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夏にピストンした時、天狗のコルから進んだ辺りで泣きそう😭とか言っていた三人組の女性グループに、「どうでした？」と聞かれたので、「大したことない。」と答えたら、「向こうの方(奥穂側)言ってないじゃん！」と、侮られたので、年内、奥穂高岳から登頂せねば男の沽券に関わる(古っ)と思っていた。
しかし天候に嫌われ、あれよあれよという間に冠雪、奥穂側からのジャンダルム初挑戦が雪山となった。雪山を狙っていたわけでは無いが、結果として雪山だった。
しかし逆にこれは良かったと思う。
期せずしてアルパインの真似事ができた。
ジャンダルム
初めてこの存在を知ったのは、登山駆け出しの、4年前の2019年だっただろうか？
NHKの中部ネイチャーシリーズでやっていたと思う。もの凄く恐ろしい映像の連続で、誰でもが行ける場所では無いという。
いつかは行きたい憧れの場所になった。
今回、ルートの予習もせず突入したら、雪山だった訳だが、全く躊躇することはなかった。
快晴の好天気で稜線にただ独り、この好条件は脳内を興奮させ、ただ目的地にたどり着くことしか考えられなくなっていた。
ロバの耳(後で知った)までは楽勝。
しかしその先はルートが分からない。
登り返すのか？
ルートが分からず、しばし停滞する自分に、「目の前にある山肌を見て、ルートを見極める。それこそクライミングの醍醐味ではないか？」
そう言い聞かせた。
とりあえず目の前にある急斜面を下った。
ここでピッケルの偉大さを知ることになる。
今回持参したのはmontbellのsnowridge。
切っ先の歯の部分と、柄の先端の両方で雪面をしっかり捉えて、体重をholdしてくれる。
ピッケルの素晴らしい働きに衝撃💥が走った瞬間だ。
本当に素晴らしい。
まさに相棒、右腕、オレの命だ。
ピッケルが無ければ、雪山山行など成立しない。
さて、下ったが、これ(ロバの耳)登り返すのか？
目の前にある垂直の雪壁トラバースなど、最初は選択肢になかった。
当然だ。
断崖、絶壁。
通常、雪面から岩🪨の切っ先が顔を覗かせていて足を置ける(今まではそう出来た)余地があったが、1mぐらいのトラバースは、何も引っかかり部分のない真っ白な雪壁だ。
そこを行くのは非常識に思えた。
とりあえずロバの耳をゆっくり慎重に登る。
これとてムズい。
いや、これが登山道な訳ない。と、思い直し
これまたムズい、下降した。
この辺りから白出沢上空を飛んでいた救助ヘリがこっちに気付き、寄ってきた。
手を挙げピッケルを振った。
無意識に助けてくれと言っていたのかも知れない。
横のツルッとした雪壁を見ていると、これが登山道に見えてきた。
ロバの耳を登らない以上、登山道は、トラバース以外ない。
意を決して、垂直のトラバースに飛び込んだ。
前爪もなく、今思えば、どういう事？とも思うが、脳内クライマーズ・ハイ、落ちたリスクには、不感症になっている。
ここの雪は硬かった。
弱い所を見つけるために、ピッケル1本に全体重を預け、あちこち蹴り込む。
その横移動の過程で、2回ズリッといった。
必死でピッケルを抑え込む。
速度がついたら終わりだから、全神経を極限まで高めていて、即座に対処する。
2回目は、ピッケルを抑え込むのが体制的に無理だった。
全身の毛が総毛立ったが、雪を蹴りこんだら、足がはまって止まった。
硬かったら落ちていた。
この時はヘリもビックリ😳したのか、ものすごく接近してきて、ホバリング待機をし始めた。
ヤバかった。
この死との隣合わせの恐怖が、何故か快感に変わる。
映画アルピニストの亡くなった主人公（マーク･アンドレー･ルクレール）が、生きてるって感じられるって言っていたと思うが、あ〜、これなんだと思った。
興奮が恐怖に勝る。
彼は発達障害だったと思うが、俺もそうかもしれない。
無上に楽しい。
そんな快感を全身で感じながら、雪山ジャンダルムに登頂した。
夏山ジャンダルムは、登頂に苦労していないので、なんの感慨も湧かなかったが、雪山ジャンダルムは、人生史に残る偉大な出来事だ。
すぐ身近に死を意識した。
今回、前爪が無いので、ピッケルがよりいっそう大活躍したのだが、垂直の雪壁には岩🪨の突起が無く、手をかけることが出来なかった。ピッケルがもう一本あれば楽なのに、と強く思った場面だ。
ピッケルは、2本持ちたい。
ダブルだ。
そしてアイゼン。
ピッケル2本と、アイゼン。
また、垂直のトラバースに挑戦したい。
死と対面した、あれほどの気分高揚と、幸福感は、他にない。
「クリフハンガー」で言ってたっけ？
SEXよりいいって 😁
いや、セッ〇スも好きですよ😘
