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更新日:2019年09月29日 訪問者数:1390
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山歩きでの男性と女性の特徴(歩行スピード&男女間の単独行比率)
Swan_song
山歩きにおける男性と女性の特徴の違いを歩行速度及び男女間の単独行者割合の面から,ヤマレコに公表されている山行記録を解析することによって明らかにしました。
山ガールという言葉が流行り出して,もう何年も経ちます。

お洒落な服装やグッツを身に付け,山の中を颯爽と歩く女性を多く見受けられるようになって久しくなります。
山頂で談笑をしている女性達を見ると,みんなとても元気で,人生を謳歌していると感じます。

一方,最近の男性陣は,昔と比べなんとなく元気がないように見えます。
そして,男性は単独行で哲学的に?歩いている人が多く,女性は複数行で賑やかに歩いている人が多いように感じます。
このことが,女性の方が元気に見える要因なのでしょうか?

元気さは,歩くスピードにも影響します。
しかし,一般には,男性は女性に比べ体力があると言われています。

そんな中,男女間において山で歩くスピードはどのくらい違うのか?
そして,男女間の単独行比率はどのようになっているのか?という疑問が生じました。

そこで,ヤマレコで公表されている山行記録を基に,統計的手法により解析し,それらの疑問を明らかにしました。


1 解析方法

1. 1 対象コース

対象コースは,ヤマレコで多くの記録が残されているそれぞれ特徴が異なる5コースを選定しました。

(1) 武甲山 表参道コース(一ノ鳥居〜武甲山)(写真1)
(2) 塔ノ岳 大倉尾根コース(大倉〜塔ノ岳)(写真2)
(3) 谷川岳 西黒尾根コース(西黒尾根入口〜トマノ耳)(写真3)
(4) 北岳 草すべりコース(広河原〜白根御池〜北岳)(写真4)
(5) 白馬岳 大雪渓コース(猿倉〜白馬岳)(写真5)

それぞれのコースの特徴(距離,標高差,平均勾配及び標準コースタイム(CT))を表1にまとめました。
写真1 武甲山からの展望
武甲山頂上の展望台からは,秩父市街が一望の下です。
写真2 塔クンのモルゲン
かつて塔ノ岳のアイドルだった塔クン。塔クンに会いに苦しい大倉尾根を登ってきた人は少なくないはずだ。
写真3 もうすぐ谷川岳頂上
苦しい西黒尾根を登り,ついに特徴的な分岐標識が目前です。急登もあと少し。頂上に立てば絶景が待っています。
写真4 北岳の夏山風景
北岳の頂きは,近くに見えますが,実際はまだまだ千メートル以上の標高差があります。草すべりコース,右俣コース,大樺沢コース・・・どのコースをとっても苦しい急登が待ち構えます。
写真5 白馬大雪渓
山の愛好家ならだれもが憧れる白馬大雪渓。白馬尻から葱平まで標高差約700メートル。ある程度の斜度もあり,意外と苦しい登りと感じました。
(写真:kazumi_hiさん提供)
表1 解析に用いた対象コースと各コースの特徴
(1) 距離:白馬岳≒塔ノ岳>北岳>谷川岳≒武甲山
(2) 標高差:北岳≒白馬岳>塔ノ岳≒谷川岳>武甲山
(3) 平均勾配:白馬岳(白馬尻〜白馬岳)≒谷川岳≒北岳>白馬岳(猿倉〜白馬岳)>武甲山>塔ノ岳
(4) CT:北岳>白馬岳>谷川岳>塔ノ岳>武甲山

〜コースの特徴(私見)〜
【武甲山】道歩きよい。登頂容易(初級者向き)。【塔ノ岳】道整備。長い登り。体力勝負(初級者〜中級者向き)。【谷川岳】日本三大急登。岩場(中級者向き)。【北岳】道良し。急な登り(健脚者向き)。【白馬岳】大雪渓も含め,長い急登(健脚者向き)。
1. 2 調査方法

