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神秘の池を生み出した北アルプスの活火山

"焼岳"
"焼岳"

焼岳は北アルプス南部の活火山で、長野県松本市と岐阜県高山市にまたがります。南北にピークを持つ双耳峰で、北峰は標高2444m、南峰は標高2455mです。最高地点は南峰ですが、現在立ち入りが禁止されています。北アルプスの前衛峰に位置付けられており、また日本百名山の一座です。

"焼岳北峰"
"焼岳北峰"

山頂部は溶岩ドームで、ごつごつと盛り上がる姿は遠くからでも際立っています。「焼岳」という名の由来は、山肌が赤茶けて焼けただれているように見えるからとされます。かつては岐阜県側で「硫黄岳」とも呼ばれており、どちらも火山活動が由縁です。現在も盛んに噴煙を上げており、「北アルプスの香炉」と形容されます。

常時観測対象の活火山

"上高地"
"上高地"

焼岳火山群は焼岳を主峰とし、割谷山(わるだにやま)、白谷山(しらたにやま)、アカンダナ山などで構成されます。中でも焼岳、アカンダナ山は活火山で、気象庁は焼岳を24時間体制で監視しています。
はるか昔の白谷山の噴火では、東の麓に土砂が堆積し、梓川の谷間に広い平地を形成しました。この平地は現在「上高地(かみこうち)」と呼ばれており、日本有数の山岳リゾート地として名を馳せています。

"大正池"
"大正池"

1907年(明治40年)から1939年(昭和14年)は火山活動が活発でした。大小ありますが頻繁に噴火が発生しており、東京にまで降灰をもたらすこともありました。1915年(大正4年)の噴火は規模が大きく、上高地を流れる梓川が堰き止められ、大正池と田代池が出現しました。大正池の水面は、水没して立ち枯れた木々が突き出ており、独特の美しさを放ちます。朝もやがかかるといっそう神秘的で、上高地でも指折りの撮影スポットです。
1962年(昭和37年)の噴火では旧焼岳小屋が倒壊し、以降は1992年(平成4年)まで入山が禁止されていました。
1995年(平成7年)には、南東の麓「中の湯」近くの道路工事現場で水蒸気爆発を起こし、作業員4名が犠牲になりました。

荒々しい山頂部

"焼岳南峰と正賀池"
"焼岳南峰と正賀池"

焼岳の山頂付近は、火山岩に囲まれ荒涼としています。北峰は南と東に噴気孔があり、その周りは黄色い硫黄がこびり付いています。北峰と南峰との鞍部には小さな火山湖「正賀池」があり、エメラルド色に輝きます。その近くには、新火口のインキョ穴が底知れない深さで口を開け、迫力を感じさせます。

"焼岳北峰:笠ヶ岳を望む"
"焼岳北峰:笠ヶ岳を望む"

"焼岳北峰:槍・穂高連峰を望む"
"焼岳北峰:槍・穂高連峰を望む"

眺望は良く、北峰からは360度の展望が得られます。蒲田川を挟んだ向かいには、笠ヶ岳がどっしりと立ちます。槍・穂高連峰や霞沢岳、乗鞍岳、御嶽山などもよく望め、眼下には上高地が見渡せます。

縦走の定番ルート(中の湯〜焼岳〜上高地)

"モデルコース(中の湯〜焼岳〜上高地)"
"モデルコース(中の湯〜焼岳〜上高地)"

6時間16分/9.3km
焼岳登山口(108分)→広場(95分)→焼岳(北峰)(41分)→中尾峠(17分)→焼岳小屋(96分)→田代橋(19分)→上高地バスターミナル

"樹林帯"
"樹林帯"

ポピュラーな登山口は「新中の湯登山口」と「上高地」です。これらを繋いで縦走すれば、変化に富んだ行程を楽しむことができます。(登山口:新中の湯登山口上高地バスターミナル
中の湯温泉旅館からやや上がった場所に、新中の湯登山口があります。
序盤は樹林帯の登りです。大きなブナが立ち並ぶ林を過ぎると、シラビソなどの針葉樹林に変わります。所々に丸太が敷かれていますが、降雨後はぬかるみが多く注意が必要です。

"広場より望む焼岳"
"広場より望む焼岳"

視界に山頂部を捉えると間もなく「広場」です。ベンチがあり、焼岳を望みながら休憩することができます。周囲はダケカンバやナナカマドが茂り、特に紅葉の時期は見応えがあります。

"岩場の登り"
"岩場の登り"

笹原の斜面を登り、眼前の溶岩ドームを目指します。しだいにガレ場となり、鋭い岩がごろつくつづら折れとなります。

"焼岳北峰直下"
"焼岳北峰直下"

北峰と南峰を結ぶ稜線に着けは、真下に望むのは正賀池と火口壁です。北峰へは、右からやや巻くようにして至ります。近くの噴出口はシューっと音を立てて白いガスを吐いており、時折、硫黄臭が漂います。

"中尾峠へ向かう稜線"
"中尾峠へ向かう稜線"

登頂後は、展望の良い道を下り中尾峠へ向かいます。
穂高連峰をつい見遣りがちですが、道がザレているため落石と転倒に注意です。
焼岳小屋は凹地に建っており、樹林に囲まれています。味わいのある佇まいで登山者を迎えます。

"ハシゴ場"
"ハシゴ場"

笹原を過ぎると、鎖場とハシゴ場がいくつかあります。ハシゴ場は長くて傾斜が強く、なかなかの高度感があります。冬季は、梯子は取り外されるため通行することができません。
梓川の畔に出れば、終着地点は間もなくです。
登山口 新中の湯登山口
上高地バスターミナル
中尾温泉登山口
新穂高温泉駅
基本情報
標高 2444.3m
場所 北緯36度13分42秒, 東経137度35分22秒
カシミール3D
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