また山に行きたくなる。山の記録を楽しく共有できる。

ヤマレコ

HOME > ヤマノート > 山の三つの大鉄則(初心者用)
更新日:2013年09月16日 訪問者数:37819
登山・ハイキング 技術・知識
山の三つの大鉄則(初心者用)
「雨具・ヘッドランプ・食料を忘れるな!」、「道に迷ったら戻れ!」、「寝る・食う・ひる」、これが山の三つの大鉄則です。
山の三つの大鉄則
登山にはサッカーや野球のような純然としたルールはありませんが、数々の「鉄則」というものがあります。それらの中でも特に重要な次の3つを「大鉄則」として私たちが若い頃に山の大先生から教えられました。

それは、

(1)雨具・ヘッドランプ・食料を忘れるな!
(2)道に迷ったら戻れ!
(3)寝る・食う・ひる

  ということです。

3つ目の「寝る・食う・ひる」は「鉄則」という言葉からは逸脱するかも知れませんが重要性から入れています。

これら3つの大鉄則は、くり返ししつこく教えられました。簡単そうで軽く考えがちですが、登山の安全のためには本当に重要で基本的なことなのです。それでも能天気な私たちは鉄則を守らずに失敗することもありました。

みなさん、どうか、どんな山でもこれを信じて守ってください。願わくば今の若い登山者たちによって次世代につないでもらえたらと思います。ここで正しくそれを伝えられたら私も本望です。
 
 
 
※登山の安全について考えてみよう!
--------------------------------------------------
(1)雨具・ヘッドランプ・食料を忘れるな!
これは登山教本の最初の1ページ目の最大重点項目です。
初心者の方なら絶対に忘れないで欲しいと思います。誰が何と言おうと、これほど重要なことはありません。

私が本格的に山登りを始めたのは高校の時からですが、登山部1年生の最初の知識として、「どんな山でも、雨具・ヘッドランプ・食料は絶対に忘れるな!」という事を何度もしつこく叩きこまれました。これは洗脳というか習い性というか、習得した登山知識としては最重要のものです。そのためにその後はヘッドランプとカッパは常に最初に準備するクセがついています。
これを読んでいらっしゃる人も、どんな山でも絶対に忘れないで持参してほしいと思います。
1−1.雨具
雨具というのは上下のカッパを意味します。今では“レインスーツ”というお洒落な呼び方になっているようですが、“カッパ”でも“レインスーツ”でもどちらの呼び方でも構いません。

雨具という意味では、快適さから言えば「カッパ+傘」でしょうが、どんな山でも持参しなければいけないのはカッパです。傘だけでは絶対にダメです。

カッパは当然のごとく防寒着や防風着にもなります。カッパ無しで雨の日に山を歩くのは危険です。夏山でも低体温症で死亡(すなわち凍死)してしまいます。天気予報が「雨は降らない」と言っても、どんな日帰り山行でもカッパは必ず持参してください。この鉄則を忘れるとひどい目に合うことになります。
 
 
 
※晴天で日帰りでも雨具は絶対に持参しなければいけない。
1−2.へッドランプ
ヘッドランプの重要性はカッパと甲乙つけがたいものがあります。むしろそれ以上に重要な装備です。

人間は夜行性ではないのでライトなしで夜道を歩くことはできません。

日帰りでお昼には下れる自信がある山でも絶対にヘッドランプを持参しなければいけません。なんらかの理由で下山が遅くなってしまい、ヘッドランプがない状態ならビバークをするかどうかの判断をしなければいけません。気温が低い日や雨の日ならビバーク自体も危険です。暗い夜道をヘッドランプ無しで歩くことはさらに危険です。つまり、ヘッドランプ一つで命を失う危険があるということです。そういう状態になってしまわないように、どんな山行でも絶対にヘッドランプは忘れないでいただきたいと思います。

ヘッドランプで重要なことは予備電池と予備のライトです。電池が無ければヘッドランプが無いことと同じなので予備電池はどんな山行でも必要です。また、故障ということも可能性はあるので単独の人は特に予備のライトは必要です。くれぐれもヘッドランプが無い非常事態の夜を恐れて準備を完璧にしてください。
携帯電話にもライト機能がありますがこれは数に入れないようにしてください。本当に使わざるを得ない場合は携帯のライト機能を使ってください。
 
