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更新日:2016年03月12日 訪問者数:12956
ジャンル共通 技術・知識
山登りにおけるエネルギー消費と摂取カロリーについて その1消費カロリー編
Gatti
山に行かない週末はジムで、有酸素・無酸素を織り交ぜて4〜5時間のトレーニングを行って体力に維持に努めていますが、年々体力の衰えを感じています。
2年前程に12kg程度のダイエットに成功し、体重や体脂肪率を維持していますが、体重減の効果で、ダイエット前に苦しんでいた下りでの関節痛はウソのように改善しましたが、体脂肪量が減少したせいか(体脂肪率は24%から現在18%)いっそうバテを感じるようになり行動食の大切さを感じています。
そこで、ダイエットを行う時に摂取カロリーについて調べたことを、今度は山登りに活かしてみようと思いましたが、ダイエットは摂取カロリー(kcal)を気にしていればよかったのですが、山登りはカロリーだけではなくて、そのの内訳(炭水化物や脂質、タンパク質などの配分)も考慮して行動食を決めていったほうがより効果的ですので、山に持っていきそうな食品(日帰りやテン泊用)の成分を調べてまとめてみました。

とはいってもまずは登山によってどのくらいエネルギーを消費するかわからないことには、摂取量も決めることはできません。
そこで基礎代謝と登山時の消費カロリーについてまとめました。
基礎代謝について
登山時の消費カロリーを調ベる上では、まず自分の基礎代謝を知る必要があります。
行動時に代謝するエネルギーも、この基礎代謝が基になるからです。
基礎代謝とは何も身体を動かしていない状態、安静な状態で心臓を動かし呼吸をしたり、体温調整したりといった 生命活動を維持する上で最低限必要なカロリー消費量のことをいいます。 検索サイトで「基礎代謝」と調ベると体重や年齢を投入すると基礎代謝を計算してくれるところが多数ヒットしますが、 得られた結果は様々でどのサイトの数値を信用していいのか良くわかりません。
まずは手始めに、現在公になっている基礎代謝の計算式を調ベてその結果を求めてみました。
基礎代謝の計算方法と結果
一般的に使用されている計算式は以下の7種類なようです。

1.厚生労働省による計算式
日本人の食事摂取基準(2005 年版)基礎代謝基準値に元の計算
基礎代謝量=基礎代謝基準値×体重(kg)

2.ハリス・ベネディクト(Harris-Benedict)の計算式
男性: 66.473+(13.7516×体重)+(5.0033×身長)−(6.7550×年齢)
女性: 655.0955+(9.5634×体重)+(1.8496×身長)−(4.6756×年齢)

3.ハリス・ベネディクト方程式(日本人版) 計算式
男性:66+13.7×体重(kg)+5.0×身長(cm)−6.8×年齢
女性:665.1+9.6×体重(kg)+1.7×身長(cm)−7.0×年齢

4.国立健康・栄養研究所の計算式
国立健康・栄養研究所の式(
基礎代謝量男性=(0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)-0.0138×年齢-0.423)×1000/4.186
基礎代謝量女性=(0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)-0.0138×年齢-0.9708)×1000/4.186

5.国立スポーツ科学センター(JISS)の計算式
基礎代謝量=28.5×除脂肪体重
除脂肪体重=体重-脂肪量
脂肪量=体重×体脂肪率

6.Schofield の計算式
30〜59歳
基礎代謝量男性=(0.048×W+3.653)×1,000/4.186
基礎代謝量女性=(0.034×W+3.538)×1,000/4.186

7.WHOの計算式
30〜59歳
基礎代謝量男性=(47.2×W+66.9×H/100+3,769)/4.186
基礎代謝量女性=(36.4×W+104.6×H/100+3,619)/4.186

1については身長を加味していないのである程度の精度しかないので除外して
2〜7について自分の年齢や体格に当てはめて計算してみました。
結果は以下の通りです。

  2の結果 1,470.9 kcal
  3の結果 1468.7 kcal
  4の結果 1,450.7 kcal
  5の結果 1,875.1 kcal
  6の結果 1,640.9 kcal
  7の結果 1,683.6 kcal
一番大きい数値結果だったものは、国立スポーツ科学センターで1875.1kcal。
一番小さな数値結果だったものは、国立健康・栄養研究所で1450.7kcalでした。
実に424.4kcalも差 摂取カロリーとしておにぎりにすると2個半分です。
ダイエット目的で消費カロリーを調べている人にとっては大きな数字です。

