昨年の秋
初めての遠出の世界遺産訪問は、
鎖やら出て来て行者修行だった。
修行なのに不謹慎ながら、はまってしまった。
まずは、車窓からも光って見える、
公園1周より距離の短いあの低い山へ。
そして
学校から耐寒登山で無理矢理行かされ、
前からは手を引かれ
後ろからはお尻を押され
泣きべそをかきながら
なんでこんな事をしなきゃならないのかと恨んだ
金剛山へ。
動いていないロープウェイの駐車場。
身震いは気温のせいか、
登山への恐怖か。
他人(ヒト)からは鼻で笑われそうな低い山だが
私にとっては、気合いのいる山だ。
登山靴を締め直し
ザックを背負い直し
軍手をはめ、
登山口を過ぎてすぐに左、
この細い登山道を今から登るんだ!
そう思って1歩踏み出そうとしたとき、
上から降りてくる人影があった。
ちゃんちゃんこを着て
少し腰の曲がった、
おばあさん......。
えっ、えっ、おばあさん???
その後、普段着の人にも会った。
この騒ぎの前、
普段着の人に会うと
なんか気が削がれると感想を書いてあるのを見た事がある。
わからなくもない。
わからなくもないんだけど
あの人達にとって、
金剛山は、
私が思う金剛山じゃないんだと思う。
私が、生駒山は
生駒さん、なのか、
生駒山さん、なのか悩んだように
金剛山は、
金剛さん
なのだろう。
あの おばあさんには
ヤマレコもヤマップも必要ない。
今、家族から、
転んで骨でも折ったらどうするの!と
怒られているかもしれない。
極暑の畑作業、
脱水で倒れたおじいさん。
畑に行くな!と怒ったら、
(畑が)干からびる!!と応戦。
その前に爺さんが干からびる!!と言うと、
そんな殺生なぁー
と涙声で言い
家族も
いつも畑で死ぬと言って困るんです、と。
私は、ため息混じりに
朝早く、氷背負って行ってね。と100歩譲ったっけ。
おばあさん、
今日は金剛さんに行ったんだろうか。