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朝8時30分ごろに家を出て、最近我が家にや ってきたばかり の軽自動車で高速道路に乗り込んだ。近畿自動車道から名神にはいり名古屋で中央高速道路に入る。
途中休憩でパーキン グに寄ったりしながらも、15時ごろには諏訪インターに着き高速をおりた。そこから茅野市内を走り、今日宿泊予定の 山荘、夏沢鉱泉に向かう。
でこぼこ砂利道を車で通り、駐車場から山道を歩き、夏沢鉱泉に到着する。
玄関を 入ると頭にターバンを巻いたオシ ャ レな山男お兄さんが温かく迎えてくれた。山荘には山 で撮った風景写真が、所狭しと壁に飾られていた。
滝、高山花、川、 幻想的な風景写真は見る者を魅了する。
宿泊の手続きを済ませた後部屋に案内してくれた。
ここのナスの中に味噌をつめた天ぶらがとても美味かった。
宿泊客はスケッチをするためにきていたおばさんと 、私たち親子二人の三人だった。山の静けさの中、ぐっすり眠り、次の日を迎えた。
天気はあまりよくなかった。
登る前に一風呂浴びてからと思ったが、山小屋のお兄さん日く、登る前に風呂に入ると筋肉が緩んでしまうから良くないとのことで、やめた。
準備をばっちりすませ、宿の人にお礼を言って出発。出発して早5分ほど、さほど急で もないし、歩きやすい道だったのにも かかわらず、私の息はすぐにあがった。
社会人になってからというもの、まったく運動をしていないのだから当然。先をゆく父に息が上がっていることは悟られまいと歩いた。
硫黄岳頂上を目指し歩く。途中林間学校で山に来ていた中学生の団体とすれ違う。
ヒュッテ夏沢山荘を越えて硫黄岳山頂に近づいてくると、風が強くなってきた。
父は「山の風は下から山側にむかって吹いてくるから体もって いかれんようによう踏ん張れ」といった。
硫黄岳の頂上付近はごっごっした岩場でしかも、崖っぶちで、少しでも風にあおられるようなもんなら、転げ落ちてしまいそうなところだった。
頂上にちかづくに連れて、硫黄の臭いがしてきた。
硫黄岳という名前の通り頂上付近には、火口口があった。
残念ながら天気が悪いので景色は全く見えなかった。
初めて山の恐さを知った。
私が今まで登った山とは違い、八ヶ岳はごっごっとした岩がそり立 つ、いかつい山だった。
山に対して畏敬の念を感じた。
ふきつける風に負けじと歩き続けることしばらく、やっとの思いで硫黄岳山頂に 到着。頂上で2人ほど会った。
横岳に向かい、硫黄岳頂上からすこ し下ったところに、山小屋があったので入った。このままここに泊まるか、赤岳まで向かうか迷ったけれども、先に行くことにした。難関はここからだった。
少し歩くと岩場に鎖がかけられしかも、落ちたら即死というような崖つぶち。
もうここからは必死だった。
疲れたとか恐いとか言ってる場合じゃない。
どっちみち先に進まなければ、どうにもこうにもならない。
絶対に鎖は離すまいとこころにきめ、前をいく親父の通りに足を動かし、手を動かし進んだ。
死と直面すると人ってこんなに強くなるんだそう思った。
落ちたくない一心で岩場を必死に歩いた。
横岳を越えて、赤岳のふもとの展望山荘に着いた時には、寒さと雨とでくたくたに疲れていた。
この日はますますこれから天候が悪くなると聞き、頂上行きは断念した。
標高が高いせいかいつもより心拍数が上がっていた。
昼食を食べて、ねころがり、しばらく体をやすめた。
夕食を食べて(ここのたらの芽のてんぶらがうまかった)、しばらくして寝袋のうえに横になった。
全然眠れなかった。
神経質な私の性格だからしようがない。
けれども、明日に向けて体力を回復したい私は眠れないことに苛立ちはじめた。
隣で寝ている父はいびきはかい ているものの、眠りは浅く何度も目を覚ましていた。他の宿泊脚は眠れ ているんだろうか?
