通説の痛快物語でない、信長を強烈な承認欲求を持つ屈折した人物として描いていた「麒麟が来る」を毎週欠かさず見ていました。昨日最終回が放映され、楽しみが一つ減ってしまいました。間違いなく名作であったと思います。明智光秀が戦に明け暮れていた時代に「いかに正しく生きるか」を苦悩しながらも貫いた姿に感動しました。視聴していた方々個々に何か考えさせられたのではないでしょうか。私は、現在と重ねて観ていました。いいシーン、いい言葉、などなど幾つもありましたが、すぐ思いつくことがあります。
光秀 「平蜘蛛の茶釜を持つ者の資格として、誇りを持ち志高く心美しい者であらねばならない」
信長 「これは高く売ることにしよう」
戦国時代の人々が争い合っていた日常が、近代から現在の社会にも同じように競争や争いが日常にありました。資本主義も共産主義も富の分配の方法で、より多く持とうと競争に明け暮れています。光秀が考えた「正しい」ではなく、問題を生み出してしまう欠陥のある運用をしているように思います。平蜘蛛の茶釜は貨幣価値に置き換えて表せない相応しくないものなのに、置き換えてしまう。何でも貨幣価値に置き換え、そうしてバブルを作り出していくシステムの中で生きているのではないかと思います。光秀は「独裁者としての信長を作り出したのは、斎藤道三と自分（光秀）であり、責任がある」と自戒しています。そして、本能寺で信長を成敗して責任を果たしています。私もこの現在社会を構成する一員であり責任の一端を背負っているのだと自戒していきたいと思いました。
★光秀と信長の「セリフ」は私のイメージする言葉で書いています。
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