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更新日:2020年08月05日 訪問者数:299
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日本の山々の地質;第2部 北アルプス、2−18章 鹿島槍ヶ岳 −氷河に削られた名峰ー
bergheil
(1)始めに
 前章で説明した爺が岳から北へ向かうと冷池山荘があり、鹿島槍ヶ岳登山への良い拠点となっています。そこから北へ向かうと、意外と緩やかなザクの多い稜線が続き、その後、山頂部の急なジグザグを登ると、鹿島槍ヶ岳の南峰(標高:2889m)に到着します。鹿島槍ヶ岳は双耳峰で、一旦小さいコルまで下り、少し登ると、北峰です。
 両方のピークとも展望が素晴らしく、東には大町〜白馬の盆地を隔てて妙高山などの北信の火山群、西には深い黒部渓谷を挟んで、立山・剱の鋭い稜線が望めます。
 ご存じのように、日本百名山でもあり、頂上に登っても良し、麓から眺めても良しの名峰です。
(2) 鹿島槍ヶ岳を作っている地層、岩石
 この山を作っている地層(岩石)は、「地質図」によると、前章の爺が岳と基本的に同じです。
 つまり、山稜の東側は、爺が岳火山岩類、西側は黒部川花崗岩でできています。ただし、北東側のカクネ里部分のみ、有明花崗岩が露出しています。

 このうち稜線部は、冷池山荘から布引山、鹿島槍ヶ岳山頂部(南峰、北峰)、さらに北側の八峰キレットあたりまで、黒部川花崗岩の領域です。かなり風化が進んでおり、北峰から北、キレットへかけては急な下りで岩場になっていますが、それ以外の場所は、ほとんどがザクで覆われています。
(3)鹿島槍ヶ岳の氷食作用
 この山は地質的には特筆することが少ないので、地形的な特徴を若干述べます。

 鹿島槍ヶ岳の山頂部は、本家「槍ヶ岳」と比べると天を突く岩峰ではありませんが、山容の形成は、本家「槍ヶ岳」と同じく、四周から氷食谷(谷氷河)によって削られてできたと考えられます。
 このうち、もっとも氷食谷の形が明瞭なのは、北東側の「カクネ里」谷で、ここには越年性雪渓があり、その下には現生氷河があることも解っています。
 文献1)によると南東側の大冷沢上部の北俣沢も氷食谷で、高度がかなり低い標高1200m付近にモレーン(大谷沢モレーン)が確認されています。地形的には北西側の東沢も、一部がU字谷で、上部が扇型に広がっている形状から見て、氷食谷だと思われます。また頂上部の2つのピークの間にある南東側のなだらかな場所は、真夏でも雪田が残る場所ですが、形状からみて小さいカールではないかと思われます。

鹿島槍の稜線部を構成している黒部川花崗岩が、もう少し浸食に強い地層(岩石)だったら、もっと鋭い山容をしていたことでしょう。
鹿島槍ヶ岳付近の地質図
・朱色1(左半分=西側);黒部川花崗岩類(花崗閃緑岩質)(第四紀)

・朱色2(中央右手);花崗岩類(第四紀)
  (黒部川花崗岩類の一部かどうかは不明)

・薄いクリーム色;爺が岳火山噴出物(第四紀)

・薄いあずき色;花崗岩(有明花崗岩)(白亜紀)

・緑がかった灰色(右手);ペルム紀付加体

・濃い紫色(右手上部);蛇紋岩体
(参考文献)
文献1) 「山の自然学入門」小泉、清水 編、古今書店刊 (1992)
南側から望む鹿島槍ヶ岳
ハイ松に覆われた緩やかな稜線が続く

(筆者撮影)
鹿島槍ヶ岳(南峰)から望む、南の稜線
・花崗岩質のザクが多い稜線
・中央奥の山は爺ヶ岳

(筆者撮影)
カクネ里雪渓(氷河)を、山頂より望む
鹿島槍ヶ岳北峰より覗く。
真夏でも雪渓が残り、かつ典型的なU字谷を示している。
(筆者撮影)
五竜岳から望む鹿島槍ヶ岳
端麗な双耳峰が雲海の上に浮かぶ
(筆者撮影)
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