春の大雪/塔ノ岳-三ノ塔
zaoluck
体力度について
- GPS
- 07:37
- 距離
- 16.7km
- 登り
- 1,539m
- 下り
- 1,557m
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標高グラフを拡大コースタイム
- 山行
- 6:10
- 休憩
- 1:25
- 合計
- 7:35
| 天候 | 曇り |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2017年04月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
電車 バス
|
| コース状況／ 危険箇所等 |
この日は標高900m付近から雪が目立ち始め、1000m以上は雪道で軽アイゼン程度は必須。表尾根は積雪40�冂�度で、吹き溜まりでトレースを外れると足がすっぽり埋まるほどでした。大倉尾根下部はお定まりの泥濘の道。上部も解け始めるとしばらく始末に負えないかもしれません。 |
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感想
週末の冷たい雨が山では雪になっただろうから、軽く雪道の歩き納めをするつもりで塔ノ岳を訪ねたら想像以上の大雪。それでもドロドロの大倉尾根を下るのが嫌さに初志貫徹で表尾根を辿った結果、スピードは上がらず足腰がガタガタになるまで疲れた。
大倉でバスを降りると思った以上に暖かい。雲をかぶった表尾根は雪で白く見えるが、やはり4月だ。真冬でも大倉尾根などの南斜面は北風が遮られて寒くないことを思い出した。
克童窯前でレインウエアの上を脱いで登山シャツ1枚に。ところどころぬかるみはあるが、見晴らし茶屋付近までは雪にはならなかったと見える。天気がパッとしない日曜とあってバスの車内は余裕があったが、さすが天下の大倉尾根とあってそこそこの人が登っている。
一本松の上のベンチに溶けかけた雪が残っていた。ぬかるみが増え、駒止茶屋付近から雪が目立ち始めた。木道にも雪が残っている。天神尾根分岐の上のベンチで軽アイゼンを装着。土踏まずの4本爪だから気休め程度だが、逆にまだら雪の区間では本格アイゼンより歩きやすいはずだ。
雪が踏み固められた階段を慎重に登って花立山荘到着。もう登山道も真っ白になっている。早くも下山者が増えてきたが、アイゼンなしでズルズル滑りかける人も。転んでけがをするのは勝手だが、混んだ登山道では他人にぶつかる恐れもあるから、やはり滑り止めやストックは装備してほしいものだ。
金冷シに向けて積雪がみるみる増え、踏み固めたトレースが雪の中の溝のように伸びている。すれ違うためによけると新雪をズボッと踏み抜いてしまう。試しにトレースのない所を歩いてみれば、この程度の雪でもラッセルの苦労のほどが知れるというものだ。
ガスの中の塔ノ岳には雪道の割には早く着いた。尊仏山荘に逃げ込んでコッヘルでカップ麺とお握りの昼食とする。老猫ミーちゃんのいないストーブ周りが寂しい。そう言えば、代わって頂上のアイドルとなっていた野良の塔ネコ君も見かけない。「誰かが保護して連れて行ったらしい」と話している人がいたが、本当のところは知らない。
ゆっくり休んで外へ出て、「さて」と思案投げ首。ガスが晴れて心なしか気温も上がってきたようだから、大倉尾根はかなりの区間が泥田尾根と化しているだろう。表尾根のトレースが単なる「足跡」の連なりだったら諦めるつもりだったが、たくさんの人が通った溝状になっていたので予定通り三ノ塔目指して出発した。下りだしてすぐ2、3人が登ってきたことも心強かった。
とはいえ、アイゼンを利かせつつ下り坂ではかかとを打ち込み、トレースを外さないように注意して歩かなくてはならない雪道は疲れる。木ノ又小屋のベンチで靴ひもを結び直し、夏道を微妙に外れて続くトレースを辿った。何度も通った表尾根だが、見える景色が若干でも違うと新鮮に感じる。ただし、雪の緩んだ日向では1m近い深さの踏み抜き穴もあって、景色に見とれるのは要注意だ。
新大日から眺めた三ノ塔はまだまだ嫌になるほど遠い。行者ヶ岳に向かって下ると、雪が緩んで一部地面が見えたりもしたが、政次郎ノ頭の下の桟道や鎖場は滑り落ちないように慎重に通過した。
このあたりに戸沢方面へ下る道の分岐があった。先ほどすれ違った人が、「三ノ塔のこちらの急斜面の雪付きが凄くて尻で滑り下りた」と話していたので不安になったが、まだ烏尾山からの下山道もあるので直進。人っ子一人いないその烏尾山に着くと、下山道のトレースは一人分の足跡がほそぼそと伸びているのみだった。
歩き慣れない登山道が雪に埋もれた場合、素人が突入するのは自殺行為に近い。先行者の足跡があったとしてもそれが正しいルートを示すかは不明だし、迷わないまでも実は雪山のエキスパートで敢えて難路を選んだという場合もある。
という訳で臆病者には究極の選択となったが、そのまま三ノ塔を目指すことにした。向かってみれば逆行する3人パーティーとも出会い、少々緊張はしたものの、しっかり踏み跡はあるので下るのに比べれば登る方はなんということもなかった。
三ノ塔のベンチで休んでいると、葛葉川本谷から登ってきたという男女3人がやってきた。リーダーらしい男性が「4月にこんな雪は初めてだ」と話していたが、この雪の中で沢の遡行とは大したものだ。こちらは慣れない雪中行軍のボディーブローが効いてきて足腰が怪しいが、とにかく下らなくてはならない。バスの少ないヤビツ峠は当てにならず、その先の蓑毛へ下りるよりは楽だろうと三ノ塔尾根を選んだ。
標高850mくらいで雪が減って泥道になったが、大倉尾根のように大勢でこねまわさないから泥濘というほどではない。杉林の急坂で親子3人連れを追い抜き、その先の平らな尾根でアイゼンを外した。駆け足で下る男性を先に通し、左から未舗装の林道が見えてくるあたりになるともう雪はない。思わず近づいてきた林道に出てしまったが、大回りになりそうなのでもう一度登山道に戻った。
やがて登山道は尾根を右に外れて急斜面をジグザグに下りだした。もはや道は乾いて雨雪の気配もない。標高630mほどで幼い子供連れが休憩している牛首の林道終点に出た。大倉からまだ結構距離もあるが、このあたりを散策したのだろうか。
ここからはきれいなコンクリート舗装を辿る。楽な道だが長い。何より今回は消耗して足だけでなく腰も痛くなってきた。早く温泉につかりたい。ようやく風の吊り橋に辿りつき、渡り終えてふと見るとバスが止まっている。幸い長い舗装路歩きで靴の泥はあらかた落ちるか乾くかしている。そのまま靴も洗わず汗も拭かずに乗り込んだ。
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