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2016年03月06日 16:06未分類全体に公開

本当に保護し、育てていかねばならぬもの

閲覧注意、長いです(´_`;)
長文が苦手な方は『閉じる』か『×』をクリックし、見なかったことにしましょう

最初に、この表題は谷山稜氏の『若き日の稜線』という創作集の内容を引用したものです。
この中に『ハラッパ』という作品があるのですが、今回の体験はまさにその内容にピッタリだと思いました。ヒマならぜひ読んでみてください。Kindle版100円でとても安いし。

新潟県の角田山に『雪割草』が咲いたというレコがぼちぼち見られるようになり、毎年とても楽しみにしているので、どの程度咲いているのかを見に行ってきました。

私が登ったのはとある私有地を通るコースで、『スパイク長靴お断り』『ペット同伴お断り』等、入口に立て看板が複数立てられています。
本来、私有地ですから、厳密に言えば逐一所有者に登山の許可をいただいて登るのが筋なのでしょうが、現実的にはルールを厳守することで登らせてもらっているのが現状だと思います。
今はどうかわかりませんが、以前は良く花の盗掘の話題をweb上で何回か見たこともあり、来る人皆がルールを守れる人ではないようです。

そういう状況の中、今年も花のシーズンを間近に控えた今日、行ってきました。
朝早かったせいか、スタート時は誰にも合わず、陽光が充分でないためかまだ開き切っていない花を愛でながらのんびり登り、山頂は眺望が良くないので、陽も高くなって花も開いたであろうことから、すぐ下山開始。
思った通り下山時には花がほとんど開いており、見事な『雪割草』を楽しむことが出来ました。

写真を撮りながら降りて行くと時間がかかります。終盤では登ってくる登山者が多くなり、脇に避けて譲ったり、譲られたりといった状況になりました。
ある方々が脇に避けていただいていたので、「すみませーん」と言いながら通過しました。もちろん特別なことは何も感じない数歩でした。
怒号が響き渡ったのはそれから3〜4秒後、一発目が何と言われたのかよく覚えていません。当然です、自分のこととは思わなかったので。

おそらく「どこ踏んでんだおまえ!」「今どこ踏んだ!」とか、そういう内容であったかと思います。
自分のこととは思わなかったので、「あーあ、面倒な人に絡まれた人がいるなぁ」程度で振り向きもせずに進みました。そこで第二声です。
「返事はなしか!」
これはその通りこう言われたと思います。誰も返事をしなかったので、まさかとは思いましたが振り返ってみたら、60代くらい?のおじさんがこっちを向いて睨んでいます。

「今ここ踏んだろ!」
「どこどこ」

特別何か踏んだという意識もないし、この登山道に延々と張ってあるロープをまたぎ超えたわけでもなく、彼のいう場所を見てみたところ、私には人を避けながら通過するには充分あり得る場所のように思えました。もちろん登山道内ですし、花があったというわけではありません。まぁ花はなくても、とある微小な草はあったかも知れませんが。
その場所はたまたま樹木や坂等の関係か、ロープがない場所です。ですので判断が微妙な場所でもあるのですが、普通『常識に則って』判断すれば、別段問題ない場所に思えます。

「ここは守られて育てられているんだよ。踏んだらだめだろ!」
角田山に登る人で、おおよそ知らない人などいないであろう内容のことを、相変わらずすごい剣幕で怒鳴ってきたので、
「人を避けてんだし、そこまで言うこともないでしょ」
と返したら、
「うるさい!ばかやろう!」
そう言って振り返り、また登っていきました。

いやはや。
色々考えさせられました。

まず第一に、『物は言いよう』です。あの言い方で良い方向に話が進むとは到底思えません。

そして第二に、植生を守るというのは良いけど、あまりに極端過ぎる考え方であろうかと思われます。
登山道内でも、そこに花があったら踏ん付けていく登山者などいるわけがありません。それが何の変哲もない草でも一緒かと思います。少なくとも私はそうしてきましたし、この場合も植生を著しく害するような場所を踏んだ意識はありません。
が、この人の認識は違ったのでしょう。
厳しすぎる・・・それなら山に来ないのが植生には一番ですよ、と言いたくなります。


最後に何より、『ハラッパ』の中のこの一文を引用します。

「彼は正義感に燃えているのだろう。そしてLのような”えもの”をやっつけては、自分の存在意義を自賛しているのかも知れない。
ズーム君の言うことは正論だ。しかし、こんなやり方でやり込められた相手が自然を慈しむようになるだろうか?
ズーム君の場合、自然を保護するための行動そのものが「目的」となってしまっているのだ。これは重大な錯覚であって、時として単純な精神的暴行につながり得る。その場合、踏みにじられるのは草花ではなく人の心である。
踏まれた人の心は、向こう二年どころか、多分一生開かない。
我々が本当に保護し、育ててゆかなければならないものは、なんだろうか。」


