中学の１年生だったか２年生だったか、正確には覚えていない。Ｋ先生による数学の図形に関する授業を受けていた。以前授業中に心ここに在らずと“ボーと”していたら、Ｋ先生から皆のいる前で強烈なピンタを貰ったことがあった。“ボーと”どころか動揺し頭が真っ白になってしまった。以後、数学の授業は神妙且つ静かに目立たぬようにしていた。その日の授業は相似や合同など図形に関するもので、授業後半に問題が出された。出題から何分か経過すると指名された生徒が黒板に解答を説明するというのがＫ先生のやり方。この日最後の問題の解答者に私が指名された。全く思いもよらないことで、また頭が真っ白になって気が動転した。
とりあえず解答は自分なりに導くことができていたが、それほど自信はなかった。それに皆の前でまた恥をかくのかと想うと血の気が引いて怖気づいた。誰かに代わってもらえるなら代わってほしかったが、そんなのは無理なことで逃れられるものではない。大変緊張しながらもなんとか自分の解法を説明した。Ｋ先生はしばらく黒板を眺めながら黙っていた。その沈黙の時間は私をさらに緊張させた。“きっと間違っていて呆れているではないか”と恥ずかしさが増していった。しばらくしてＫ先生は『そういう解き方もあるのか』」と言い表した。その言葉はどういう意味なのか直ぐには分からなかったが、どうやらＫ先生が考えもしない意外な解法を私が説明したらしかった。間違いではなく正解であり、Ｋ先生の想定していた模範解答とは違う方法で解けていたのだ。一瞬にして羞恥心から自負心に変わった。
そのＫ先生の模範解答については語られなかったので、私の解法が模範解答より近道（簡単）であったか遠回り（複雑）をしていたのかは定かではないが、私のオリジナルだったのは確かだと思う。しかし、Ｋ先生はしばし考えて遠回りを見抜き、私の解法に間違いはないか確認するのにしばし沈黙したのだろうと私は考える。それでもＫ先生は。“もっと簡単な解法がある”とは言わず、私のオリジナルな解法を褒めてくれた。それで私は少し自信を回復した。Ｋ先生と心のどこかで通じたように感じた。実はＫ先生はＴ大山岳部出身の山男だったが、私が密かに登山を楽しんでいたことはご存じなかった。なんだか私の登山も認めてもらったように感じ嬉しかった。
数学の正しい解き方は唯一つしかないと思っていたのが、別な解き方もあることを学んだように思う。今振り返ってみると、数学でさえ幾つもの解き方が可能なのだから、ましてや正解など無い人生の解き方（生き方）なんて星の数ほどあると思えるようになった。そう考えると、幾多の問題を抱える私も少し救われるような気になる。Ｋ先生の『そういう解き方もあるのか』との言葉は、今までの私の人生をいかばかりか支えてきてくれていたと思う。
こんばんは〜
私も、似たような事がありました
中１の 数学の時
質問されて
『 あの〜 』とか『 え〜と〜 』とか
言っていたら
先生から『 お前は 俺を なめてるだか？ 』
って言われて
超 頭にきて
その後、
数学は クラスでも トップクラスの成績に
なりました … とさ (^^)
まぁ、基本 男の先生は バカだから
しょうがない ですね
こんばんは
コメントありがとうございます。
「男の先生は バカだから」⇒思い出すと同感です。
雑談や居眠りしたりボーとしてているとチョークを投げつけてきたり、硬い床に正座させたり、みんな男先生でした。廊下に立たせたら教育効果が上がりませんよね（笑）
生徒も面白く工夫して一生懸命に教える先生はリスペクトし真剣に聞き入るものだと思いますが、「面白くない俺の授業を聞け―」と、虚勢や腕力で生徒を抑え込もうとしていたようですね。
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