較的新しい版画だが４２摺からなる。こういう色の重ね合わせ方の計算ができるなんて凡人には考えもつかないし、狂気に近い緻密さ。
こういう作品に会えただけでも、楽しい３日間でした。
矢部町に来られたんですね！
あそこら一帯は昔よくワンちゃん🐕の散歩で散策しました。矢部町は宇治川の山側で坂道沿いの住宅街ですが、あのエリアは比較的戦災の影響が少ないのか、江戸時代の町割りが所々残っているようで、旧家らしき古い家も散見します。（地元郷土史家によると、東西に神戸の古道、中道古道が貫いています）神戸の各地が昔そうであったように、御多分に洩れず矢部町にもその昔、矢部市場があったそうで、戦前はそれなりに賑わってたようです。その辺の描写は溝口敦の『山口組外伝 日本人山本次郎』に詳しいです。あと、少し足を北に伸ばせば、近年まで【勝海舟寓居跡】が残ってましたが、残念ながら数年前に取り壊されました。話がローカル過ぎて失礼❗️😄
追記…
地元徘徊シリーズ①小さな歴史ウォーク www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-5237131.html
コメントありがとうございます。
どう返信しようか迷っていたところに「追記」をいただき助かりました。
「地元徘徊シリーズ�‐�さな歴史ウォーク」の写真１５の建物は今回逆方向から写真に収めました。その少し西にも同時代の建物がありましたが、そこは空き家のようで荒廃も進んできていました。
「中道古道」ですか・・・いろいろと勉強になります。
市内と言えど知らないところがいっぱいだなということを改めて知りました。
遠くにも行きたいし、近くも探りたい・・・
前の日記に記しましたように、私は兵庫区夢野から見ていると考えましたが、この絵のまちなみは、眼下に南西ないし西南西に山裾に沿って続いているようですので、見ている地点は矢部町、向こう眼下の右手から海側へ描かれているのは、夢野や湊山から湊川の東の荒田町あたりの町が描かれていると見ますと、合点がいきました。
興味深い絵とお話をありがとうございました。
矢部町も南端（五郎池線）あたりからは、この景色は想像しにくいですが、少し山手に上がり山麓線に出ると・・・
あ〜このあたりかな〜と思うような街並みも・・・
身近な街中散策もなかなか楽しいものですね。
夢野町や湊山町ではなく矢部町だったんですね。神戸に住んでおりながら矢部町という町名は初めて知りました。付近には雪御所町など平安時代につながる地名もあって、古い神戸の中心地だったようですね。
版画を見て横尾山や栂尾山、さらには今はなき高倉山が見えないことに疑問を持っていたのですが、現地で撮影された写真には左から鉢伏山、旗振山、鉄拐山の山容が確認出来ますね。思っていたより小さいし、版画に描かれなかったのは画角外だったためのようです。
そして、淡路島と思われた霞んだ山は離角から判断するに旗振山等ではなく、高倉山(当時291.5m）ではないかというのが私の推測です。
現地での写真では大きなマンション？が建っていて稜線が隠されていますが、マンション奥にはおらが山が見えるんではと思っています。
地図から想像するに、高取山左山麓奥に栂尾山が一部であっても見えて良さそうなので、それも確認したいし、高取山の右の稜線もどこが見えてるのか気になります。
以前から気になっていた神戸海洋気象台跡も気になるし、大倉山登頂もしたいし😁、付近を街歩きしようかと思います。涼しくなってからですが...😅
何かと興味を抱かせる情報ありがとうございました
版画の真ん中から右寄りの稜線は稜線美を求めてデフォルメされているのではと思っています。
＞現地での写真では大きなマンション？が建っていて稜線が隠されていますが、マンション奥にはおらが山が見えるんではと思っています。
これ興味津々です。
あのマンション群は夢野白川線の菊水町あたりだと思われるので、涼しくなってから散策して、そこから西の山々を見てみようかな・・・と。
ここのところ耳石起因と思われるめまいで悩まされています。商売は干上がっていますが７月末が決算で決算書類をつくる労力は商売が繁盛していても干上がっていてもほとんど変わりません。
あ〜、山・・・行きたい！
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