まぁ私はメンタルが割と太い方なので、こんなことで山が嫌いになったり、角田山に行かなくなったりはしませんが。
たまたま、登山初心者でこれからどんな良い体験が出来るのかと心躍る若い方々が、いきなりこの体験をしたら、どうなってしまうんでしょうか。


※引用が著作権等に問題がありそうなら削除しますので、指摘いただければ助かります。
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コメント

RE: 本当に保護し、育てていかねばならぬもの
花を見に行きひどい目に会いましたね。
たまにこういう人がいるんです。
世間の常識を超えて自己を主張する人が。
かわいそうな人だと思ってください。
それにしてもきれいな雪割草の写真でした。
ありがとうございます。
2016/3/6 18:05
RE: 本当に保護し、育てていかねばならぬもの
そんな事があったんですね
まったく同感です!
2016/3/6 18:08
RE: 本当に保護し、育てていかねばならぬもの
SM100Cさん、こんばんわ。
本人は正義感からやっているでしょうけど、
確かに物は言いようだし、、
自分だけの正義を一方的に振り回されても
周囲は不愉快なだけですね。。
登山者が増えるにつけ、マナーの悪い
登山者も相対的に多くなり、
つい声を荒げたくなる気持ちもわかりますが、
注意する側のマナーにも気をつけたいものです。
2016/3/6 18:22
ゲスト
iiyuさん
ほぼ事故みたいなもんだと思います

奥様の様なお連れさんがいらっしゃったのですが、
だんまりでしたね。
あの調子なら、山頂までにやり込められる人が
数名出そうな勢いでした( ´ _ `; )

トラウマにならなければ良いんですけどね…
2016/3/6 19:07
ゲスト
bamoさん
早起きすれば滅多に出来ない経験が出来ます
オススメしますよ
2016/3/6 19:09
ゲスト
k-yamaneさん
コメントありがとうございます!

人それぞれ自分の正義がありますよね。
それによって自分を律する基準を自らに課すわけだから、それ自体は素晴らしい事だと思うんです。

でも「うるさいばかやろう!」は正義とも違うんじゃないかと。
人と人との初めての会話で出てきて良いものじゃないと思いますので、改めて思い返すと今頃腹が立ってきました

こういう事について考える良い機会であったとは思います。
2016/3/6 19:20
RE: 本当に保護し、育てていかねばならぬもの
こんばんわ
罵声を浴びせた方のお気持ちもわかると言えばわかりますが、要は表現の仕方ですよね

生活や仕事の中でも「もっと違う言い方すればいいのに・・・」と思うことがたくさんあります

少なくとも同じ山を歩くのですから、もう少しだけ配慮した話し方が出来ないものなんですかね・・・

少なくともそうはなりたくないものです
2016/3/6 21:51
ゲスト
air_4224さん
こんばんは、初めまして!

言い方一つで結果が変わる事は、日常いくらでもありますよね。
しかし今回の場合、罵声ですからね…教育的効果を期待して発せられたものとはとてもかけ離れています。

こちらも今後、さらに注意した歩き方をしようとは思いましたが、まるで大罪人の様な扱いにはウンザリでした
2016/3/7 0:39
現場に居合わせたものです(^_^;)
はじめまして。
同じ日に角田に登り、実は事件の現場に居合わせたものです(^_^;)
あの方は、あの辺一帯の登山道と植生を整備保護するのに年間200日以上入っている方のようです。
あの日、SM100Cさんとすれ違うまでに、写真を撮ろうとした年配の女性にも「おいあんた!ヒモ引っ張ったりするんじゃないよっ!!!」と怒鳴っていらっしゃいました。
前日会った友人は、にこやかに接してもらったようで、日曜日で登山者も多く気が立っていたのかもしれませんね(^_^;)
とはいうものの、現場にいたものとしては「あれはねーろ」というのが感想です。
怒鳴られるようなすれ違い方もしていないと思いますし、怒鳴られるようなところに足を置いてもいなかったと思います。
「返事くらいしろ!」というあたりから本題とはかけ離れてしまっていたので、これはもう事故というか、、不運としか。。
だいたい、あんな頭ごなしに怒鳴りつけて、考えを改める人間はいないと思います。
登山を始めたばかりの人も多く登る山と時期です。最初の山であれを食らったら、私なら山登りやめちゃうかもしれません。。

それにしても、レコはあげてませんが、同じ日に角田に登り、2/11は私も唐松岳に登りました(笑)唐松岳は登頂したものの、一番上のリフトは間に合わず、二番目のリフトはギリギリで、猛烈なシリセードで間に合いましたw
奇遇ですね(笑)
2016/3/7 19:27
ゲスト
TAKSPEEDさん
初めまして、こんばんは。
そして現地に居合わせての貴重な客観的判断、ありがとうございます。