 
 
※最近では小型のヘッドランプがあるので予備を持つことは重量的にも問題にならない。単独の人は特に必要。電池は共用できるものが望ましい。
1−3.食料
食料は遭難に直結するものではありせんが、遭難した場合には生死に結び付くものです。

食料というと、普通の食事用の食料に加えて、行動食、非常食があります。「山の鉄則として絶対に忘れてはいけない物」としての食料は、その3つの意味の「食料」のどれを考えてもいいです。場合によっては「おにぎり1個」でもOKですし、「チョコレート1枚」でもOKです。何かがあっても食べられる物を持参していることが重要です。

日帰りの山行でも、非常食と行動食は意識して別に所持する必要があります。「このチョコは非常食、このチョコは行動食」という区別で良いと思います。テント泊の場合は予備食も必要です。
 
 
 
※チョコレート類は非常食として優れている。
1−4.どんな山でも三つは絶対に忘れたらダメ
登山の初心者向けのサイトで日帰り装備の中にヘッドランプが記載されていない場合がありますが大きな間違いです。しつこくクドイですが雨具も絶対に必要です。そして食料もどんな山でも持参してください。

どうか、これを読んでいらっしゃる人は登山で最も重要な内容であることを正しく認識してください。
 
 
 
※晴天の日帰りだとヘッドランプと雨具は忘れがちである。だが、それが命取りになるケースもある。
--------------------------------------------------
(2)道に迷ったら戻れ!
「道に迷ったら、ハッキリしている場所まで戻れ!」と登山の入門書や先輩諸氏からさんざん言われていて、そのことはヤマレコユーザーなら誰もが承知している内容だと思います。

しかしながら、私自身も含めて中々これが守れません。途中で気付いても、ついつい踏み跡を信じて深みにはまってしまうこともしばしばです。結果、大きく正規ルートを外れてしまうこともよくあることです。

なぜ、中々戻れないかと言うと、戻るのは非常に億劫(おっくう)だからだと思います。疲労困憊で山を下っているときに登り返すのは辛い。出来ればショートカットして正規ルートに戻りたいと思うのが正直な所です。あわよくば、このまま進んで行けば正規ルートに合流してくれるのではないかと思ったりもします…。

しかしながら、多くの場合、さらなる深みにはまるだけ。素直に戻っておればどれだけ楽なことか経験的に分かっていることですが中々それが出来ません。道迷いによる遭難はこうして起こるのだと思います。
 
 
 
 
※深刻な道迷いは低山の方が多いかも知れない。
2−1.谷に降りるな!
最悪のケースは、稜線の道から外れて道に迷った状態で「谷に降りてしまう」ことです。

下山中に道迷いの結果、谷に入って何人もの人が命を落としています。それが日本の遭難事故の現実です。

そういう状況に遭遇したら、「道に迷ったら戻れ!」という大鉄則を思い出してください。30分戻ってもいいし1時間戻ってもいいと思います。ほとんどの場合は10分か5分のことだと思うので億劫に考えないで戻ることを楽しむぐらいの余裕をもってください。

なぜ谷に降りてはいけないか?ということですが、崖あり滝ありで、滑落の危険があるからです。崖から転落して運よく木に引っ掛かったとしても、下は断崖絶壁、上は登り返しできない状態なら、即ち遭難です。

携帯の電波は届かず、トランシーバーもなく、笛も無く、ヘッドランプ等による遭難信号も出すことができなければ遭難した上に持久戦を覚悟しなければなりません。状況としては最悪です。

道に迷ったあげく、谷底に砂防ダムや堰堤が見えたからといって、「作業道路がついているかも?」と思ってはいけません。砂防ダムや堰堤には作業道路はおろか山道すら付いていることは少ないものです。むしろ、両側の崖は切り立っていて滑落や落石の危険が増すような場所が多いものです。

谷の向こうに人家らしきものが見えても、下に道があるとは限りません。地図には下に道が走っていても、そこに行くまでに滑落の危険がある場所が多く存在するのが普通です。落ち葉の斜面も滑れば危険です。

