私は、50歳手前から山登りを始めた上、身体もでかくて(身長185cmX体重が95kg) 正直山登りが非情に苦手です。しかし、しんどいながらも山頂にたどり着くと、さっきまでの辛さも忘れてしまうような、一種の達成感とでもいうような自己満足になり、今現在も週末には近くの山へ出かけます。
ただ常に単独行なので、山登りに関する知識はもっぱら書物から得ています。
その書物の中に、マタギを取材した方がその技術を山登りに活かせる主旨を書かれた文庫本を見つけて、自身の山登り知識に応用出来ればと思い購入しました。
マタギに学ぶ登山技術(ヤマケイ山学選書より)
趣味や娯楽で山に登るのではなく、自身の生活として山の動物(主に熊)を狩るために山の隅々まで分け入るマタギの人たちの知恵や技術に興味が惹かれたからです。
今回本の中に書かれた一部を少し紹介しております。
1,山の神 マタギは山へ狩猟に入る前に必ず山の神様への貢ぎ物を捧げるそうです。
それは、魚のオコゼだそうで、何故オコゼか?というと、山の神様は女神様らしく、
しかも醜女だとか!(勿論見た人が要るわけではないが昔からの言い伝え)
そのため、自分より醜いものがあると喜ぶからだと言われているからだそうです。
この謂れは、猟の安泰を祈願することと合わせ山の怖い神を敬い獲物の乱獲防止を
同時に表しているのではないかと、筆者は語っています。
この醜い山の女神に関して、私なりに考察したのですが、古事記にある天孫降臨
で登場する瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)が大山祇神(オオヤマツミノカミ)より、木花之咲夜比売(コノハナノサクヤヒメ)と石長比売(イワナガヒメ)を一緒に嫁として差し出されたが、木花之咲夜比売だけをめとり、石長比売を戻したため、天孫に寿命が出来たとされています。
大山祇神は名前の通り山の神様の元締めのような存在で、木花之咲夜比売は美しい女神で富士山本宮浅間大社に祭られている神様です。
一方姉の石長比売は大変な醜女だったので、瓊瓊杵尊は嫁にめとらなかったらしく、
石長比売は岩の如く硬く長生きを象徴しているので、めとらなかった瓊瓊杵尊には
寿命ができ、その後の天孫にも寿命が備わったという話しですが、この醜い石長比売
が何となくマタギのいう醜女である山の神様に関係しているような気がします。
2,マタギの体調管理
猟に入る前に身体の体調管理には気をつける。一度狩猟のため山へ入るとかなりの
重労働になるため、マタギは肥らないように普段から食生活にも気をつける。
(腹八分目やお酒は控える等)
肥ると腰や膝に負担がきて、思うように猟ができないために気をつける。
肥ったマタギは捨てマタギとよばれる。猟の途中でバテるのでシカリ(マタギのリーダー)から待機を命じられるから。
3,マタギはローインパクトに歩く
近年登山者などの踏み荒らしが関係した、植物の衰退が言われている。
マタギはなるべく同じ道を通らない、昨日Aという道を歩いたら今日はBという道を歩くという具合に!また、苔のあるところは避けて通った。苔は一度だめになるとなかなか再生しないらだそうです。
ショートカットはしない。山の植物や土壌をだめにするし、転んで怪我をするなどの危険を多分に含んでいるため。
結論、「同じ道は何度も歩かない。苔を踏まない。ショートカットはしない。」
これだけでも山の自然を傷つけないことはできる。
マタギの歩き方は疲れないためにソロリソロリと摺り足で歩いている。歩いたあとには足跡がついていないかのようにソフトに歩く。(登山靴ではなく、長靴を履いている。)
マタギは山を一日で30キロほど歩く、それも獲物を見つけると猛スピードで山の中を走り回る重労働。バテない歩き方として、「がに股歩き」をしている。股を開いて体を左右に揺らしながら歩く。
このつづきは後日載せさせて頂きます。
ずいぶんまえに読みました。もう中身すっかり忘れています。沢の水を汚してはいけないというのは覚えています。
ニニギノミコト、イワナガヒメの話、おもしろいですね。昔はそんな話に思いが至りませんでした。
がに股の左右揺らしは、明治以前の歩きのプロや武術家に共通した歩行術みたいですね。ナンバ歩きに近いものかもしれませんね。
はじめましてyoneyamaさん、コメントを頂きありがとうございました。確かにマタギのがに股歩きは、ご指摘の通りなんば歩きだと私も思います。昔の人や山に従事していた人が自然と身につけた歩き方なんでしょうね。
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