全体的な傾向とすると
 年齢が増加すると基礎代謝は減少・・・骨格筋が衰えるため
 身長が長くなると増加・・・・・・ 体重が同じでも身長が高いと表面積が増えると
                  熱放散量が増加するため
 体重が増加すると増加 ・・・・・・筋肉、脂肪へのエネルギー供給が増加するため

どれを選択するかですが、
2.6.7は国際的に使用されている計算式で欧米人向けの計算方法なので、日本人にはあわないようです。
5は唯一、体脂肪率を加味していますが、他の文献等をみてもここまで影響を受けないようです。
残りは3と4については18kcalしか違わないのでどちらでも良いのですが、厚生労働省の検討会の結果を読むと、4の国立健康・栄養研究所の計算式の妥当性が確認できているとのことでしたので、この式をもとに計算しました。
身長も加味して計算しなければいけないのですが、パラメータが多くなってしまうので、最新の平均身長、男性は168cm 女性は155cmの設定で1時間あたりの基礎代謝量として表にまとめてみました。
この基礎代謝がどこで消費されているかというのが下のグラフになります。
骨格筋で21.8% 肝臓で21.2% 脳で20.0%
骨格筋28kgに対し、ほぼおなじエネルギーを消費している肝臓は1.8kg脳は1.4kgなので、どれだけ一日中仕事をしているのか恐ろしい消費量です。
脳は寝てる間にその日のことを記憶するために働きつづけ、肝臓はエネルギーを産生し毒素を打ち負かしています。
こういうことを勉強すると一つ一つの臓器を大事にしていこうという気持ちが湧いてきます。
活動代謝について
基礎代謝に日常生活の活動レベルを3段階に分けて加算したものが1日の消費カロリーです。

レベル1 :低い基本的に座っていることが多く、自らはもちろん通勤や買い物などの移動も少ない生活。

レベル2  普通座り仕事でも通勤、または仕事によっては立ち仕事や移動などが含まれる、または家事・買い物や 自ら軽い運動などを行う生活。

レベル3  高い立ち仕事を主とする人、または活発な運動・スポーツを習慣的に行なっている人。
これを基に厚生労働省が算定した各年代の1日に必要な工ネルギーが下の表になります。
今までは自分の年齢や体重でしか見てきませんでしたが、まとめてみるといろいろと
男女の違いがわかります。
男性は15歳〜17歳がピークですが女性のピークは12歳〜14歳です。
男性はピークを過ぎると下降するだけですが、女性は18歳〜29歳よりも30歳〜49歳のほうが
必要エネルギー量は増加しています。
もうひとつ興味深いデータが記載されていました。
「観察疫学研究において報告された総死亡率が最も低かったBMI の範囲(18 歳以上)」

年齢を重ねていくに従って、BMIが高いほうが死亡率が低いというデータです。
逆に言うと、高齢者は上の表のエネルギー必要量が不足しているのかもしれません。
年をとっても、しっかり食べて運動する習慣を維持したいですね。
自分が行っているジムにも年配の方で自分より重いウエイトを上げたり、とても体が柔らかくて、横でストレッチするのをためらってしまうような方がたくさんいらっしゃいます。
自分も頑張らねば!
登山によるエネルギー消費
やっと本題にきました。

活動による工ネルギー消費はMETs係数を使用します。
こちらも2つ計算式がありました。
一つ目は 1.05×METs×体重 (kg)×行動時間 (時)
二つ目は  基礎代謝 × 1.2 × (METs - 1)× 行動時間 です。

一つ目は体重とMETs係数を掛けていますが、この計算方法では、年齢の差が出せません。
METsは年齢や性別の影響を受けないと書いてあるサイトもありましたが、基礎代謝が違うのに関係ないはずはありません。

二つ目は基礎代謝に1.2(安静時のエネルギー消費率)を掛けて計算していますので、年齢性別の影響を受ける計算式ですので、こちらを選択して計算しました。

METsの基となっているのは酸素摂取量です。
安静時における体重1kgあたりの酸素摂取量3.5(mL/kg/分)を1METとして、運動強度と体重をかえて必要エネルギーを算出する方法です。
国立健康・栄養研究所で各生活活動や運動によるMETsを定めて一覧表になっています。
Pdfファイルのリンク先をのせて行きますのでご参照ください。
(2012年改訂版) 登山は登撃角度ではなく、装備重量でレベル分けをしています。(登山とは別にハイキングの分類もあります)
いくつか例を載せますが、詳しくは下のリンク先のpdfファイルをご参照ください。
自分の体重で計算してみます。2月にいった夢科山はザック重量8kgなので7.3METs、休憩除く行動時間は5時間でした。 
消費工ネルギー =  基礎代謝 63kcal/時 × 1.2 ×(7.3-1)×5時間 = 2,381kcal 
1時間あたり476kcalの消費カロリーという結果が得られました。