私も最近は低山を歩くことが多いですが、北アルプスのように多くの人が入っているルートよりも低山の方が道迷いのリスクが高いと思います。実際に低山の方が道標も少なく踏み跡も分かりにくい場合が多いです。「道迷い」ということなら北アルプスよりも地方の低山の方が難易度は高いと思います。「低山を侮るなかれ」ということです。
 
 
 
※滝、崖など、地図に表現されていない地形は多い。
2−2.間違ったトレースを付けてしまったら
雪山では間違ったトレースを追ってしまう場合もあります。そういう場合、間違ったトレースを付けてしまった場合は雪面にピッケルで大きく×印を書いておいてください。低山の樹林帯なら木の枝で通せんぼを作ってください。
 
 
 
※通せんぼは素直に信じよう!
2−3.稜線を目指すのがセオリー
完全に道に迷ってしまって、もと来た道も分からない場合、「稜線を目指す」のがセオリーです。日本の山は稜線に道がついていることが多いからです。それに見通しもききやすい場合が多いと思います。谷には降りてはダメです。道迷いで谷に降りた結果、それが死亡事故に結び付くケースは余りにも多いということを知っておいてください。
ただし、これはセオリーです。セオリーだけでうまくいくとは限りません。
 
 
 
 
※日本の山は稜線に道が走っている場合が多い。
2−4.道に迷ったらいったん休憩
道に迷った場合、普通の人は焦ってしまいます。そのために休憩を取らずに疲労困憊してしまうケースもあります。フラフラで歩けば崖に転落してしまうことも考えられます。

道に迷ったと思ったら、焦らずに戻ってください。そのためにいったん休憩をするのは有効です。それが出来るようになれば初心者としては立派です。そういう行動が落ち着いて意識して出来れば既に初心者を超えたレベルに達したと言ってもいいぐらいです。
 
 
 
 
※道迷いに関しては「低山を侮るべからず」と言える。
--------------------------------------------------
(3)寝る・食う・ひる
この最も基本的なことは、最も難しいことでもあります。スキーや岩を登ることは技術の習得で克服できますが、「寝ること」、「食べること」、「排泄すること」は、時として非常に難しい場合がベテランでも起こります。そして、それが健康を害したり、あるいは判断力を低下させたりして命の危険と結びつきます。フラフラでバランスを失って滑落の危険にもつながります。

逆に、十分な睡眠と食欲があり綺麗に出すことが出来ていれば、「今回の山は大丈夫」と言えます。今回は大丈夫でも次回も大丈夫とは限りません。そこが難しいと言われるところです。
3−1.(ねる)寝ること
健康面からも体力温存や回復ということからも睡眠は本当に重要なことだと思います。睡眠不足を軽んじて重大事故の原因にならないようにお願いします。

寝ることで問題なのは疲労困憊なのに眠ることが出来ない時です。また、疲労困憊にならないために睡眠すべき時に眠ることが出来ない時が問題です。

その原因として「寒さ」があります。また、「冷たさ」が加わると最悪な状態になります。

衣類が濡れていて体が冷たくて眠れない場合は、そのような衣類は脱ぐことが必要です。「着乾かす」という判断もあるかも知れませんが、濡れた衣類を着てシュラフにもぐる方がいいのか脱いで寝た方がいいのかという判断としては、私の経験から言えば脱いだ方がいい場合が多いです。「保温」という観点から言えば、カッパも着ることができます。ザックも足を突っ込めば保温になります。

寒さで眠れない場合、テントの中では「コンロの空炊き(からだき)」をしてもいいと思います。ずっとコンロをつけているのではなく、寒い時に一時的に暖かくなると人はウトウトできるものです。逆に夏の暑いときは、身体を一時的に冷やすと眠気が来ますので暑くて眠れない場合はそんな工夫も必要です。

寒くも暑くも無く、疲労困憊なのに精神的に眠れない場合もあります。酒の力を借りるものありと思います。

夜行電車や夜行バス、あるいはステーションビバーク等で眠ることが出来るのは「慣れ」が必要だと思います。山では「図太さ」も時として必要です。
 
 
 
 
※どこでも寝られるというのは技術と言えるかも?
3−2.(くう)食べること
食はエネルギーの基本です。ちゃんと食べておればバテることは少なくなります。ダイエット云々を忘れて「山では食べることは大切」ということを意識してください。

