３0歳代で世帯主になってから、大晦日は紅白歌合戦を家族でテレビを見るようになりました。日本社会の文化になったイベントは、私にも確かに浸透しています。時は連続していて区切りは無いのに、人は新たなスタートを切るために「いろいろあったけど今年も蛍の光を歌ってさようなら」と区切りをつけたいのでしょうか。
小学生の頃は、無邪気にミカンを食べながら炬燵でテレをビ楽しんでいましたが、中学生なると炬燵のヌクヌクが温過ぎて居心地悪く感じるようになったのか？、山登りや旅などで一人あるいは友人と過ごすようになりました。ストイックにとか、みんなと違うことをするとか、カッコつけていたのかもしれません。それとも親離れだったのか。初詣や初日の出で賑わう地で味わう一人旅の孤独、厳寒の冬山で友人とコンロで暖をとる中など、そこで聞くラジオから流れる紅白歌合戦の唄はとても心に響きました。どっぷりつかった自分から遠ざかったのに、聞こえてくる唄は心に沁みてくるから不思議です。
中学３年生の大晦日に聞いた紅白歌合戦は心がとても温かいものでした。幼馴染３名（Ｋ君＋Ｙ君＋私）で丹沢の諸土平（ユーシン）の小屋に１泊して蛭ケ岳に登りに行きました。日没間際にユーシンロッジに着いたのですが、とんでもない事態になりました。なんと、泊まるはずのロッジが解体され建て替えしている最中でした。子供であり、それも昔のことだったので簡単に営業停止の情報を知ることができなかったのだと思いますが、とても途方に暮れてしまいました。見るに見かねてか、そのまま子供を放置して騒ぎになっても困るからか、その現場で年越しする現場の職人さんたちが、彼らの飯場の片隅に泊めてくれたので助かりました。彼らが里に帰っていたら、どうしたか？焚火を囲んで夜明かしするような図太さは未だなかったので、危なかったと思います。その夜、飯場は職人さんの大宴会、ラジオから紅白歌合戦の大音響に、なんだかとても安心と勇気が湧いてきたように思います。
その後も山や旅で、なぜか紅白歌合戦を聞く機会が多くありました。家族ができ親になってからは、山だ旅だと好き勝手ができなくなって、家で紅白を聞くの我が家の習慣行事になりました。今は我が家の子供たちも家庭を持ったり、それぞれですが、やはり、私は今年も大晦日で区切り、来年の安心と勇気を祈ることにします。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する