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2011年12月05日 00:26奥秩父全体に公開

奥秩父の浪漫は尽きない

平成七年の春に赤沢谷を辿って野営した。
遠くに鐘の音が響いて目が覚める、
空は白み夜明けは近く昨夜の深酒で喉はからからに渇き寝袋から手を伸ばして水を持ち貪るように流し込む。
野営地は荒川源流部・入川の大支流赤沢谷とモミ谷出会い、
鐘は相変わらず鳴り響いているが、
近くに寺などある筈も無いので気にもせず二度寝を決め込み寝袋に潜った、
鐘の音はその後十数回モミ谷上流から鳴り響いていた。

数ヶ月後、
赤沢出会いから入川本流を沢通しに辿って初めて旧柳小屋に泊まった夜、
同宿の年配者から「柳小屋上(北方向の尾根)に昔金鉱集落と寺があったようだ」と聞かされたのは同年秋であった。

近年、柳小屋上の北方向の尾根に「モミ谷の頭」というピークがあり、
その付近に400年位前に建造された清光寺という寺跡と、
バクチ小屋なる集落が過去に存在したと知る。
バクチ小屋とはいかにもな名称だがこの近辺には賭け事に因んだ地名が多いのが特徴である。
八丁の頭・八百・胴木小屋沢・バラクチ尾根等、
昨年日本テレビ社員二名が亡くなり遺体が発見された滝川の金山沢上の直蔵淵は「賭博で一人勝ちした直蔵が突き落とされ、溺死した」という由来がある。甲斐武田信玄の時代より荒川の金の歴史は最源流部の股の沢金山が古く、
これは黒川金山の枯渇により金山衆(山師)がはるばる出向いてきて開発をした模様で、
ここより荒川下流には金山沢といういかにも金脈がありそうな沢も存在し、
奥山のモミ谷の頭付近に集落や寺があったのは金鉱があったからと想像して難くない。
人里離れた奥山での楽しみといったらは酒とバクチ位しか無かったのであろう。

最近、モミ谷の頭付近のバクチ小屋と清光寺跡を探索した方はいるが400年程前建造の寺跡・70年前の小屋跡は自然と同化して痕跡を発見できなかった様子。
それならばせめてモミ谷の頭に野宿すれば以前に「赤沢谷とモミ谷出会いで聞こえた古の鐘の響きを再び聞く事ができるかもしれない」と、
思いを馳せて野営したが破風山からの烈風が山を切り裂く音だけが轟き思いは叶わなかった。

モミ谷の頭で熱燗はいかが♪/超バリエーション/単独/秩父川又〜赤沢出会〜モミ谷の頭で野営
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