食欲が落ちてしまうと体力消耗はますます激しくなってその後の行動にも支障が出ます。自力で山から下りられないという懸念も生まれます。

行動食や水分の摂取は、シャリバテ防止ということだけでなく、総合的な山での健康にもつながります。そういう意味でも、小休止の都度、水分補給と少量の行動食を摂ることは大切なことなのです。

私も冬山合宿のアプローチで重い荷物を背負ってバテてしまい、まさに精も根も付き果てて座り込んでしまったとき、仲間が迎えに来てくれて、あったかい紅茶とビスケット1枚をもらった途端どれだけ元気になったかという体験したことがあります。

少しくどいですが、普通の登山でも、小休止の都度、チョコひとかけらとか飴玉一つとか、少量でいいので水分と共に摂取すればバテ防止と食欲減退防止には貢献できると思います。

本当に食欲が全くなくて「無理に食べる必要」がある場合もあります。

本当に「無理に食べる必要」がある場合、文字通り、涙を流してでも無理に胃袋に入れる必要があります。本当に食べられない時、その結果がどうなるかは本人の考えよりも深刻になる場合が多いと思います。

私の後輩に精神的に弱い者がいてバテ過ぎて年末の赤岳鉱泉の診療所にお世話になった男がいました。結構値段が高い薬をもらったということです。その後、軽い食事をしても食べた物を全部吐いてしまいましたが、雪の上のゲ○の中に薬を発見して勿体ないのでそれを拾って飲み込んだという話を聞いたことがあります。その後は体力の回復ができたらしく、弱いのか強いのかよく分からない男でした。ちなみにこの男、色々な夏山の診療所でお世話になった経験をもち、彼曰く○○大学の医学部が一番良かったという変な経験をもつ男でもありました。
  
 

 
※山では食べることはとても大切。   
 
 
※イラストは花鳥風月さん。かわいいね(^^)/
3−3.(ひる)排泄すること
山ではオシッコのことを男性はキジ撃ち、女性はお花摘みと言うのはご存じの通りです。大きい方を大キジ、おならを空キジ(からきじ)というのもご存じの通りです。タイトルの「ひる」というのは大キジのことを意味します。

排便がうまくいかないと便秘になるばかりでなく体調そのものも悪くしてしまいます。それが問題です。

行動中の水分摂取が少ないと上手に排泄できないと思います。それ以外にも精神的なことも含めて色々な原因があると思います。

どちらにしても、排泄に関してはタイミングもあろうかと思います。ちょうど良い場所で出来るようになれば理想ですが中々難しいことも正直なところだと思います。

複数で登山する場合、チーフリーダーなりサブリーダーは、メンバーの顔色や状態を見て適切な小休止や大休止を入れてください。メンバーは適切なタイミングで他のメンバーに迷惑がかからないように適切にトイレを済ませてください。
 
 
 
※最近はきれいなトイレが整備されつつありますね。
--------------------------------------------------
最後に
以上のように細々と書いてきましたが、細かい枝葉は忘れても3つの鉄則だけは忘れないようにお願いします。とてもシンプルで簡単なことです。ただ、それが守れない場合、非常に厳しい山になってしまうことも想定されます。そうならないために、初心者の人は頭の中に完全に上手に収納してください。

・雨具・ヘッドランプ・食料を忘れるな!
・道に迷ったら戻れ!
・寝る・食う・ひる

よろしくお願い致します。
 
  
 
Berg Heil! 
 
 
(※誤字脱字は順次修正していきます。ご了承を!)
訪問者数:37819人
-
拍手

※この記事はヤマレコの「ヤマノート」機能を利用して作られています。
どなたでも、山に関する知識や技術などのノウハウを簡単に残して共有できます。 ぜひご協力ください!

詳しくはこちら

コメントを書く

ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。
ヤマレコにユーザ登録する

この記録へのコメント

登録日: 2016/5/8
投稿数: 5
2016/5/8 10:03
 貴重な鉄則
貴重な鉄則ですね。自分はまだ初心者ですけど,一番大事なことですね。参考になります。
ページの先頭へ