横になりながらいろんなことが頭をよぎった。
今日来た道を思い出していた。
山登り初心者の私からすると今 日来たコースは過酷に感じた。
明日もあの道をいくのか、そう思う と恐怖だった。
晴れるならまだしも、天気の悪い中しかも疲労した体であんなところ行けるだろうか。悪いイメージ が頭をよぎった。
もしかしたら、あそこで落ちたひといるかも しれない。
この小屋に泊まって遭難したひといるかもしれない
そう考えると底恐ろしく感じた。
脈拍もやけに高い、明日無事に下山できるだろうか。
そんなこと ばかり考えているうちに気付くと朝になっていた。
良かった3時間はねれた。
私は最低でも3時間ねれる と大丈夫なほうなので3時間ねれたことが嬉しかっ た。
この日も天候が悪く頂上行きは確実に危険が伴なう。
横岳、硫黄岳の稜線を歩くコースも風が強く危険だったので、山小屋の人が最も安全に下山できるルートを教えてくれた。
それは行者小屋まで行きそこからみのと口 にむかうというコースだった。
心のなかで 「良かった、安全に降りるコースがあったんだラッキー」 と思った。山小屋で知り合ったおじさん二人とたまたま出発のタイミングが重なり、 一緒に下山することになった。
展望山荘を出て5分ほど歩くとお地蔵さんがおられるその名も地蔵の頭というところから、少し急な岩場と鎖場があったけれども、昨日来た道と比べると、全然ましだった。
親父は私の方を時々振り返りながら、声をかけてくれた。
私の後ろのおっちゃんもわたしのべース に合わせてくれた。
30分ほど下ると、針葉樹林帯に出た。
もうここまでくると安心 風も弱まり、道もなだらかになる。木が守ってくれているんだという安心感
1時間ほどいくと行者小屋に到着。しばらく休憩し、 みのと山荘に向かい歩きはじめた。
シダ植物が多く、綺麗な苔が目を楽しませ てくれた。
単調な道のりで飽きると歩いているときは思ったけれども、今ではあんな恐い道のりでもまた登ってみたいと思う。
山ってなんて不思議なのだ。
登って いるときはしんどくて、道のりが単調だったら飽きるのに、また行きたい。そう思わせる何かがある。
自然に触れたいという本能なのかもしれない。
みのと山荘に到着しみのと口までタクシーをよんでもらった。
一人のおじさんは、長野県のひとで、おじさん日く、長野では中学生でも林間学校で北アルプスに登るんだと話していた。
長野の人はきっと山が好きなんだろうなそう思った。
そのおじさんはとても山の草花や木について詳しかった。
山登りでもただ登るだけじゃなくて、植物のことに関して知っていたら世界がもっと広がるのだろうなあ。もっと楽しくなるだろうなと感じた。
もうひとりのおじさんはみのとロの山小屋でお風呂に入って、 ハスで帰りますと言って、そこで別れた。
出会いって不思議だなあとっくづく感じた。
私たち親子は、タクシーで夏沢鉱泉の駐車場まで向かった。
車のところに戻り、そこから車で、唐沢鉱泉に向かった。
唐沢鉱泉山荘は、建物の前には川が流れていて、森林に囲まれて、すがすがしい風がふくとてもよいとこだ。
入ってみると玄関の正面に、親子の鹿の剥製がいてびつくりした。
ここの山荘の主人は猟師ら しい、 食堂 には沢山 のドライフラワーが天井から吊るされていた。風呂は本当に最高。天井がガラス張りにな って いて、しかも苔の生えた岩が壁みたいになっていて、雰囲気は露天風呂と い った感じ。露天ではないんだけれどもね。鉱泉 は源泉の水をポイラーで沸かした温泉のことで、こ この 湯は飲むと炭酸のようにシュ ワーとす る。臭 いは硫黄 の匂いがする。あまりに気持ちよくて、かえるまでに3回も入っちゃいました。
談話室(こまー大量に漫画から本からたくさんあった。1 週間ぐら いここに滞在しても飽きないだろう笑 部屋は 8畳ぐらいの畳部屋で川のせせら ぎも聞こえ るし、涼しい風も入 ってくるし最高。布団もふかふか。食事も美味い。
特別料理を頼むと、猪なべ と鹿の刺身が食べられる。
食事中に宿のおばさんが回ってきて、宿泊客一組一組にねぎらいの言葉をかけてくれる。最高に癒された一日だった。翌朝ぐっすりねむったので気持ちよく起きれた。美味い朝食をとり、 一風呂浴びて帰途に着い た。
素晴らし い旅をプレゼントしてくれた神様、山に登って いる途中ずっと見守ってくれた親父、各山荘でもてなしてくれた方々、山小屋で知り合ったおっちゃん、自然の恵みに感謝いたします。
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（釋尼 華英）
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