この思い出シリーズ、わたし以外で唯一の登場人物・奥多摩の友Tさんだが、今はもう連絡先もわからない。このSNSの時代にLINEやFacebookというツールを駆使しても連絡先がわからないままの人がいるという不思議。Tさんと出会ったのが大岳山だった。そのときのこと…
駅からバスを使わずに登りたくて、地図を見ながら決めた行き先は大岳山。JR青梅線の終点・奥多摩駅から鋸尾根を行き、大岳山→御岳山と下る。距離は割と長いが緩やかな登りだし、人が少なかったからのんびり行けた。「好きな雰囲気だなぁ」そんなことを思いながら歩いたっけ。縦横無尽に走る木の根が続く道。鋸尾根ではひとりふたりにしか会わず、たぶん、ただただ楽しく歩いていたと思う。
そんな静かな登りだったから、大岳山の頂上の混み具合にびっくりした記憶!座るところがなーい!!えー、まさかの立食い…?キョロキョロ…と、目に入ったのは額から血を流すトレランさん。「あれ、あの人さっき走ってた人…」と同じ道を来たその人が気になる。応急処置セットとか持って無いのだろうか、ダラダラ流れてますがな…お兄さん!!!血がなかなか止まらず困ってた。大丈夫かよ。声を掛けたいが、なんかこう、近付ける雰囲気ではなく…。
なんとかしゃがむスペースを見つけ、サンドイッチを早食い、退散。
倒木で破茶滅茶だと奥多摩駅近くの交番で情報を得ていたロックガーデンは通らず下る。この大岳山からの下りで、Tさんと出会う。左に巻く細い道、前を歩くその人を追い越す時に「混んでますねー!」と声を掛けた。「そうですね」とかなんとか言われたんだと思う。そこからは覚えてないけど、追い越しすつもりが追い越さず、一緒に歩いたから友達になったわけだ。
御岳山はもうわらわら人がいて、さすが、関東のスピリチュアルスポット。テレビで御岳山が紹介された直後だったらしく、下山時に乗ろうとしていたケーブルカーには長蛇の列が出来ていた。「ビールでも飲んで列が短くなるのを待とう」と。Tさんと自己紹介も兼ねてプシューッ、と始めるが列は長く長く伸びてくばかりだったから、歩きで下った。
この日が平成何年だったのか分からない。ただ私はその時は働いていて、その後退職し3年間学校へ通うことになる。「実は仕事辞めて、学校行こうと思うんです。」と、それもまた奥多摩の山で、歩きながら話した記憶がある。だから迷ってる時にはもう出会ってた。Tさんと最後に会ったのは学校生活の3年目だから、少なくとも3年間は一緒に山へ行っていたことになる。
この何年後かに、今度はTさんと共に鋸尾根から大岳山→御岳山を歩いた。あの時私が1人で来た道をいっしょに歩こう!という名目で。
山の思い出を記録しようと振り返るとほとんどがTさんとの山歩き。懐かしさに胸が熱くなり、連絡取れないかなぁと色々試してみたけどつかまらなかった。全部、ひとりで思い出すしかない思い出になっちゃったなぁと、さみしくなった。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する