１９７９年のゴールデンウイークに大峰山脈・奥掛道（７５靡き）を単身縦走しました。途中で心霊現象に遭いとても怖かった山旅でした。
吉野の宿坊で一泊、翌日の出発の朝は曇り空でしたが、しだいに雨模様に変わってきました。歩き始めてから３時間ほど過ぎた頃には、強風と強雨になってしまいました。おまけに大型キスリングの左肩の背負いベルトの連結部が壊れてしまいました。背中で重いキスリングが動くし樹林帯から抜けた稜線で風雨にさらされ、それ以上進む気持ちが失せてしまい、「ビバークしかない」と思いました。当時を思い出しながら地図を見ると、四寸岩山からやや南あたりではないかと思います、それでも少し歩を進めると、東側に下っていく細い道があり、風雨を凌げる場所を探して降っていきました。しだいに植林地帯になりましたが、急斜面で幕営適地がありませんでした。２０分程過ぎてから小沢が現れ、その沢沿いに下っていくと急に視界が開け、一軒の家屋がありました。誰もいない平屋の廃屋で、とても不気味で嫌な感じがしました。視界の先に林道が見えたのでもう少し降ろうかと考えたのですが、再び登り返すことや屋内なら風雨が当たらないことを考えて、仕方なくその廃屋の３畳程の土間にツエルトを張りました。地名としては奈良県川上村で、高原川の支流の小さな沢沿いだったと思います。これで風雨が凌げると安堵した一方で、土間から続く奥の２部屋には埃を被った物が散らかり不気味な気配があって、一歩も踏み込めませんでした。
雑然と散らばっている物を動かし土間にツエルトを張り、キスリングを針金で応急修理をし、アルファ米と乾燥食品で調理食事をし、歯磨きし、日が落ちる前に寝袋に入りました。やがて暗くなり聞こえるのは雨音と小さな沢音ぐらいでしたが、誰もいない奥の部屋から、その雨音や沢音以外に微かな何かの音が聞こえてくるような気がしました。何かとじっと耳を立てて聞き入ると、どうやら人が話しているようでした。３〜４人の子供も混じった家族のようで、時々笑声も加わってヒソヒソと談笑している様子が伺えました。何度か会話が止み聞こえなくなることもあったのですが、少し経つとまた聞こえてきました。恐怖のあまり幻聴が聞こえたのかもしれませんが、私のことを話しているようにも聞こえて、さらに恐怖が増していくようでした。まさか、この廃屋に戻ってきた家族であるはずもありません。聞こえるのが人と人のやりとりなので廃屋に住み着いた獣の可能性もあり得ませんでした。この世のものではないのは確かで、とても怖くて、怖くて一度もツエルトから出ることなく、オシッコも我慢に我慢を重ねて朝を待ちました。
やっと薄っすらと明るくなると、いつの間にか話し声も消えました。雨も上がっていたので急ぎパッキングをして出発。眠れなかったせいか、昨日の３０分程で下ってきた道で何故か迷い、道なき道を３時間を優に超えて稜線に上がりました。それから、２〜３時間位で山上ケ岳に着きました。大峰山寺では開山の準備で入山している関係者の方々がいました。そこで幕営したのですが、前夜の廃屋の件を話したら、「あのあたりは、土砂崩れで何人も亡くなって廃村になったからな」とのことでした。やはり、死者が集まる霊山なのだと思いました。
霊山の不気味な廃屋という状況の中での心霊体験ですので、頭の中で幻聴を創り出したとも考えられますが、その後も無人の山中に、漆黒の闇夜に、魔物の気配を感じビクビクしながら縦走を続けました。
★インターネットで調べると、川上村は伊勢湾台風で大被害が発生したとのことです。
yasuji-さん、こんばんは。
これが大峯奥駈道で体験した心霊現象なのですね。
さぞや恐ろしかったことでしょう。
こういう体験すると霊を連れて帰ってしまいその後何度も怖い体験をするようになるとか言いますが、そんなことはなかったですか？
そしてこの恐怖をどのように克服されましたか？
AERIAL さん おはようございます
コメントありがとうございます
お通夜やお葬式で塩でお清めする習わしは、「霊を連れて帰る」からなのでしょう
「その後何度も怖い体験をする」になったかどうか、頻繁にあったわけではありませんが、今まで幾度か不思議な体験はありました
奥掛けの３年前ですが、１９７６年８月の四国遍路の一人旅の途上で、高知県の青龍寺の参道（階段）脇にある誰も居ない滝行場に単身試みました。「滝行場には霊がうようよいて乗っかってくる」と言われていますから、無人の行場に導師なしで踏み込むことは極めて危険で安易な行為でした
真夏だったので冷水が気持ちよかったのですが、、、
しかし行場から上がった後で、左肩の痛みは無いのですが、首を左に少しも曲がらなくなりました その後何か月、１年、、、と経過して、いつの間にか首が普通に曲がるように戻りました
「恐怖の克服」と問われても明確なことは言えませんが、山上ケ岳で人（お寺関係）に会って話したことがとても良かったのかもしれません 恐怖体験の後で人に会ったことで、体験前の精神状態（我に戻る）を取り戻せたように思います それから誰にも会わない歩きが続きましたが、「霊が居ても現前しても我を失わないぞ」と少し気構えていたのがよかったと思います 窓を閉め切った無人小屋の夜は本当の真っ暗闇でしたが、一層気構えていました 四国遍路で般若心経は唱えられるようになっていたので、もし現れたら「成仏させてあげるよ」という気持ちになっていたのも、あたふたしないで自分を取り戻せた要因かもしれません
yasuji-さん、おはようございます。
うなずきながら拝読しました。
ゾクゾクする恐怖でしたね、翌日3時間も道なき道を歩いていたときの不安感も相当なものだったと推測いたします。
体験した方なら理解出来る恐怖です。
私も日記（2019.1.15山の怪 2018.8.23山の怪）で記しましたが、
山では不思議な事が起きますね。恐怖がなせる錯覚だと言われそうですが、自分では解明できない事象です。
日本では宗教は山岳信仰から始まったと理解してます。古代人も
様々な体験・恐怖から夜が明けるのを一心に祈った事でしょう。
山を歩いていると理解できます。
それでも山歩きは止められないですね、さすがに廃屋で泊まろうとは
思いませんが・・・
ery100
ery100 さん おはようございます
コメントありがとうございます
「廃屋には絶対泊まるな」が教訓です
一晩中とか、長時間に渡って続いたこと、その村が大災害で廃村になっている事実を知ると、錯覚説に１００パーセントの納得はできないです
貴「日記（2019.1.15山の怪 2018.8.23山の怪）」を早速読ませていただきます
私も何度か不思議体験がありましたので、いつも、ヒル避けと兼ねてひとつまみの塩を持ち歩いています。
はじめまして MjunjunMさん
コメントありがとうございます
不思議体験とは恐怖体験ですか、何故かお聞きしたくなるようです
塩の携帯はとても良い対策、熱中症予防にも役立ちますね
教えていただきありがとうございます
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