(はじめに)
前章で説明した爺ヶ岳から北へ向かうと冷池山荘があり、鹿島槍ヶ岳登山への良い拠点となっています。そこから北へ向かうと、意外と緩やかなザクの多い稜線が続きます。この辺りは布引岳という名称がついています。
その後、山頂部の急なジグザグを登ると、鹿島槍ヶ岳の南峰(標高:2889m)に到着します。鹿島槍ヶ岳は双耳峰で、一旦小さいコルまで下り、少し登ると、北峰(2842m)です。
両方のピークとも展望が素晴らしく、東には大町〜白馬の盆地を隔てて妙高山などの北信の火山群、西には深い黒部渓谷を挟んで、立山・剱の鋭い稜線が望めます。
ご存じのように、日本百名山でもあり、頂上に登っても良し、麓から眺めても良しの名峰です。
その後、山頂部の急なジグザグを登ると、鹿島槍ヶ岳の南峰(標高:2889m)に到着します。鹿島槍ヶ岳は双耳峰で、一旦小さいコルまで下り、少し登ると、北峰(2842m)です。
両方のピークとも展望が素晴らしく、東には大町〜白馬の盆地を隔てて妙高山などの北信の火山群、西には深い黒部渓谷を挟んで、立山・剱の鋭い稜線が望めます。
ご存じのように、日本百名山でもあり、頂上に登っても良し、麓から眺めても良しの名峰です。
1) 鹿島槍ヶ岳を作っている地質、岩石
この山を作っている地質(岩石)は、産総研「シームレス地質図v2」によると、前章の爺ヶ岳と基本的に類似しています。
つまり、山稜の東側は、「爺ヶ岳火山」岩類、西側は「黒部川花崗岩」でできています。ただし、北東側のカクネ里と呼ばれる急峻な谷地形の部分のみ、「有明花崗岩」が露出しています。
このうち稜線部は、冷池山荘から布引山、鹿島槍ヶ岳山頂部(南峰、北峰)、さらに北側の八峰キレットあたりまで、黒部川花崗岩の領域です。かなり風化が進んでおり、北峰から北、キレットへかけては急な下りで岩場になっていますが、それ以外の場所は、ほとんどがザクで覆われています。
つまり、山稜の東側は、「爺ヶ岳火山」岩類、西側は「黒部川花崗岩」でできています。ただし、北東側のカクネ里と呼ばれる急峻な谷地形の部分のみ、「有明花崗岩」が露出しています。
このうち稜線部は、冷池山荘から布引山、鹿島槍ヶ岳山頂部(南峰、北峰)、さらに北側の八峰キレットあたりまで、黒部川花崗岩の領域です。かなり風化が進んでおり、北峰から北、キレットへかけては急な下りで岩場になっていますが、それ以外の場所は、ほとんどがザクで覆われています。
2)鹿島槍ヶ岳の氷食作用
この山は地質的には特筆することが少ないので、地形的な特徴、特に氷期における氷食作用の影響について、説明します。
鹿島槍ヶ岳の山頂部は、本家「槍ヶ岳」と比べると天を突く岩峰ではありませんが、山容の形成は、本家「槍ヶ岳」と同じく、四周から氷食谷(谷氷河)によって削られてできたと考えられます。
このうち、もっとも氷食谷の形が明瞭なのは、北東側の「カクネ里」谷で、ここには越年性雪渓があり、その下には現生氷河があることも解っています。
文献1)によると南東側の大冷沢上部の北俣沢も氷食谷で、高度がかなり低い標高1200m付近にモレーン(大谷沢モレーン)が確認されています。
地形的には北西側の東沢も、一部がU字谷で、上部が扇型に広がっている形状から見て、氷食谷だと思われます(この段落は私見です)。
また頂上部の2つのピークの間にある南東側のなだらかな場所は、真夏でも雪田が残る場所ですが、形状からみて小さいカールではないかと思われます(この段落は私見です)
鹿島槍の稜線部を構成している「黒部川花崗岩」が、もう少し浸食に強い地質(岩石)だったら、本家「槍ヶ岳」のような、もっと鋭い山容をしていたかもしれませんね。
鹿島槍ヶ岳の山頂部は、本家「槍ヶ岳」と比べると天を突く岩峰ではありませんが、山容の形成は、本家「槍ヶ岳」と同じく、四周から氷食谷(谷氷河)によって削られてできたと考えられます。
このうち、もっとも氷食谷の形が明瞭なのは、北東側の「カクネ里」谷で、ここには越年性雪渓があり、その下には現生氷河があることも解っています。
文献1)によると南東側の大冷沢上部の北俣沢も氷食谷で、高度がかなり低い標高1200m付近にモレーン(大谷沢モレーン)が確認されています。
地形的には北西側の東沢も、一部がU字谷で、上部が扇型に広がっている形状から見て、氷食谷だと思われます(この段落は私見です)。
また頂上部の2つのピークの間にある南東側のなだらかな場所は、真夏でも雪田が残る場所ですが、形状からみて小さいカールではないかと思われます(この段落は私見です)
鹿島槍の稜線部を構成している「黒部川花崗岩」が、もう少し浸食に強い地質(岩石)だったら、本家「槍ヶ岳」のような、もっと鋭い山容をしていたかもしれませんね。
(参考文献)
文献1)小泉、清水 共著
「山の自然学入門」 古今書店 刊 (1992)
のうち、No.38 「鹿島槍ヶ岳・針ノ木岳」の項
「山の自然学入門」 古今書店 刊 (1992)
のうち、No.38 「鹿島槍ヶ岳・針ノ木岳」の項
このリンク先の、2−1章の文末には、第2部「北アルプス」の各章へのリンク、及び、序章(本連載の各部へのリンクあり)を付けています。
第2部の他の章や、他の部をご覧になりたい方は、どうぞご利用ください。
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【書記事項】
初版リリース;2020年8月5日
△改訂1;文章見直し、一部修正。
山のデータ追加。2−1章へのリンクを追加。
書記事項の項を新設、記載。(2022年1月16日)
△最新改訂年月日;2022年1月16日
△改訂1;文章見直し、一部修正。
山のデータ追加。2−1章へのリンクを追加。
書記事項の項を新設、記載。(2022年1月16日)
△最新改訂年月日;2022年1月16日
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