以上5コースについて,ヤマレコで公表されている単独行の男女の山記録を無作為に選定して,対象区間(登りのみ)の所要時間(行動時間)を計算しました。

サンプル数(n)は,男女とも,武甲山が65件,塔ノ岳が100件,谷川岳が80件,北岳が53件そして白馬岳が64件です。

また,無作為にピックアップした山行記録から、単独行の男女間の割合について調査しました。

1. 3 解析方法

各コースについて,所要時間のヒストグラムと累積度数図を男女に分けて作成しました。

男女の平均所要時間の比較は,一元配置分散分析を用い,有意差(p<0.05)を検定しました。

更に,男女別にCTに対する平均所要時間の比も求めました。


2 結果

2. 1 所要時間のヒストグラムと累積度数図

各コースの所要時間についてのヒストグラムと累積度数図を図1〜5に示しました。

ヒストグラムを見ますと,全体的には,男女ともほぼ正規分布を示していますが,女性の方が男性よりも所要時間が長い方にずれています。

累積度数図も女性の方が男性よりも立ち上がりが遅い(所要時間が長い)ことが明らかになりました。
図1 武甲山(表参道コース)の所要時間に対するヒストグラムと累積度数図(男女とも,n=65)
【ヒストグラム】所要時間のピークは,男性が75~105 min,女性が90~120 minで,所要時間が短いほど男性の人数が多く,所要時間が長いほど女性の人数が多くなりました。

【累積度数図】一定の所要時間以内に通過する累積人数は,男性の方が女性と比べて多くなりました。例えば,所要時間100 min以内で通過する人は,男性では65人中46人(70%)で,女性では65人中29人(45%)でした。
図2 塔ノ岳(大倉尾根コース)の所要時間に対するヒストグラムと累積度数図(男女とも,n=100)
【ヒストグラム】所要時間のピークは,男性,女性とも150~180 minでしたが,全体的には,所要時間が短いほど男性の人数が多く,所要時間が長いほど女性の人数が多くなりました。

【累積度数図】一定の所要時間以内に通過する累積人数は,男性の方が女性と比べて多くなりました。例えば,所要時間180 min以内で通過する人は,男性では100人中78人で,女性では100人中55人でした。
図3 谷川岳(西黒尾根コース)の所要時間に対するヒストグラムと累積度数図(男女とも,n=80)
【ヒストグラム】所要時間のピークは,男性,女性とも180~210 minでしたが,全体的には,所要時間が短いほど男性の人数が多く,所要時間が長いほど女性の人数が多くなりました。

【累積度数図】一定の所要時間以内に通過する累積人数は,男性の方が女性と比べて多くなる傾向がありましたが,他コースと比べその差異は小さいようです。例えば,所要時間210 min以内で通過する人は,男性では80人中62人(78%)で,女性では80人中56人(70%)でした。
図4 北岳(草すべりコース)の所要時間に対するヒストグラムと累積度数図(男女とも,n=53)
【ヒストグラム】所要時間のピークは,男性が240~300 min,女性が240~360 minで,所要時間が短いほど男性の人数が多く,所要時間が長いほど女性の人数が多くなりました。また,女性の方がばらつきが大きい傾向がありました。

【累積度数図】一定の所要時間以内に通過する累積人数は,男性の方が女性と比べて多くなりました。例えば,所要時間300 min以内で通過する人は,男性では53人中34人(64%)で,女性では53人中20人(38%)でした。
図5 白馬岳(大雪渓コース)の所要時間に対するヒストグラムと累積度数図(男女とも,n=64)
【ヒストグラム】所要時間のピークは,男性が240~300 min,女性が300~360 minで,所要時間が短いほど男性の人数が多く,所要時間が長いほど女性の人数が多くなりました。

【累積度数図】一定の所要時間以内に通過する累積人数は,男性の方が女性と比べて多くなりました。例えば,所要時間300 min以内で通過する人は,男性では64人中36人(56%)で,女性では64人中20人(31%)でした。
2. 2 平均所要時間の比較

各コースの男女別の平均所要時間をまとめたものを表2に示しました。
表2 各コースの男女別平均所要時間
いずれのコースも,女性の方が男性よりも有意に(p<0.05)所要時間が長いことが明らかになりました。

平均所要時間は,女性は男性に比べ,武甲山コースでは1.11倍,塔ノ岳コースでは1.14倍,谷川岳コースでは1.07倍,北岳コースでは1.11倍,白馬岳では1.11倍長いことがわかりました。

(注)各コースのサンプル数(n)は,図1〜図5と同じ
2.3 CTとの比較

各コースについて,男女別に実際の平均所要時間をCTで除した値をまとめたものを表3に示しました。
表3 各コースの男女別平均所要時間とCTの比較
平均所要時間は,男性についてはCTの0.68~0.83,女性についてはCTの0.75~0.91程度で,男女とも平均的にはCTより早く歩けることがわかりました。

所要時間がCT以内で歩ける人の割合は,白馬岳コースを除き,男性は約90%以上,女性は約80%以上にのぼりました。白馬岳コースについては,男性は78%,女性は70%の単独行者がCT以内で歩けることが示されました。
2.4 単独行の男女割合