行動中以外の19時間についても、基礎代謝の他に車の運転や電車やバスの移動によって工ネルギーを 消費します。 活動レベルI程度を参考に登山時間以外の消費力口リーを調ベればその日1日に消費される 工ネルギーを調べる事ができると思います。

登山の項目の0-4.1kgから19.1kg以上の4種類について体重別に1時間あたりの消費カロリーをこの計算式を使って表にまとめてみました。
範囲を設けていますが、計算した消費カロリーの70%〜100%を表示しています。
とても消費カロリーの100%は摂取できないので、不足した文は体内にあるグリコーゲンや脂肪を消費しますが、少なくても70%は経口摂取が必要と紹介しているサイトを参考にしました。
0-4.1kgの荷物を持って山に登る METs6.5
近くの1000m級の里山へ登るイメージでしょうか。
4.5-9.1kgの荷物を持って山に登る METs7.3
2500〜3000mの日帰り登山用の設定です。
9.5-19.1kgの荷物を持って山に登る METs8.3
小屋泊〜夏のテント泊はこのくらいの重さ?
19.1kg以上の荷物を持って山に登る METs9.0
2泊以上のテント泊用。
昨年涸沢でテントで2泊した時はカメラ・三脚込で22kg程度でした。
以上、消費カロリー編終了です。
次は栄養素と各食品の成分表を調べたのでまとめていきたいと思います。
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この記録へのコメント

登録日: 2015/11/10
投稿数: 1
2016/3/23 16:21
 登山中のエネルギー消費について
素晴らしいシリーズ記事ですね! 基礎代謝量の計算式がいろいろあって、数値にけっこう幅があるのに驚きました。

実は登山中のエネルギー消費についても専門家が提唱している式があるようです。

ヤマケイ文庫「トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか - 低体温症と事故の教訓」(羽根田治・飯田肇・金田正樹・山本正嘉)の281ページにそれが「図 登山における行動中のエネルギー消費量の推定式(中原ら:登山医学, 26巻, 2006)」として以下のように紹介されています。

行動中のエネルギー消費量(kcal)=
[1.8×行動時間(h)+0.3×歩行(鉛面)距離(km)+10.0×上り累積標高差(km)+0.6×下り累積標高差(km)] × [体重(kg)+ザック重量(kg)]

これは行動中のみの消費量です。また、風の強さや登山道のコンディションによってさらに数値が大きくなることなど、いくつか注意点も書いてありました。ご参考になればと思います。

ちなみにAndroidアプリ「山とも」は、アプリで作成した登山コースからこのエネルギー消費量を自動計算できるようにバージョンアップの準備中です。これは宣伝でした!
登録日: 2014/8/10
投稿数: 30
2016/3/24 20:55
 Re: 登山中のエネルギー消費について
gogo3776 さま
コメントありがとうございました。
Androidアプリのプログラムを組む方に褒めて頂くなんて感激です。
ありがとうございます。

もともとは、自分の行動があまりにも無計画で情けないので、きちんと歩行スピードやエネルギー補給を考えようと思い調べ始めましたが、ネットをあちこち見て回ると、同じようなことを考えていらっしゃる方も結構いるようなので、ヤマレコユーザーの方にも少しは役に立つかと思いノートにまとめて公開をしてみました。

さっそく、教えていただいた計算式で2/28日の蓼科山登山での消費カロリーを計算してみてみたところ、METs法より少な目の1500kcal強の結果となりました。
自分がノートに記した方法では登りも下りも同じMETs値をを使うので、教えていただいた計算式の登りと下りの係数を同じにすると、ほぼ同一の2000kcalといったところでした。
gogo3776さん のおっしゃる通り、同じ標高差でも疲労度の違う山がありますので、自分の身体能力に合わせて食料や水は十分に確保して登りたいですね。

「山とも」のエネルギー消費量の自動計算はとても魅力的ですね。
ジムでトレーニングをする際に心拍数をBluetoothで飛ばして消費カロリーを計算していますが、アプリによって結果が大きく違ってしまって、山でどれを信じていいかわからない状態ですので、その機能があれば一つの貴重な目安となりそうです。
完成を楽しみにしています。
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