横岳西壁 石尊稜

天候 | 2016/12/23:曇り 2016/12/24:曇りのち晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2016年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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写真
感想
2016/12/23(金・祝)
赤岳鉱泉までの登山道は、一部凍結箇所がある程度。
前日の高気温の為「沢沿い染み出し危険地帯」もそこまで凍ってはいなかった。
幕営後、石尊稜取付手前で雪稜トレ。
橋から石尊稜へはトレースありだが、積雪は緩く時々トレース上でも踏み抜いてしまう。
そのうち、踏み抜いた下に水が現れ出し、ちょっとした段差は凍っておらず水が流れ落ちているようになる。
(ここで、踏み抜き、靴をぬらすというハプニング発生。)
三叉峰ルンゼとの分岐より手前だが、適度な傾斜でトレを行うこととなった。
<雪稜トレ(Kさん、Yさん、Iさん、Aさん、yachimayu)>
・つぼ足での斜面登下降、クライムダウン
・ピッケルの部位名称の確認
・ピッケルワーク(ピオレ・カンヌ〜ピオレ・トラクション)
・ダブルアックス・アイゼン無しでの登攀・プチバリルート登下降
藪というか潅木帯の通過が苦手。
富士山の雪訓では、ロープ使用時の木々の利用や通過方法についてアドバイスを頂いたが、今回はアックスを使用する際のコツなど教示頂いた。
Newアックス(CASSINのX-LIGHT)は刺さりも良く、縦走用に慣れシャフトも多用する自身には使い勝手が良かった。
2016/12/24(土)Kさん、Yさん、yachimayu
●赤岳鉱泉〜石尊稜取付
・ヘルメット・ハーネスのみ着用し、am5:30 ヘッデンにてBCを出発。アプローチには先行パーティーなし。昨晩から降雪はなかったが雪は昨日よりしまっていた。
・昨日トレースを付けた先からは先頭をKさんに交代し、基部までつめる・・・が、間違えて三叉峰ルンゼに入ってしまった。
・向かって左手の斜面は石尊稜と似ている。三叉峰ルンゼは右手が尾根になっており、石尊稜はその尾根の向こう側。石尊稜へのアプローチは右手が樹林。「分岐には赤布あり」との事前情報があったが、、、発見できたのは木に巻いたピンクテープのみ。
・分岐まで戻った段階で後続パーティー(山口から来たとのこと)と合流し、後続PとKさんが交互でラッセル。自身は役立たず。
・前日は阿弥陀北西稜に行ったという後続Pに先行してもらうことにし、2番目の登攀となった。
・取付で登攀準備をしていると続々と後続が到着し、あっという間に後ろに3パーティーも続いた。
●石尊稜下部岩壁(1P)Kさんリード am 7:30
・取付に支点あり。直登、右巻き等いくつかルートがあるようで各パーティーが異なるルートを取る。
・先行Pがランナウトして苦戦していた為、若干右よりのルートを取る。ペツルあり。
・出だし〜下部は岩に雪が乗った状態。ベルグラにはなっておらず、手で雪を払いながら登る。
・上半分は凍った草付に雪が乗っている状態。アックスを打ち込み、左手にトラバース。
●中間の雪稜(下部岩壁〜上部岩壁)
・前半は下部岩壁と同程度の傾斜だが、しっかり雪が付いており、また適度に木もあるため、ロープを解除してフリーで登る。
「ここをフリーで登れないようなら、ここには来ちゃいけないんだよ」とKさん。
谷川のテールリッジや前穂北尾根のP2でP師匠に同じことを言われたなぁなどと思い出しながら登る。昨日のバリトレがばっちり功を奏した感じ。
・稜線に上がると饅頭形の大岩があり、その影で一旦休憩。後続に追い立てられることはなかったが、先行Pは既に見えない。
