昔いつ頃かは覚えていませんが、「ヒマラヤより冬の黒部の方が厳しい」と、厳冬期の黒部をフィールドにしていた登山家がいました。現在では、高所シェルパが何でも手助けしてくれるヒマラヤより荒天に見舞われた冬の黒部の方が本当に厳しいかもしれません。その登山家の実力の足元にも及ばない私ですが、当時その登山家氏の力量ばかりではなく、その登山家の考え方に感じ入りました。「海外へ行くより、足元の日本の山をみれば海外に勝る厳しくも充実した登山ができる」という考えが新鮮に感じました。今思うと「グローバルに考え、ローカルに行動する」に相通じ、今こそ大切な考えだと思います。
そこで、登山口までの移動での二酸化炭素排出量を試算してみました。
比較検討：A 関東地区⇆北アルプス（往復400ｋｍ）3人パーティー
B 成田⇆カトマンズ（往復28212ｋｍ）1人
移動手段：A 自動車 燃費45ｋｍ／（人・リッター）
B ジェット機 燃費28ｋｍ／（人・リッター）
使用燃料：A ガソリン CO2排出量 2.322ｋｇ／リッター
B ジェット燃料 CO2排出量 2.463ｋｇ／リッター
往復した場合の１人当たりの二酸化炭素排出量：
A 400÷45x2.322=21kg
B 28212÷28x2.463=2482kg
結論：ヒマラヤに1回行く場合の移動で排出する二酸化炭素量は北アルプスに行く場合の118回分に相当し、同じ排出量で118回分楽しめるという計算になりました。さらに、電車（仮定として294km／（人・リッター）を利用した場合は、826回分の排出量になると計算されました。
参考ですが自宅から北アルプスまで往復すると800ｋｍでは、カトマンズ往復１回分の二酸化炭素排出量2482kgに対して比べると、北アルプス往復の排出量は自動車（３人乗車）利用で59回分、電車利用（登山口までのバス便などは無視）で413回分の山行回数に相当しました。また田中陽気さんみたいに全て徒歩や自転車の場合は、移動に伴う二酸化炭素量排出はなく当然ですが無限回分となります。
それでは、皆様の山行が楽しいものでありますうように！
おはようございます。黒部横断という登山は、日本という狭い国土に深い山を現出する一つの手法だと解釈しています。私が学生時代に倣った日高山脈の溯下降継続登山も然り。
グローカルなどという新語もあるようですが、環境負荷を考えながら日々生活するのは意味深く、大切なことに思います。
おはようございます。コメントありがとうございます。
日高山脈の溯下降継続登山の困難はそれはそれは凄いものと想像しますが、体力と精神の限界を超えていたのではないでしょうか。その経験は貴重ですし、今に生かしていってほしいですね。
グローバルという言葉ですが懐疑的に思ってしまいます。日本のＴＴＰ議論の中で、農業が崩壊するとの反対は真っ当な意見でした。しかし日本のことばかりで1つ視点が欠けているのではないかと思っていました。お題目のwin−winの関係は綺麗ごとで結局win−loseの関係になるのが道理だと思うからです。日本が勝てば他国が負ける関係は良くありません。仮に「winーwin」や「all win」 が成り立つとしてもそれは人間以外の生物の犠牲と地球環境の悪化（生物にとって）の土台の上に成り立つと考えると、結局人類にとっても良くはないということになるだろうと思います。
二酸化炭素排出については、４０年以上前ある芸能人が「最先端の冒険は何もしないことだ」という発言をとても鋭い指摘だと思いました。「何もしない」、「登山もしない」とは私にとって難しいことなので、せめて環境負荷を考えながら行動したいものだと思います。
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