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カブト虫、アゲハチョウ、赤トンボ、アブラゼミ……再会する虫たちに心を躍らせる夏。
あっという間に自分の背丈を越していくヒマワリ。スイカを頬張りながら見上げる夜空に開く打ち上げ花火。どちらも大輪の花を咲かせる夏の風物詩である。盆踊り、水遊び……楽しみは尽きない。
学生の頃、いつもお天道様と熱さを競っていた夏。
炎天下のテニスコートには陽炎が立って、対峙する相手の姿が揺らぎ、気が遠くなりながらも、どこか暑さを楽しんでいる自分がいた。
ところが、歳と共に夏が苦手になってきた。感覚神経が衰えているのか、強烈な暑さを感じなくなった反面、体力の限界にも気づきにくくなっている。基礎代謝が落ちたからか、冷房の風が肌寒く感じる。心身に迫り来る老いを誤魔化すことができなくなっている。山登りを始めた身としては不都合だらけではあるが、それでも夏は捨てたものではない。
『夏は夕暮れ』
清少納言は、夕暮れは『秋』だと言う。確かにそれもいいが、夏はゆっくりと日が暮れていき、黄昏時がやけに長く感じられる。
この日も、山の端のシルエットの上に、朱とダークグレイのコントラストが鮮やかに広がり、やがて薄暮を迎え、群青色に変わった。
宵闇が迫るまでの間、暫しその光景に見入った。
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