各コースについて,単独行の記録を無作為にピックアップした総数とその男女別人数の内訳(男女別割合)を表4に示しました。
表4 各コースの単独行者男女別割合
女性の単独行者の割合は10~14%で,圧倒的に男性の単独行者が多いことが示されました。
一方,ヤマレコ会員の男女割合は,男性が81%で女性が19%です(株式会社ヤマレコ事務局に確認)。ここから単純計算をしますと,女性の単独行者は男性の単独行者の45~70%程度で,男性より定着していないことが推定されました。
3 結論

(1) 各コースの平均所要時間は,女性の方が男性よりも1割程度長くなることがわかりました。

(2) 男女とも平均的にはCTより早く歩けることがわかりました。

(3) 女性の単独行は男性の単独行と比べ少ないことが推定されました。


4 おわりに

一般には,男性の方が女性よりも身体能力が高いと言われています。
一方,運動時に酸素を取り込む能力を含めた総合的な身体能力は,女性の方がより優れているということが研究結果から明らかになっているそうです。

男性の場合,極限まで自分を追い込む人が多いのですが,女性は自分の身体を防御する力が作用するため,必要以上に自分を追い込むことはあまりないのだそうです。

多くの女性は男性と比べ,余裕をもって山を歩いている方が多いように感じます。
この余裕が,歩くスピードに少なからず影響を与えている可能性がある様に感じます。

これからは,男性である私もあくせくせず,心に余裕をもって山を歩いていきたいと思います。
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この記録へのコメント

登録日: 2018/7/12
投稿数: 144
2019/9/29 15:13
 わざと遅くしてる⁉️
タハッ こんにちは すわん さん 妹デス😎
→ノリさん風にしてみた。

ヤマレコでも女性はボッチ率が低いんですね。

身体能力の差はあるものの、女性は アハハおほほ(*^O^*)しゃべりながらの
登山だから遅くなるし、会話でペース落として無意識に体力調整しているのでは
→複数の場合

単独でも同様で。お花きれいと足を止めて自分のセカイに浸っているから
遅くもなりますね。

下山後、♨️に入りものを食べると、急速に回復するのも女性の強み。
なんたってチョモランマ登る位の体力を出産で使うそうだから、
女の持久力たるや
穴、オソロシ山の猫又😱ですよ。
登録日: 2014/9/28
投稿数: 2217
2019/9/29 18:47
 Re: わざと遅くしてる⁉️
ははっ?何ですって?( -_・)??(注:誰かのをただカット&ペーストしただけ)

ほんと女性の単独行率は低いですね。
やはり、「男はオオカミなのよ〜♬」心が働いてハードルが高くなっているのかしら?
防衛本能(リスク回避能力)が男より高いから?

一方、男は単純だから、
「女はホオジロザメーよー♪」というリスク回避センサーが働かなく、
逆に単独行の女性に近づいてナンパをしようとしている・・・
だから単独降車が多いのでは?

オトコってバカですよね

一方で、山で会う単独行の女性は、例外なく凛とした感じの素敵な女性が多いですね。
登録日: 2013/1/15
投稿数: 2096
2019/9/29 21:31
 へぇ〜(´・ω・`)
スワンさん、わんばんこ
なかなか面白い分析ですねぇ。

結局CTってかなり甘めなんですね。
CTをアテにして遭難したなんてことにならないためのリスク回避なんでしょうかね。
それはそれでそういう読みをすればよいだけなんですけど、たまに辛めのCTがあってりするので始末が悪い(^◇^;)

何がいちばん印象に残ったかって、「塔くんモルゲン」に一票!(*´▽`*)
登録日: 2014/9/28
投稿数: 2217
2019/9/29 22:04
 Re: へぇ〜(´・ω・`)
renさん にゃんにゃんこ

うーん、どうなんでしょう。
私は、武甲山のCTは甘いと思いますが、他のコースは妥当な線かな?と思います。
まずは、このデータは単独行のみのデータを集めました。
複数行の場合は当然歩行速度も遅くなると思います。

また、SNSに公表する際は、少しでも歩行時間を短くして、
「俺ってグレイト?」と自慢したい人もいるのかな?と思います。
それで、全体的に速くなっている可能性も否定できません。
ヤマレコも「CT比0.7~0.8 速い」なんて表示して、煽ってますからね。

私の実力は、CTとほぼ同じか、ひどい時はかなり遅れることも多いです。


PS:暇さえあれば、ヤマノートのデータづくりをしているから、神さんの機嫌が悪くて悪くて。それでもやめられないのよ~~~
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