・稜線からは眼前の上部岩壁目指し、雪稜歩き。ここから先頭を歩かせてもらう。
●石尊稜上部岩壁(2P)〜石尊峰 am 10:04
1P目:yachimayuリード
・上部岩壁手前に尖塔状の大岩があるが、取付はその大岩の先。支点あり。
・事前情報からルート予想はしていたが、実際に岩を見てもそのルートが最適に見えた。
・リッジ左の凹部から入りリッジに乗る。リッジ上で支点を取りたかったがピンはない。一瞬支点を探し、おろおろしたが、「ピンないです」「当たりまえだろ!」という会話で我に返り、自分が行きたいところがどのような所か思い出した。(←まさにそんな感じ)
・スタンスは豊富。時々、前爪1本しか乗らない箇所あり。
・「手でいけ」と言われたがリーチ的に難しい場所はアックス使用。凍ってはいなかったので、アックス&プッシュで登れた。
・岩の脆さを心配したが、それほどでもなかった。雪も硬くなく、頑張れば手で払える程度。
・最初のテラス(安定した場所)で、ピナクルで中間支点を取る。
・次の大きめピナクルに残置ロープがあったので、そちらを登り中間支点を取ったが、どうやらそのピナクルを右に巻けばルンゼ状になっており、より簡単だったらしき(汗)。ルンゼには気付いたのだが雪の堅さや深さが分からなかった為、ピナクル登攀を選択してしまった。
・ビナクルでピッチを切ろうかと思ったが、振り返ると「先に行け」との指示(ジェスチャー)。くの字に曲がる点までロープを伸ばし、小さなピナクルでピッチを切った。セルフは別のピナクルで取った。
・時折青空が覗くが、視界は悪くない程度にガスっており、風でコールは届かず。ロープの貼り具合で引き上げ。
2P目
・眼前のナイフリッジの奥のルンゼを登り、稜線を目指す。Kさんはフリーで登攀。50m以上ある為、途中でピッチを切った。
・その先をリードしたが、稜線までは50mロープでは数m足りない。同時登攀し、稜線に上がってからは肩がらみで確保。
終了点は風が強かった。
風を避けるため石尊峰に移動し、休憩。快晴ではなかったが、眼下の景色が見える程の天気。嬉しかった。
Kさんより、自身が山岳会に入った年の冬に起きた石尊稜での事故の話を聞いた。
●地蔵尾根〜赤岳鉱泉〜下山
・地蔵尾根への稜線の風は強かったが、問題なく赤岳鉱泉へ。
・半日でここまで疲れたのは初めて。両腕が重い。駐車場までの道のりが遠かった。
<感想&反省>
昨シーズン「連れて行ってもらった」初の冬バリ経験から、今期は自分なりの「やることリスト」を作っていた。
こんなシーズン初めに石尊稜に行くことになり、当初焦ったが、リストアップしたトレは終えていたので、後は経験を積むのみ。事前に会の先輩に相談したところ「連れていってもらえ」とのお言葉も頂いたので、やらないまでも全ピッチを頭に叩き込んで望んだ。
前夜、上部1P目リードを志願したところOKが出た。
石尊稜は初級前の初心者ルート。それでも今までで1番緊張し、登攀後の満足度が半端ない山行となった。
ルーファイと、時間がかかったことが今後の課題。(おおよそ4時間30分。30分オーバー)
ここに来るまでに色々あった。
行き詰ってK野さんを頼ったこともそのうちのひとつ。今回は本当にありがとうございました!!
「足自由」のホームジムでの練習も、アイゼンでのリードも、こっそりやった1本爪に乗る練習も、ワタシには必要だった。
まだまだ課題もたくさん。
今度は天気の良い時に雪壁を登りたい。
反省。
初日のトレ時に水に浸かったことにより、下山後メンバーに(軽度ではあるが)凍傷が発現した。
意識、対処方法などに問題があった。
認識の甘さと、自身に潜む「甘え」を改めたい。
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