いちいち一歩一歩の記憶などしていようはずもなく、しかしながら特に不本意に思いながらも足を置いた記憶もないので大丈夫とは思いましたが、客観的にこうして判断していただけると、やはり自信回復になります。
あの自信満々な罵倒、もしかしたらわからずにまずい所に足をついた可能性もないではないので。

200日も被害の出る可能性がある山域なんですね。
たいへんだ…

自治体か国が『自然保護官』とか適当な肩書きを用意し、相応の知識と人格を見る試験に合格した者しか出来ない職種にしてほしいものです。
気分で人を怒鳴るような人が、まともな判断をしているとも思えませんし。

何だか奇遇ですね!
同日唐松に登られたとは羨ましい…というかあれは私の大失敗で諦めるハメになったので自業自得ですが

今度はどこかで事件に巻き込まれる事なく、笑顔でお会いできればと思います。

たいへんありがとうございました( ´_` )
2016/3/7 22:04
RE: 本当に保護し、育てていかねばならぬもの
SM100Cさんこんばんは。
bicycleです。
先ほどは当方レコへのご訪問ありがとうございました^^

これはエライ人と遭遇しちゃいましたね...
山に限らず、仕事でも日常的にこういう事に近いシチュエーションはありますが、おっしゃるとおり初めて興味を持って山への第一歩を踏み出した人なんか、一発で山が嫌いになってしまうのではないかと思います

実は、僕も昔にですが、これに近い経験があります。
踏む場所とかではありませんが、玉原高原で熊鈴を付けて歩いていたら、突然60代くらいの単独男性に「うるせぇ!」って怒鳴られました
季節も秋だったし、子供も連れていたし、なにしろ玉原は熊の目撃情報がとても多く、、、

当時、まだ山の経験が浅かった自分には、熊鈴は付けて歩いたら怒られるんだっ...と誤解してしまい、あの日以来一度も鈴をつけて歩いたことはありません。

けれど、熊が出てから鳴らしても意味ないしなぁ...
と気づいたら、やたらと腹ただしくなったりしたときもありました

ルールは大切ですが、なぜルールがあるのか。
みんなが気持ちよく楽しめるためにではないのか?
考えさせられます。

これからも、フィールドを歩くすべての登山者が、
お互いに気持ちよく、そして素晴らしい経験と感動に出会えることを、切に願うばかりですね
2016/3/8 20:44
ゲスト
bicycleさん
こんばんは、コメントどうもありがとうございます!

今回の件で色々考え、bicycleさんのクマ鈴の件でも思った事ですが、踏んだ踏まない、うるさいうるさくない、の前に、人が人にものを言う時の言い方、これが全ての始まりですよね。

どうして人を罵倒するのか。
どうして見下すような言い方をするのか。
どこにそんな必要があるのか。

人格を疑わざるを得ないような言い方をする人が言う内容に、効果などあるわけがありません。

しかもおそらく、そういう人は一生、その考え方に改善はないのでしょう。

結局は相手にするだけ無駄、さっさと適当にあしらって退散するのが一番だと思います。
2016/3/8 21:22
RE: 本当に保護し、育てていかねばならぬもの
SM100Cさま
拙著をお読みいただき誠にありがとうございます。
このような問題が今後増えないように願うばかりですね。私も、山に来てくれた人たちが、もっと山を好きになってくれるような接し方を、心がけたいと思います。
2016/3/22 17:38
ゲスト
RyoTaniyamaさん
谷山さんご本人ということでよろしいでしょうか。
もしそうでしたら、まずはこの件で御作品中の一文を無断引用しており、謝罪申し上げます。
大変申し訳ありませんでした。

そして著作権等で問題がございましたら速やかに削除しようと思いますので、お手数ですがご連絡いただければと思います。

それはともかく、『ハラッパ』はとても感銘を受けた作品で、尚且つ身近な問題として降りかかってきたこの出来事がまさにこれだ、と思ったんです。
自然保護の名の下に人を怒鳴りつけたり、正論でやり込めたりというのはやはり間違っている、とはっきり体験しました。
人に優しく出来ないなら、優しくされなかった人もまた、人にも自然にも優しく出来ませんね。
貴作品を読ませていただいて本当に良かったと思いました。

今後もじわじわと他の作品も読ませていただきたいと思っております。
お変わりないご活躍をお祈り申し上げます。
大変ありがとうございました。
2016/3/22 23:19
Re: RyoTaniyamaさん
谷山稜でございます。ブログでの引用はまったく問題無いと思います。むしろありがたい限りです。そしてなによりも、作品を深く読んでくださいまして、誠にありがとうございます。今後もご活躍くださいませ!
2016/3/24 0:27
プロフィール画像
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