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大峯山系の八経ヶ岳「オオヤマレンゲ自生地」の開花状況の観察を続けています。「オオヤマレンゲ自生地」は、吉野熊野国立公園特別保護地区中にある国指定天然記念物であり、世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』の「参詣道」構成資産です。鹿の食害にさらされるようになったことから、1996年〜2011年に環境省が防護柵を整備し、環境省レンジャーと地元村関係者の管理によって、防護柵内のオオヤマレンゲは株数・樹勢を回復して、防護柵内をとおる登山道まで枝をのばして葉を繫茂させ、多数の花を咲かせるまでになっていました。
しかし、2024年7月4日時点のオオヤマレンゲは、約半数の木が枯死状態となり、生き残る木も鹿の食害後に再度小さな若葉をつけているだけで、確認できた花・蕾は鹿の届かない高い枝先の蕾一つだけでした。現在の環境省レンジャーは、近畿地方事務所アクティブレンジャー日記に、2022年4月着任後に防護柵外に鹿の追い出し作業をおこなったと報告しています。しかしその後も、鹿は繰り返し柵内に入っているようです。2021年に登山道まで枝をのばし、多数の花を咲かせていたオオヤマレンゲは、2023年には再生した小さな葉をわずかにつけるだけのものばかりとなり、同年7月4日に確認できた花・蕾は二つしかありませんでした。それでも枯死状態の木をみなかったことからすると、オオヤマレンゲの保護状態は2024年にかけてさらに悪化したことがわかります。
近畿地方環境事務所によれば、2023年12月に八経ヶ岳北等の保護地内を通る登山道の門を、より鹿の入りにくいものに変えたとのことです。ただし環境省は、鹿は冬季に餌を求めて山を下るという前提で、防護柵を通る登山道の扉は、冬季の間は雪で壊れないように開けているとのこと。春のいつの時点で扉を閉めるのかは明記されていませんが、現状の再生した小さな葉をみるかぎり、今年も鹿は比較的自由にオオヤマレンゲの葉・蕾を食べることができる状態にあったようです。
小泉改革によって、環境省の自然保護関係予算は激減しました。そうした中でも、過去の環境省レンジャーや村関係者が保護に努力し、繁茂状態を回復してきた八経ヶ岳北側のオオヤマレンゲが、この2年で存亡の危機にいたるまでにダメージを受けたことは、この間の環境省の無策・不作為による人災だ、とするのはいい過ぎでしょうか?
現在、八経ヶ岳のオオヤマレンゲをみるために登山する人たちによって、逆に八経ヶ岳北側のオオヤマレンゲの惨状が広く国内外に発信されています。普段はみなさんの楽しい登山記録を読ませていただいているのですが、オオヤマレンゲのあまりの惨状に怒りを感じ、報告をあげさせていただきました。
追伸 八経ヶ岳周辺でオオヤマレンゲをご覧になりたい場合は、南へ約20分進んだ明星ヶ岳西側の防護柵による保護区まで足をのばす必要があります。20240704には、これから咲く蕾がいくつもついていました。
一昨年のオオヤマレンゲの時期に八経ヶ岳に登って余りにもの獣害?に驚きました。。。
その数年前には保護柵内の自生地にあった可憐な天女花が見るも無残でこのままでは全滅だなと感じました。 世界遺産の一部ですが、何とかならないものかと思っています。 もうこの時期にここに登るのは辛いので今年も去年も行ってませんが、さらに悪化してるようで悲しい気持ちです。
*2年前のレコです。保護柵内に鹿が居ましたが全く人を恐れる様子が見られませんでした。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4473152.html
老人の域にある私は、2022年は309号工事で行者還トンネル西口から登れず、オオヤマレンゲを観察できませんでした。satokunさんは90番から登られたのですね。他の方の報告も確認してますが、やはり2022年春以来、継続して鹿食害は続いているようです。小手先の対策ですまされているのが残念です。
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