自分の体験から得た考えです。幼少期はとても気の弱い、今様に言えば苛めの対象になり易い少年でした。自分より内気で気の弱い友を庇ったりしましたが、苛めっ子に立ちはだかるような勇気は持ち合わせてはいませんでした。
小学６年生の時、O君が訳の分からない因縁を付け喧嘩を売ってきました。こんな時は嵐が去るまで我慢してやり過ごすしかなかったのですが、この時は違いました。休み時間の人のいない廊下で、味方になってくれる友達もいない状況で、自分としてはあり得ない反撃の行動が起きました。O君は中学生の全国水泳大会で７位になるなど体格が大きく私など太刀打ちできる相手ではないのに、廊下の突き当りにO君を追い詰めるという有り得ない戦況となりました。きっと物凄い恐怖からリミッターを外れた私の狂気がなせる業だったのでしょう。やがて騒動に気付いてクラスメートが大勢集まってきて止めてくれました。
この時の経験は、喧嘩は本気になった方が勝つのだなという自信になりましたが、それから次のような考えに発展してきました。「本気になるということは我を忘れて狂う」に等しいことに思え、「狂えば人を殺めてしまうことにもなる」と考えました。狂気は狂気を呼び、どちらも善悪の境が分からなくなり地獄と化します。なおO君は母子家庭で、私のような苦労もなく心配もなくのほほんと生きているのが憎たらしく思えたのかもしれません。子供の私には他者へ思い遣りや優しさも希薄であったのだろうと思います。大人になっても自分は他者へ寄り添うことも十分にできないのに、子供に求めても難しいのかもしれませんが、これは大切なことだと思います。
こんなこともありました。パワハラ上司に散々な目に遭っていた時期、年末年始の休暇中に自己流の瞑想でパワハラ上司を懲らしめようと念じたら、信じられないことに上司は仕事始めからアキレス腱を断裂して入院してしまいました。自分の念というものも恐ろしくなり、以後このような念の悪用は封印しています。また「人を呪わば穴二つ」と思い、心でも戦ってはならぬと思います。
以上のような経験から、「喧嘩は本気になって狂った者が勝つ」「戦ったら勝つかもしれないが殺人を犯してしまうことになる、殺人者だ」「どちらに非があるのかなどという争点の次元を遥かに超えてしまう」「戦端が切られたらどちらが悪でどちらが善なんて言えない不明な状況に陥る」と考え、「決して戦わない争わないことだ」と肝に銘じています。これが私の非戦論です。「堪忍袋の緒を切る」ことも極力避けたいものだと思っています。
人間の念というのは空恐ろしいものですね、私にも多少なり覚えがあるのでそう思います。人間というのは擦りむいたり棘が刺さる程度で痛がる決して強くもない生き物で、それを思うと殴るだの空爆だのの対岸にいる我々は痛みをもって情勢を注視しなくてはと日頃感じています。一刻も早くあの争いが収まりますよう。
現在の小学校ではどうか分かりませんが、昔は喧嘩してたら子供たちが集まってきて止めていました。そんな時は、女子がしっかり叱咤役、それと親分肌の男子がいました。それに引き換え大人の世界はどっちに見方した方が得かとか考えて気を逸して事態を重くしています。間髪入れず即飛んで行って何しろ戦を止め、それから話し合いで解決しなきゃです。メルケル姉（泣）とトランプ兄（笑）がいなくなったのが痛いですね。子供は「喧嘩しちゃだめだよ」とビシッと止めてくれますが、世界の国連とか各国の指導層など紛争を仲裁すべき役目の人には子供のありようを見習ってもらいたいものです。
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