冬の鳥海山

昔のヤマケイが古本屋に置いてあったので買って読んだ所、「厳冬期の百名山に昇る」というコーナーが面白かった。

単純に、アルプス・・・特に立山が日本で一番厳冬期登頂の難しい山だと思っていたがヤマケイでは幌尻岳、飯豊山、そして私の地元にある鳥海山がトップ３に選ばれていた。意外だった。もちろん、難しさの種類は色々あるんだろうけど。

厳冬期の鳥海山は高校生の時、月山森・・・もしかすると伏拝岳まで行ったかな？？エビのしっぽまで行って引き返した記憶があるんだが。まあ、厳密に言えば厳冬期って１〜２月の事らしいから、冬山合宿中（１２月下旬）に行った所は厳冬期として認められないかもね。

今朝、酒田の火力発電所近くを通りかかったら、鳥海山が姿を表していた。
ヤマケイによると鳥海山は厳冬期になると月に１日くらいしか天候の良い時間が無いらしい。そこが最も難しい所で、速攻登山がしやすい地元住民以外の人にとってはひたすら停滞に耐えなければいけないみたいだ。

私が一番、山の恐怖を感じた時は高校１年生最後となる春山合宿。当時所属していた部活は上級生不在だったので、１年生のうちから山で粋がっているような集団だっただろう（笑）。
万助小屋に一泊した後、雪洞を掘って二泊して万助に戻り、万助で一泊して帰る・・・といった計画ったかな。蛇石流か千畳ヶ原あたりのハーフパイプ状の地形の所をトラバースして、穴を掘ったはずだ。
酷かったのはその翌日。いきなりというかいつの間にかといったタイミングで、物凄い暴風雪に襲われた。天気が良ければ鍋森か外輪山まで行ってたんだろうけど、その日は停滞。幸い、よその山岳部が残していってくれた雪洞があったのでトイレの問題は何とかなったが、トイレに行くのだって一苦労。トレースが消えたら外に出ることすらやばかっただろう（赤旗は立ててたかもしれないが）。その夜はとても眠れる様な状態じゃなかった。
顧問の先生が火の付いたロウソクを立てて、「みんな、交代で出入口の雪を掻き出せ。放おっておいたら出入口が塞がる。このロウソクの火が消えたら全員を叩き起こす。」とみんなに言った。ご存知、ロウソクの火が消えたら酸欠で全滅してしまうからだ。
その時は、マジで帰りたいと思った。「一瞬だけでいい・・・手足を思いっきり伸ばして寝転がりたい！乾いた服を着たい！家に帰ったら春休みが終わるまでずーっと家でテレビゲーム（セガサターン）をやるんだ！！」そばに仲間がいなかったら泣き狂っていたに違いない（笑）。
翌日、ろくに眠れないまま朝を迎えて。外の様子を確かめた。ほんのちょっと吹雪が弱くなったかもしれないが、視界は３メートルくらいにしか感じない。しかし、下りないわけにはいかない。
赤旗を刺しながらホントこまめに「全員いるかー！！」と声をかけあって万助まで下りた。あまりにもしんどかったのか、実際は１０５分かかったみたいだが、４０分くらいしか経っていない様に感じた。
特に私は部員の中で一番、装備にお金をかけなくて、１７０００円の軽登山靴にホームセンターで揃えたシュラフなどの道具、インナーのほとんどが綿素材・・・という、雪山をナメた様な装備をしていた。今となっては話のネタになっているが、なるべくならあんな思いは今後したくない・・・というのが正直な気持ちだ（笑）。

厳冬期の鳥海山で気軽に行けるコースと言ったら二ノ滝氷柱と鈴木小屋くらいかな（笑）。積雪期しか行けない稲倉岳や観音森も魅力だが、今の自分じゃアプローチの時点で断念しそうだ笑）。

ヤマケイの記事を読んで、鳥海山は初心者から超上級者までの条件が沢山揃っている山なんだなって事を改めて知った訳だから、ますます鳥海山から離れられなくなってしまいましたね（笑）。

コメント

farmersatoh

RE: 冬の鳥海山
　初めまして。酒田市のファーマー佐藤です。

＞鳥海山は厳冬期になると月に１日くらいしか天候の
＞良い時間が無いらしい
　
というのは本当です。特に一月に於いては半日以上晴れる
日が全くない年もあるほどです。（近年では２０１０年）
厳冬期の鳥海山は猛烈な風雪にさらされるので、晴れる日
をピンポイントで狙わないと登頂は出来ません。ごく稀に
１月中で２日連続晴れることもありますが、それでも登れ
るのは風が弱い一日だけです。

　なので、この山の気象に精通した地元の岳人以外で
厳冬期に登頂するのは本当に難しいことなのです。

　逆に、前もって予定した山行で登れたとしたら、その人
はとんでもない強運の持ち主と言って良いです。

　とはいえ、天気にさえ恵まれれば技術的、体力的に特に
難しいということはありません。

nmgaro

RE: 冬の鳥海山
佐藤さん＞

はじめまして！！コメントありがとうございます！！ブログも拝見しました！！
４年連続の鳥海山厳冬期登頂ですか！！凄いです。その時の記録などをぜひともヤマレコにあげてもらいたいです。色々とこれからも教えて下さい。
ヤマケイの記事（シミュレーション）だと家族旅行村からの出発で２週間の停滞を経ての登頂になってましたね（笑）。