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「春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ あまのかぐ山」
頭書(上部の解説)
「此心は卯月朔日ころもがへ
の御歌也。春すき夏にもなれ
バ、よも山のかすミなどみな立
さんじ、山のあらハに見ゆるを、
しろたへのころもほすとハ云う
なり。山も人と同じくころもをぬ
ぎてほしたると云心也。むかし此山へ
天人くだりて、衣をかけほしたりし
ゆゑあまのかぐやまとハよめり。
天のかぐ山ハやまとの国十市
のこほりにありといふなり。」
雑感
この有名歌の一般的解釈がどうも腑に落ちない。
現代の解説書はどれも天女伝説をひき、香具山山腹に天女の白妙の衣が干してあるので夏が来た(実景歌的)、というものばかりだ。
更衣の象徴としての干し衣説は香具山自体の神格をないがしろにしていると思う。
前回の山姫和歌に見られるように、古来山は神格そのものであった。
主体を香具山イコール女神と見て、女神が春霞(白妙の衣)を干してしまって(無い)ので藤原京からも山姿がはっきりと見えるという心象風景が妥当ですっきりした解釈だと思う。
少なくとも江戸時代後期からこの解釈が存在することは間違いないのだし。
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