初めて塩見岳に上がって、三伏峠から下山した時(まあ下山というよりエスケープだったが)、塩川土場―塩川小屋の方に下った。今では三伏峠・塩見岳の登山口は,標高の高い鳥倉林道登山口になっているが、私が塩見、初めて行った時(10年くらい前)はまだ、塩川土場の登山口、健在だった。バスが通っていたし、塩川小屋が少し高台にひっそりと建っていた。
八ヶ岳で登山口の山小屋で昼飯食べれるみたいだったから、塩川小屋でも何か腹に応えるもの、食べよう、思っていた。しかしそこは南アルプス、何にもない。「3日間ろくなモノ食べてないんですよ」と言うと、塩川小屋のおじさん、「ちょっと待っとけ」と言う。
それで座敷に上がって5分か10分、出てきたのは丼一杯の真っ白なご飯とナスの煮物だった。煮物は、甘辛くてちょっとピリッとしたとこもあってすごくおいしかった。
「おいしい、おいしい」とほめると、おじさん、「隣のばあさんが持ってきてくれたんだ」と素っ気ない返事。ところでおじさん、バス会社から頼まれてバスの切符を売ってるのだという。面倒くさいのに、大したお金にもならないのに、と不満そう。
何時間かに一本のバスの到着時間、おじさん、バスの横に立っていた。不愛想に、黒のがま縁カバンぶらさげて、車掌の帽子を斜に被って…。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する